就活での「学歴フィルター」を撲滅するための特効薬

ビジネス

小寺 良二

■本当は企業もやりたくない「学歴フィルター」
最近就活をしている学生の間では「学歴フィルター」という言葉が使われているようだ。簡単に言うと説明会や選考への参加を一定レベル以上の大学に在籍しているかどうかで判断されてしまうこと。

 

よくある話で言うと、有名大学に在籍する彼女と就職サイトの人気企業の説明会予約画面を見ると、自分の画面では「満席」になっているのに彼女の画面では「空席」になっていたりしてショックを受ける。だからこそ「学歴フィルターは不平等だ!」と問題視される。

 

でも、もともと就職活動というのは不平等なものであったはず。特定の有名大学にしか来ない有名企業の求人を、全国すべての大学に所属している大学生に情報が届くようにしたのが「就職サイト」だ。しかし結果的には人気企業に大量の応募が集まる状況を作ってしまったことも事実だ。

 

すべての学生に“平等に”情報が届き、応募があったからといって、その有名企業はすべての学生を採用する訳にはいかない。やはり自社の求めるレベルに合う人材を採用することが求められるので、出来るだけ説明会には自社のターゲットの学生に参加してもらうため絞り込みを行う。この手段の1つが「学歴フィルター」となる。

 

しかし本当は企業も「学歴フィルター」なんてかけたくない。実際私も企業の採用戦略を練ったり、採用担当者の人の研修もするが、基本「学歴」を採用基準で最も重視している企業なんてない。どの企業も能力や価値観をしっかりと見極めて採用しようとしている。

 

ただ残念ながら説明会参加前のような「学生と接点のない状態」では、企業が学生の能力や価値観を判断できるような情報がなさ過ぎるのだ。だから数ある能力の中で「学力」と強く関連があり、社内にOBやOGがいればだいたいの雰囲気や能力も想像しやすいという点で、一部の企業は「所属大学」を学生を判断するための1つの情報源にしている。

 

ではなぜそれが問題なのかと言えば、その判断要素となる情報は何年も前の大学入学時に決まってしまっているもので、大学生活の中では編入学などしない限り簡単には変えられないものだからだ。どんなに大学生活の中で努力をして力をつけてきた学生がいても、入学時の「学歴」でチャンスを与えられないというのはあるべきことではない。

 

そういう意味では「学歴フィルター」は撲滅すべきだ。そして最近では、学歴フィルター撲滅に向けて「特効薬」になるかもしれないものも出てきた。

 

 

■「大学入試センター試験」の次に受ける「社会人基礎力試験」

良くも悪くも学歴フィルターが機能する理由は、学歴が高い学生は高校時代に一生懸命勉強をして(一部の天才を除けば)、学力を高めた人材だからだ。だから企業は少なくとも「学力はある」と判断できる。そういう意味では就職の時点でも「大学入試センター試験」で取った点数は無駄ではないのかもしれない。

 

しかし当然社会で求められる能力は「学力」だけではない。例えば毎年「学生に求める能力」でトップの「コミュニケーション力」や、チームで働く際に重要な「チームワーク」などはセンター試験で測ることはできない。どの社会人もこれらの能力の方が会社で働く上で重要だと思っているはずだ。

 

もしこのような「社会で求められる力」を学生のうちに測るテストがあり、その点数を大学生活を通じて高め、就職時にスコアとして企業に提示することが出来るようになれば……、これは「学歴フィルター」の撲滅につながるのではないだろうか。

 

実は数年前に大手学習塾の河合塾とキャリア教育プログラムを大学に提供しているリアセックが共同で「PROG」という社会人基礎力(ジェネリックスキル)を測定できるアセスメントテストを開発した。

 

 

このテストでは大きく分けるとリテラシー(問題解決能力)とコンピテンシー(基礎力)という2つの能力を測定できる。私も実際これらのテストを受けた学生を授業で受け持ったことがあるが、確かにリテラシーが高い学生は地頭がよく発言も論理的で、コンピテンシーが高い学生は周りと協力しながら物事を進めるのが上手い。この2つがバランスよく高い学生は明らかに「社会に出て活躍しそうだな」と授業の中でも感じさせられる。

 

もしこういった全国共通の「社会人基礎力試験」が広まり、学生はそのスコアを大学の授業やアルバイトを頑張ることで高め、企業もそれを評価するような社会になったら、「学歴フィルター」という言葉はいつか無くなり「社会人基礎力フィルター」という言葉が登場しているかもしれない。

 

でもそれは学歴と違って努力次第で「変えられるもの」だから、学生は大学生活にさらに力を入れることで自分の未来を切り開いていってほしい。

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