肉には赤ワインって、まだ、そんなこと言ってるの?

魚には白、肉には赤。ルネッサンスの時代から決まっている定番ワインルールだ。だーけーどー、これって本当なのだろうか。

 

だって、「肉」と一言でいってもいろいろ種類があるからだ。スーパーの肉売り場に行っても「鶏肉」「豚肉」「牛肉」があるし、「ラム肉」や「鴨肉」が並ぶときもある。それぞれにかなり味わいが違うから、これをひとくくりにするには無理がある。

 

「牛肉」だけに絞ってみたとしても、霜降り肉なのか赤身肉なのか、最近流行の熟成肉なのかでも違うし、ヒレかサーロインかランプかでも違ってくる。

 

そーれーにー、焼くのかしゃぶしゃぶするのか蒸すのか煮込むのかの問題もあるし、醤油味か塩味か胡椒味かトマト系かクリーム系かドミグラス系かマデイラソースか韓国焼肉系か、ソースがあるのかないのか……などあれこれ組み合わせしていくと、もう「肉」というだけで何百通り何千通り何万通りもの肉料理が考えられる。

 

それなのに、肉には赤ワインって言っちゃっていいの?

 

 

■なに! 黒毛和牛はワインと合わない?
日本ソムリエ協会が会員向けに発行する会報誌「Sommelier143号」に興味深い記事が載っていた。テーマはずばり「牛肉とワインの相性を検証する」だ。牛肉のプロフェッショナルに牛肉の種類や格付け、畜産についての基本知識を習った後、実際に牛肉料理とワインを組み合わせて相性を検証し公開しているのだ。

 

牛肉料理は、「ホルスタイン」「交雑(ホルスタインと黒毛和牛の掛け合わせ)」「黒毛和牛」の3種をそれぞれ「牛肉の煮込み」と「牛肉のソテー(いわゆるステーキですね)」にする。

 

「煮込み」は、ホルスタインが脂やゼラチンが多く濃厚なブイヨンになり、いい肉になるほどさらりとあっさり味の透き通ったブイヨンになるようだ(これだけでも結構面白い情報)。

 

ワインは「シャンパン」「辛口ロゼ」「アルザス・ピノグリ(白)」「シャブリ」「シャトー・モンテュス(濃厚な赤)」「シャトー・ラグランジュ(濃厚な赤)」を合わせる。

 

結果はこうだ。

 

●煮込み
・黒毛和牛&シャンパーニュ:◎ 繊細過ぎてワインを選ぶ
・交雑&ロゼ:○
・交雑&シャブリ:○
・ホルスタイン&ピノグリ:○
・モンテュス・ラグランジュの赤はともに×!

 

●ソテー
・ホルスタイン&すべてのワイン:○(肉に脂があるから)
・交雑&すべてのワイン:△
・黒毛和牛:すべてのワインに合わない! とくにシャブリ× ピノグリは△

 

どうだろう。煮込みはどうやら赤ワインは合わせにくいようだ。ソテーは赤もいいが白やシャンパン、ロゼも十分に対応できるよう。だがしかしBUT……、「黒毛和牛」はワインと合わせにくいという結果が出ている。これは大変!

 

では何を飲めばいいというのだ。日本酒か?(実はおいしい)。

 

 

記事では、このあとソテーに塩コショウやタプナード、マスタード、レモンコンフィ、ボルドーレーズソースをプラスしさらに検証をしている。

 

「黒毛和牛」にマスタードもしくはタプナードをつけると赤ワインとの相性がぐっと良くなる。「ホルスタイン」にボルドレーズをプラスするとやはり赤ワインによく合う。「レモンコンフィ」はそれそのものが白ワインと合う……など複雑な検証結果がつづく。

 

やはりこれ、いわゆる「同調」の法則なのだ。

 

肉と言っても、あっさりと軽快な肉質や部位、料理法だとシャンパンや軽快な白ワインに合うし、濃厚な肉質や部位、料理法だと重めの白、もしくは赤が合ってくるのだ。

 

「軽い料理には軽いワイン、重い料理には重いワイン」「料理とワインの濃さ淡さなどのバランスを同じにするとおいしく感じる」という同調の法則がこの結果にも出ているのだ。

 

この法則以外に個人的に思うのは、例えば、本当に脂が好きな人なら脂を味わうために、脂を流してしまう赤ワインより、脂をたっぷり感じることができる白ワインのほうがいいのじゃないかと思う。

 

また、そもそもボリュームのある肉料理だからして、これに同じくボリュームのある赤ワインは、日本人の舌には少々疲れるとも感じる。ならば、優しい白ワインで舌を休めつつ食べるというのもありじゃないかと。そもそもワインと料理のルールは欧米人向きにできている。日本人の味覚と舌と体力には合わないこともあるのだ。

 

個人的には黒毛和牛のヒレ肉が最も好み。これに和辛子をつけると白ワインによく合ってくる。さらに少々の醤油をつければ、軽めの赤ワインがばっちりだ。和辛子&醤油、実はこれ友田お勧めの組み合わせ。ワインとともに脂っこくなく爽やかに食べることができる。

 

ってことで、今夜は肉料理に白ワイン、やってみませんか?

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