実は子どもは大人よりも自然に空気を読めている!?

 

■場に合わせて画風や振る舞いが変わるのは、空気を読んでいるから?

 

先日、ツイッターで、がありました。

 

「アメリカ育ちの娘が学校で書いてくる自画像なのだが、アメリカの幼稚園で書いてくるやつと、週末の日本語学校で書いてくるやつとで、画風が完全にアメリカ風と日本風に切り変わるのが超気になってる。」

 

投稿者のお子さんは、アメリカの幼稚園と日本語学校の2校に通っていて、それぞれの学校で描いてきた『自分の似顔絵』の画風があまりにも違うため、「子どもも自然と空気を読んでいるのでは」と話題になりました。

 

筆者も海外暮らしが長いので、自身の子育てでも同様の経験があります。日本語環境と英語環境とで、子どもが振る舞い方を変えるのです(本人は意識的にしているのではなく、自然とそうなるのでしょうが)。日本語環境にいるときはおしとやかに、英語環境にいるときは身振り手振りたっぷりで大胆に、という感じです。先日、日本から遊びに来た友人が、我が子のそんな様子を見て、「お~~人格が変わっている!」「 見事にその場に合わせている!」と言っていました。子どもたちは、空気を読んで、そうしているのでしょうか?

 

 

■心理学実験:ピアジェの3つの山問題から分かること

 

10年くらい前に「KY」という言葉が流行りましたね。当時は、「KYな人=空気を読めない人」のように使っていました。空気を読むためには、相手の立場を理解する「客観力」が必要になってきますが、子どもたちは相手の立場をどれくらい理解できているのでしょう?

 

発達心理学者のピアジェは、7歳くらいまでの子どもたちの特徴として「自己中心性」を挙げ、それを検証する形で、次のような「3つの山問題」という実験を行っています。そこでは、テーブルの上に高さや大きさの違う3つの山の模型を置き、子どもにそのテーブルの周りを歩くように指示しました。その後、子どもはある一点に立ち、テーブルの様々な位置に人形を置きました(よって、それぞれの人形は、子どもとは違った角度から、3つの山を見ています)。そして子どもに、「この人形には、この山がどんな風に見えていますか?」と問いました。すると、6~7歳までのほとんどの子は、自分が見ている側からの山の光景を撮った写真を選んだのです。

 

 

■子どもは空気を読めるの? 読めないの?

 

この実験を見ると、「立ち位置によって物事は見え方が違う」ということを理解するのは、もう少し大きくなってからということになりますが、だからと言って、子どもが空気を読めないかというと、そうではないように思います。実際、前述のような「絵のスタイルが変わる」「振る舞い方が変わる」などを見ると、子どもたちがその場に調和しようとする意志が働いているのが分かります。

 

お友達のお絵かきと似たものを描いたり、周りの子と同じような行動をしたりするとき、そこには、「模倣」が存在します。模倣というと固いですが、言うなれば「マネ」です。模倣は、とても社会的なスキルであり、同調的な行動。子どもたちは、隣の子の絵や言葉をマネすることで、それ自体のスキルを学ぶだけでなく、相手に同調したり、協調したりする力も磨いていきます。AちゃんがBちゃんのマネをする、BちゃんがCちゃんのマネをする、CちゃんがAちゃんのマネをする……。そこには、画風の伝達だけでなく、3人でシェアできる空気が生まれます。

 

そう考えると、子どもたちが何気なくやっている「マネ」は、もっともシンプルな形の「空気を読む行動」なのかもしれません。マネすること自体が、その場の空気に同調した行動なのですから。マネの天才である子どもたちは、実は、大人よりもずっとずっと自然な形で空気を読めているのかもしれませんね。

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