カーライフ、恥の原点「BMW 335i カブリオレ」──My shameful car life Vol.3

車・交通

乗り継いできたクルマの数は優に40台を超えるモータージャーナリスト、清水草一が、愛車史を振り返る新連載の自動車エッセイ。第3回はBMW 335i カブリオレについて。

 

 

■カーマニアのコンプレックス

 

思えば、やり残したことの多い人生であった。

 

私はカーマニアだが、クルマのメカにはとんと弱い。自分ではほとんど何もやらない。車体に関してできることは洗車だけと言っても過言ではない。

 

メカをほとんどいじれないことに関しては、ずいぶんとコンプレックスを抱いてきた。一念発起して中古フェラーリ屋さんでメカ修行をしたこともある。

 

が、その時やったことと言えば、本職の仕事を眺めつつちょっと物を運ぶとか、その程度に終わった。

 

 

なぜかというと、少し考えればわかることだが、フェラーリの整備をシロートが手伝えるわけがなかったのだ! まぁ他のクルマでも似たようなものかもだが。

 

結局私のメカ修行において、実際に作業を行ったのはタイヤ交換止まり。それすら「取れちゃわないかな……」と不安だった。

 

 

■まさか! そんな!

 

思い起こせば、フェラーリは実に故障の少ないクルマだった。これまで11台のフェラーリを乗り継いだが、トラブルは数えるほどしかない。

 

23年前、して最初のトラブルは、ルームミラーの落下であった。走行中ボトッと落ち、私はパニックで心停止寸前となった。「ひええ! フェラーリ様のルームミラーが落ちた! まさか! そんな!」と。

 

今でこそ、「落ちないリンゴがないように、落ちないルームミラーはない」くらいのことを語れるが、その時はワナワナ震えつつ販売店に出向き、「ルームミラーが落ちたんですが……」と申し出た。

 

店長さんは「あ、わかりました」と言って、すぐに付け直してくれた。アロンアルファで!

 

フェラーリのルームミラーはアロンアルファで付けるのか! それはルームミラーの落下以上に衝撃的な事実であった。

 

「ガラス側に接着剤が残ってますから、今度落ちた時は、それをカッターの刃できれいに削ぎ落してから、アロンアルファで再接着してくださいね」

 

「はい、わかりました!」

 

私は大変深い事実を教えられた。フェラーリのルームミラーはアロンアルファで付けていいのだ。ああ、この世はなんて自由でハッピーなんだろう! その一事で私の肩の荷は大幅に軽くなり、10歳分くらいオトナになった気すらしたものだ。

 

 

■初めて買ったBMW

 

フェラーリに乗って23年間で会得した、最大にして最強のトラブル対処法は、「何かあったらエンジン再始動。それでもダメならバッテリーターミナルを外してちょっと待つ」である。

 

これで90%のトラブルは解決してきた。これで解決しなかったのは、ラジエターの劣化による水漏れと、スパイダー幌の開閉機構の不調くらいで、その他はほとんど治った。まさに無敵の修理法である。

 

ラジエターから水漏れして交換した時のF355

フェラーリの警告灯が点灯したら、それがなんであれ、とりあえずクルマを止めてエンジンを切り、再始動。それでもダメならバッテリーターミナルを外してちょっと待つ。これでほとんど治る(警告灯が消える)。

 

ならば、自分でメカをいじる必要などどこにあるだろう?

 

フェラーリに限らず、90年代以降のイタリア車およびフランス車のトラブルは、これでほとんど解決する。解決しなかったのはパワーウィンドウ落ちやマフラーの腐食による折損、構造的欠陥による雨漏りくらいである。

 

初めて買ったBMW

しかし3年前、初めて買ったBMW(中古)のATが突如2速に固定され、「トランスミッション異常」と表示された時は、エンジンを再始動してもバッテリーターミナルを外しても治らなかった。

 

ATが突如2速に固定され、「トランスミッション異常」と表示された

ディーラーに持ち込むと、ATロックアップクラッチの滑りとのことで、ミッションオーバーホールとなった。

 

ドイツ車というものは、なんと複雑で壊れやすいのだろう。ドイツ車など怖くて買えたものじゃない。

 

文・清水草一

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