安定志向の若者のモチベーションをあげるのは、そもそも無理がある?

 

来年3月に卒業見込みの大学生に対する就職意識調査で、就職先の企業選びの基準を聞いたところ、「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」「働きがいのある会社」は上位ながらも比率が減っており、代わって「安定している会社」という回答の比率が増えているそうです。落ち着いて先が見通せない今の環境の中では、そういう思いもよくわかります。

 

ただ、最近たまたま聞いていたラジオ番組の中で、著名な登山家である野口健さんが話していたことで、印象に残ることがありました。おっしゃっていた話は、「ヒマラヤ山脈、エベレストは危険な山だと言われていて、実際にも確かにその通りで、多くの人からなぜそんな危険を冒してまで登ろうとするのかと聞かれるが、もしも安全な登頂が保証され、絶対に登れることが事前にわかっていたとしたら、そこに登ろうというモチベーションはなくなってしまうだろう」ということでした。

 

結果がどうなるかわからない、未知のことだから挑戦する意欲が湧くのであり、先に結果がわかってしまっていたとしたら、モチベーションが高まることなどないということですが、確かにその通りだと私は思います。ギャンブルに絶対勝てると始めからわかっていたら、そもそもギャンブル自体が成立しなくなりますし、必ず成功するとわかっているビジネスだったら、もはやそれは成功とはいえない普通のことになってしまうでしょう。

 

ここで、「未知のこと」というのは、「安定」とは対極にある訳ですが、この野口さんの話に置き換えて考えてみて思ったのは、最近高まっている「安定志向」は、「モチベーションを高める」ということについても対極に働いてしまっているのではないかということです。

 

少し前の話題で、最近の若者は海外旅行に行かなくなっているというものがありましたが、その理由として、金銭的な問題などとともに、「知らない国へわざわざ行って不便な思いはしたくない」「ネットで見れば大体わかる」などというものがありました。何となくですが、「安定」を優先してモチベーションを下げているのではないかという感じがしてしまいます。

 

安定を優先しているからモチベーションが高まらないのか、モチベーションが低いゆえの安定志向なのか、どちらが先かはよくわかりませんし、そもそもこういう捉え方が良いのかどうかもわかりません。

 

ただ、働かないおじさんの話や、チャレンジしない若者の話を考えていくと、安定とモチベーションの間には、何かの相関関係があるように感じてしまいました。

 

世の中が何となく盛り上がらない感じの一因には、こんな側面もあるのかもしれません。

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