古いマナーの使い方をしていない? 現代版テーブルナプキンの使い方

ご存じだろうか。あのマナーにうるさいフランス料理も、ちょいと前までは手づかみで食べていたってことを。

 

中世初頭のヨーロッパ。フォークやナイフはまだなく、料理はそのまま手づかみで食べていた。ひとつの料理を食べるごとにたらいに張った水で手を洗い、テーブルクロスの垂れ下がった部分で拭いていたとか。フォーク、ナイフがないのにテーブルクロスがあることがなんだかおかしい感じもするが、気取ったイメージがあるフランス料理も昔はこんな具合だったのだ。

 

15世紀中ごろから、テーブルクロスではなく、小さな(昔のイギリス語でKynキン)布巾(Nappeナップ)を使うようになった。便利な“Nappekyn”ナプキン(現在はNapkinと書く)は、食事や料理のほか、掃除・洗濯・育児にも使われ、オムツ用や月経用にも使われていたとか。

 

16世紀、イタリア、トスカナのメディチ家からカトリーヌ妃がフランスに嫁ぎ、食事にフォークとナイフが使用されるようになると、テーブルクロスやナプキンの使い方が今と同じスタイルになる。また同時期、“Hand-kerchief”ハンカチーフが登場。用途はナプキンと同じだけど、いくぶん小ぶりで薄く柔らかく携帯できるものとして人気となった。

 

ということで、このナプキン、もとはイギリス語。フランスではナプキンとは言わず、“Serviette”セルヴィエットとよぶ。これは「給仕する」=Serverからきている。

 

■広げるタイミングは?
ナプキンを広げるタイミングは、基本「自分の好きなタイミングで」でOK。ただ、あまり早いうちに広げてしまうと、いかにもお腹が空いていて我慢できませ~んみたいに思われる(本当にそういう時もある)かもしれないので、たとえばその席のホストが広げてからとか、同席の女性が広げたら……というタイミングがいい。とはいえ早く広げたとしても失礼にあたることはない。

 

■口元や手の汚れを拭き取ってナンボ…だが
マナー本には、「半分、もしくは3分の1程度を折って、輪のほうを自分のほうに向け、口元や手の汚れは、折りたたんだ内側で拭く」とある。「輪」はどちら向きでもいいが、汚れは見えないほうが美しい。

 

「ナプキンは、汚れをぬぐうものなのでいくら汚してもいい」と書いてある本もあるが、べっとりと口紅をつけたり、バターなどの脂分をねっちょりぬぐったりするのはやはり気が引ける。ましてや汗を拭いたりなどしたら、同席の人のテンションが下がること間違いなし。ティッシュなどと違い、ナプキンは洗ってまた使うものということをお忘れなく。

 

「食卓でハンカチを使うのはマナー違反」と書いてある本もあるが、自分のハンカチやティッシュを使ったほうが気遣いができるように思うけれどどうだろう。

 

 

■意外にずり落ちやすい
サイズが小さかったり、服がすべる素材だったりすると、落としてしまいがち。本にはルール違反とあるが、ナプキンの端をベルトにちょっと挟んでおくのは悪くないと思う。

 

また「落としたら、自分で拾わず、ウェイターを待つべし」とあるが、これこそ公的な晩餐会での話。宮廷に呼ばれてナプキンを落としたら、ぜひ、そうしよう。普通のレストランだったら、やはり自分で拾うべきだろう。そんなことでスタッフの手を煩わせる必要はない。

 

また、落として汚してしまったら新しいものをもらえばいいが、たいして汚れていないのなら、そのまま使ってもよし。新しいものを使うのは無駄というもの。「無駄」は、現代ではマナー違反なのだ。

 

■食事中、汚れたナプキンは食卓より上に上げない
「中座するときはナプキンを椅子に」と、これは守りたい。汚れたナプキンを食事しているテーブルに置くのは、他の方々に迷惑だ。しかし食事が終わればどこに置いても結構。

 

「きれいに折りたたむと食事がおいしくなかった印なので、ぐしゃっとさせて置く」などといわれるが、これも一昔前のお話。面倒ならぐしゃっと置いてもいいが、汚れた部分が見えないようにちょこっとは畳んでお返ししたい。片付ける人のことを考える。これも現代マナーのひとつだ。

 

■ナプキンの良し悪しでお店の格も決まる
ナプキンの大きさや素材の良し悪しでその店の格も決まってくる。星付きレストランでも、ナプキンの質が悪ければ、実のところ、その店の格は下がる。店の格式を計るのは「皿の中」だけではないのだ。ちなみに、贅沢なナプキンの基準としては、1辺27インチ(69センチ)程度。素材は清潔感や使い勝手の良さからリネン(亜麻)。店のロゴやイニシャル、家紋が入っていれば最上級だ。

 

日本には「おしぼり」というすばらしい文化があるから、ナプキンの用途は汚れを拭くことよりも、洋服の汚れ防止のために使うことのほうが目的になっているかもしれない。ただ、いくらネクタイを汚したくないからといって、首からナプキンを掛けるのは、NGなのでご注意。

関連記事