子どもは宇宙人。“小さな大人”じゃない。

ライフスタイル

平田志帆

先日、旦那と1歳半の息子と3人で電車に乗りました。案の定、子どもがグズっておおわらわ。とにかく他のお客様のご迷惑にならないように、必死でなだめました。だって公共機関で騒ぐ子どもへの批判、半端ないですから。

 

このとき同じ車両には、車いすの男性とその介助者も乗っていました。男性には障がいがあるようで、「う~」「あ~」と終始大きな声を上げていましたが、介助者は特に気に留める様子もなくスマホをいじっていました。もしこれが騒ぐ子どもを放置する母親だったら、大ブーイングだったんだろうな。「うるさい」「静かにさせろ」って。

 

公共機関で他人をうるさいと思うのは、自分の意思とは無関係に、誰かが出す声や音を聞かされるから。でも、その発生源によって対応が違うのは明らかです。

 

試しにヤフーで「障がい者 電車 うるさい」で検索すると、約51,200件がヒット。一方「子ども 電車 うるさい」は約868,000件。約17倍です。子どものほうが目にする機会が多いことを差し引いても、その差は歴然です。

 

しかも子どもが迷惑という趣旨の発言は、堀江貴文やさかもと未明などの著名人が堂々としています。もしこれが障がい者に対する発言であれば、人権問題に発展するのではないでしょうか?

 

社会には、次のような風潮があると思います。

 

「障がい者は何かしらのハンディがあるのだから、健常者と同じようにできないのは仕方がない」

 

日本人は基本的に優しいから、弱者(この表現は好きではありませんが)に寛容です。では、なぜ子どもには厳しいのでしょうか? それは、子どもを“小さな大人”としか見ていないからだと考えます。

 

「特にハンディがないのなら、あくまで健常者。言い聞かせれば理解できるでしょ。うるさいのは、親がちゃんとしつけてないから」

 

恥ずかしながら私も、ここまで子どもが言うことを聞かないとは思いませんでした。ある程度覚悟はありましたが、想像をはるかに超えるレベル。もう、小さな大人どころじゃない。宇宙人です。

 

 

そういえば先日、ツイッターでこんな発言が話題になっていました。

 

今日の保育園で、ギャル系ママさんが「お医者さんが~、わけわかんないのが2歳児だって言ってたんだけど~、確かにうちの2歳児の意味不明さヤバイし、っつーことは、かなり順調っぽい。サイコー」って言ってるの聞こえてきてとても良かった。なんか元気出た

 

そう、わけがわからないことが正常な状態なんです! 電車で30分も40分も黙って絵本読んでいるほうが超レアケースなんです! もちろん車内を走り回ったり、土足で座席に乗るなどは、親がビシッと注意しなければいけません。でも“子どもとは、大人とまったく違う生き物”という現実は、大人全員に知ってほしいです。

 

核家族がスタンダードになり、子どもが身近にいる環境を経験しないまま大人になる人が増えています。さらに、未婚率やDINKs(夫婦共働き子供なしの世帯)も増加中。子どもの実態を知る人が減れば、子どもへの眼差しがさらに冷たくなるのは必至。ますます子育てが辛い社会になってしまいます。

 

こうならないためにも、中学と高校の家庭科で、保育園や幼稚園での実習を必須にしてほしいです。振り返ってみると、家庭科で育児については全く習いませんでした(今は違うかもしれませんが)。昔のように、子どもと自然と触れ合える環境はもうありません。だったら、意図的にそういう機会をつくればいい。

 

息子が通う保育園には、職場体験という形で中学生が3人保育補助を行いました。そのときの感想の一部を紹介します。

 

「着替えさせようと思ったら逃げられてしまい、時間がかかった」
「散歩のとき、手をつないで歩くのが難しかった。保育士さんはすごいと思った」

 

着替えや散歩という超ベーシックな日常生活の一部でさえ、実は大変。「子どもは言うことを聞いてくれないんだよ」と100回聞くより、よっぽど身に染みてわかったのではないでしょうか。

 

10代のうちにこんな経験をする人が増えたら、1歳半の息子がパパになるころには、もう少し子どもに寛容な社会になるんじゃないかと思います。

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