保活の先にさらなる困難、働くママがぶつかる「3歳の壁」とは?

話題

村井麻紀

 

“保育園落ちた日本死ね!”で待機児童問題は日本中が知ることとなりましたが、関連して「3歳の壁」という言葉、知っていますか?

 

実はこの「3歳の壁」を知らずに保活戦線へ向かうのは、丸腰も同然。何とか入園承諾を得て復職した1~2年後、早くも路頭に迷うことだってあり得るのです。いま、政府が待機児童対策として「受け皿拡大」と掲げている施策の落とし穴にはまらないよう、働くママなら知っておくべきが「3歳の壁」なのです。一言でいうと「3歳以降の預け先探しに苦労する」ことなのですが、育児短時間勤務制(時短勤務)を選択していた働くママがぶつかる壁でもあるのです。

 

 

■待機児童対策、激戦保活の先にあるものとは

 

そもそも、3歳以降の預け先探しに苦労するってどういうこと?と思うことでしょう。園庭があって大きな園舎で就学前までいられる保育施設だけが“保育園”ではありません。「認可」「認証」の違いもありつつ、マンションの1室での「小規模保育室」や「保育ママ」と呼ばれる家庭的保育事業を自室等で開設しているところも保育園として多くあります。これらの保育施設は0~3歳未満までと定められているので、その後の預かり先を再度探さなくてはならないのです。「だったら最初から3歳以降も預けられる保育園を希望すればいいのでは!」と思うのは皆同じで、それを叶えるのはたやすいことではありません。

 

多くの場合、復職タイミングに合わせて0歳~1歳児で保育園を希望しますが、これがかなりの激戦であるのは周知の事実。両親ともに常時8時間以上の就労であっても入園できないケースがあるほど。選考基準にもよりますが、就学前まで在園できる保育園に入園するのは相当厳しい状況です。筆者の場合、1歳児クラスで入園申込をした際、上の子が認可在園中にも関わらず、入所不承諾通知に記された補欠順位が何と100番台!わが家の状況よりも入園が優先されるべき同じ年の乳幼児(=待機児童)が100人以上も近隣にいるという現実を知ったとき、保育園を1つ2つ増やしたところで解決できるものではないと実感したのです。こうした問題が全国の都市部で起こり、政府の待機児童対策に繋がっているのです。

 

待機児童対策、受け皿の拡大として保育施設を増やすことになりますが、その対象が小規模保育室です。保育における様々な要件を満たしやすく、開設しやすいことが理由ですが、0~3歳未満までしか在園できません。小さな面積・少数の保育士が受け持つ場で、乳児と3歳以上の活発な幼児を一緒に保育することが難しいからです。保育施設を増やすことを公約に掲げていても、小規模保育室を増やすだけでは付け焼刃でしかなりません。復職時、激戦保活をせっかく乗り越えても「3歳の壁」がそこにあるのです。

 

一方で、時短勤務終了のタイミングで第二子も視野に入れて働き方を見直す、という家庭もあります。これがもう1つの「3歳の壁」。復職して何とかやってきたものの、夫の協力が得られない、祖父母は遠方で何かの時にすぐ助けてもらえない、やっぱり職場の理解が得にくいなどの声を周囲の働くママから聞きました。子育てを取り巻く社会環境が変わっていかなければ、女性が仕事を続けていくのはなかなか厳しい現状なのです。

 

 

■幼稚園の預かり保育の満足度は低い…?

 

政府の待機児童対策では、幼稚園における長時間預かり保育も推進されています。「3歳の壁」で保育園継続をせず、幼稚園の預かり保育でフルタイムに近い働き方を続けることができるのでしょうか?

 

保育園では、夕方までの保育計画のもとお昼寝があり、おやつは捕食として栄養バランスを考えられた手作りの食事が提供され、皆で一緒にお迎えまでの時間を過ごします。一方、幼稚園の預かり保育では、ほとんどの園児が帰った後の園で“お迎えまでの余りの時間”として過ごし、市販菓子をおやつに与えられるような状況。水曜は午前のみ、夏休みなど長期休暇は園の都合で預かり保育が実施されないことも。何より辛いのは、幼稚園では先生や周囲から働くママへの配慮がほとんどないことだと友人から聞いたこともありました。子供をただ預かるだけではなく、働く身に立って育児の相談もできるのが保育園です。保育士は家庭の状況を気にかけてくれ、同じように働く境遇のママ友やパパ友もつくりやすく、何かの時に話し合える人がいるのです。

 

保育園の入園承諾を待ちながら幼稚園の預かり保育を検討していた知人がいましたが、入園選考料を払って幼稚園を11月に受験、まとまった額の入園金も支払って、保育園の入所結果発表の翌年2月まで待ったところ、何とか保育園入園ができたことで10万円以上を捨てたことになったそうです。こんな“掛け捨て保険”を「3歳の壁」で強いられるのはおかしいことだと思いませんか?

 

先日、参院選の主な候補者の政策を聞く記事を東京新聞Webで見かけましたが、60代・70代の候補者が考える待機児童対策は、あまりにも漠然とした考えで本気で予算をとって実現に向けてくれようとしているのか疑問を感じました。子育て世代に近い30代の候補者は、保育士の給与を月額5万円増額して確保を目指す、30万人分の認可保育所を増設するなど具体的な数字を目標として掲げています。世代間で対立するわけではありませんが、限られた予算を分配しなければならないとき、声をあげて対策を望んでいる方を優先するのが常でしょう。偉そうなことを言っている私も、子供を持つまでは政治に興味がなく選挙さえ行かないことだってありました。いまは、外交予算よりも、防衛予算よりも、少しでも多く子育て関連の予算を増やしてほしい。待機児童だけでなく「3歳の壁」問題も理解したうえでの対策を望みたいものです。

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