店頭で見えてくる「ユニクロ不振」の本当の理由

2015年6月、ユニクロの国内売上高が減少したことがニュースになった。既存店726店舗の売上高は、前年同月比11.7%減で3カ月ぶりに前年を下回った。客数も14.6%減となった。不調の要因としては、例年に比べて気温が低く、夏物衣料が苦戦したことを挙げている。7月も国内売上高、客数とも前年同期比割れとなり、先行きを不安視する声もチラホラ聞こえるようになった。

 

私が最初にユニクロに触れたのは1990年代後半、千葉県松戸市にユニーク・クロージング・ウェア・ハウスという名前で出店していた店舗の時だ。そこから約20年、低価格はキープしつつ、品質面においては飛躍的に改善されてきた。また企業やデザイナーとコラボレーションする形で製品デザイン面を強化するだけでなく、企業やブランドロゴの刷新、CMやアプリなどプロモーション面の挑戦によってブランドイメージも高めてきた。これだけ適切な経営をしてきたユニクロの売り上げがなぜ失速しているのかをマーケティングコンサルタントの視点で解説したい。

 

■季節要因というユニクロの説明
ユニクロ側の説明は主に2点だ。1つ目は季節要因による売上減によるもの。もう1つは魅力ある商品を投入できなかったというものだ。

 

1つ目の季節要因については、しまむらをはじめ競合各社の同時期の売り上げが好調なことかもしれないが、それを大きな要因としてとらえるのは違うのではないだろうか。

 

そもそもユニクロの夏の定番商品、エアリズムは素晴らしい商品だ。特に熱帯化が進んでいる日本において、軽くてサラサラとしている同商品はますます重宝されてもおかしくない。ちなみに、個人的感想ではあるが、他社の類似品と比べても着心地や耐久性の面において優れていると感じる。この点で、ユニクロが売れないとすればプロモーションが効果的に機能していなかった部分が大きいということになるだろう。

 

確かに製品マーケティングという観点から見れば、ユニクロが発表したように、エアリズム以外、魅力ある新商品の開発が十分ではなかった印象もある。しかし、もともとユニクロはベーシックカジュアル商品がビジネスの基盤である。ポロシャツ、ワイシャツ、パンツなど定番の商品について、流行りの影響は受けにくい。ブームやトレンドで売上が増減しにくいビジネスモデルがユニクロなのだ。

 

仮に、2014年よりも2015年の売上目標を高く設定して、その目標数字に到達しないということであれば、不調についてのユニクロの説明にも納得がいく。しかし、売上が前年割れになるという発表だったので、ユニクロが気づいていない課題があるのではないかと考えられるのだ。

 

 

■原因は外国人観光客の減少か
実はポイントはインバウンド、つまり外国人観光客にあるのではないかと私は感じている。ここ1、2年でユニクロは海外出店を強化している。

 

かつて、日本に来たら良質で機能性にあふれ価格的にも手頃なユニクロの商品を買うことは、海外の観光客、とりわけアジアからの観光客にとって魅力だった。新宿高島屋をはじめ都心部のユニクロに行けば、お客さんの半分以上が外国人観光客という状況も珍しくはなかった。外国人観光客が自分のものだけでなく、お土産用としてエアリズムやヒートテックなどを大量買いする姿がそこにはあった。

 

ところが、ここ最近、都心部のユニクロに行くと、外国人観光客の姿が少なくなっているように感じる。全体的にお客さんの数は少なくなってもいるが、外国人観光客の少なさが目立つ。デパートの他のフロア、家電量販店などには、多くの外国人がいるように、外国人観光客数が減ったわけではなく、その中でユニクロを訪れる観光客が減ったのだ。

 

外国人観光客にしてみれば、海外でも店舗が増えた結果、あえて日本でユニクロを購入する必要性が低くなったのではないだろうか。高性能品、正規品を買いたいから、電化製品、時計、宝飾品、化粧品などは日本で購入するが、ユニクロはあえて買わなくても良い存在になってしまったのではないだろうか。

 

2015年、月別外国人観光客数は連続して前年越えを記録している。すでに累計で1100万人を突破し、過去最高の観光客数を記録するのは時間の問題だ。10月には国慶節によって、多くの中国人観光客が来日することだろう。こうした状況の中、ユニクロがどのような戦略を打ち出してくるのか引き続き注目だろう。

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