経済効果は100億以上!? ファッションショーの枠を超え、一大プロモーションイベントへと進化したTGCの実態

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citrus 編集部

 

 

2017年9月2日、 “マイナビ presents 第25回 東京ガールズコレクション 2017 AUTUMN/WINTER”がさいたまスーパーアリーナで開催されました。参加したのは人気モデルやアーティストなど総勢100名。来場者はのべ3万4000人を超え、10代~20代の若い女性たちが一挙集結しました。

 

いまや、日本を代表する大型イベントとなった“東京ガールズコレクション(TGC)”ですが、citrus世代の中には「どうせギャルのためのイベントだろう」と思っている人も多いのでは? しかし、一説によるとTGCの経済効果は100億円。そして絶大なプロモーション効果とともに、国内はもとより世界にも影響を与えるイベントになりつつあります。今回は、そんな東京ガールズコレクションAUTUMN/WINTERのレポートと、2020年に向けて変わりつつあるその実態を取材しました。

 

 

■2017年秋冬のテーマは“その向こうへ”を意味するBEYOND(ビヨンド)

 

25回目を迎えた今回のテーマは、“その向こうへ”という意味を持つBEYOND(ビヨンド)。世界から注目が集まる東京のガールズカルチャーを世界に発信するためのファッション、エンターテインメントが詰め込まれており、公演時間はなんと15時から21時半までの6時間半! まずは当日の様子をダイジェストでご紹介します。

 

オープンニングから攻めのファッションで登場した(左から)山田優さん、香里奈さん、土屋アンナさん。 三人の登場で会場は一気にヒートアップ!

 

トリンドル玲奈さんなど、ファッションブランドごとに人気モデルが続々と登場

 

今回のTGCではアーティストも多数参加。特に菅田将暉さんが新曲を披露した際はハートマークが見えそうな歓声が

 

恒例の渡辺直美さんも登場し、今回はアーティストのAIさんとともに熱唱

 

 

■2005年にファッションイベントとしてスタートした東京ガールズコレクション

 

そもそも東京ガールズコレクション(TGC)は2005年に「日本のガールズカルチャーを世界へ」をコンセプトに始まった大型ファッションイベント。ハイブランド、モードが主流のファッションショーとは一線を画し、雑誌で活躍する親近感のあるモデルたちが“リアルクローズ(一般の人が普段着られる洋服)”を着てランウェイを歩くというこの企画は、業界に新たな風を送りこみました。

 

(左から)道端アンジェリカさん、桐谷美玲さん、藤田ニコルさん

 

 

■閉ざされていたファッションショーを誰もが体験できる場に変えたTGC

 

そんなTGCはファッション業界にとってどんな存在なのか? citrusオーサーで、ファッションジャーナリストの宮田理江氏にお聞きしました。

 

一般的なブランドのファッションショーは半年先に発売される新作をお披露目する晴れ舞台ですが、TGCは、今ショップに並んでいるアイテムを発表するというコンセプトでスタートしました。コーディネートも街中で見かけるような「リアル」なものが多く、芸術性が高いラグジュアリーブランドのランウェイに距離を感じていた一般消費者の支持を得ました。

 

パリコレなど本来のファッションショーはバイヤーやメディア記者など、招待状を持つ人しか見ることができません。しかし、TGCではチケットを買った一般消費者が参加できます。業界内で閉ざされていたショーを、誰もが体験できる空間に変えたことは、TGCの大きな功績です。

 

10代20代に支持を受けるsnidelのショーに登場した女優の新川優愛さん

 

 

■TGCの見所はリアルクローズのスタイリング提案

 

参加するブランドは当初から、来場者の手が届きそうな、割とリーズナブルな価格帯のブランドが中心ということもTGCの特徴です。こういったブランドを好む層には今も影響力があるようです。

 

ただ、もともと欧米のショーと違い、半年先のトレンドを打ち出すわけではないので、必ずしも最先端のモードを発信するという役割を担っているわけではありません。むしろリアルクローズの“上手なスタイリング提案”が魅力になってきたように思います。しかし、昨今は着こなしスナップを載せるSNSなどのサービスが増えつつあるので、お手本は他でも手軽に入手できます。そういった観点から、TGCの位置づけや役割にいま変化が起きているように感じます。

 

 

■絶大なプロモーション力によって“拡散お披露目会”へと変化

 

スタート当初はファッションショーとしての要素がより強かったTGC。今回も、モデルが着用したアイテムをリアルタイムで、が、以前と比べると、商品の販促をあえて弱めているように見えます。

 

その理由として考えられるのは、TGCの戦略転換。公演内容を見ると、ファッションショーのみならず、映画や新商品の“お披露目”要素が強い、プロモーションの場にもなっているのです。

 

 

■テレビでの露出が増え、プロモーション力が加速

 

一説によると、その経済効果は100億。それだけの経済効果を生み出す仕掛けはどんなところにあるのでしょうか。また企業がTGCに参加するメリットとは?  citrusオーサーでマーケティングコンサルタントの新井庸志氏にお聞きしました。

 

ここまで大きな経済効果を獲得した背景には、「販売促進イベント」から「エンターテインメント」への発展があったと言えます。もともとTGCはショーで見た服をすぐに購入できるようにしたことで、参加企業にとっては販売促進的な意味がありました。

 

しかし、回数を重ねるごとに、人気モデル、タレントの出演が増え、ミュージシャンによるライブが開催され、旬なお笑い芸人が登場するようになり、メディアからの注目度が加速度的に高まりました。

 

 

 

 

特にテレビに取り上げられるようになったことで、ターゲットではない人達まで認知が広まっていったのです。これに伴い、アパレル企業だけでなく、多くの企業が協賛するようになりました。今回のTGCもマイナビ、ドトールコーヒー、イオンカードなど多種多様な企業が協賛しています。

 

大人キティとコラボしたドトールコーヒーの限定カップ。会場にはフォトブースも

 

TGCデザインのカードを発行するイオンカード

 

また、TGCが日本を代表する一大エンターテインメントになった理由として、SNSの存在は欠かせません。今や、企業のマーケティングを考える上で、SNS活用を踏まえることは一般的になりました。特にインスタグラムは、女性ターゲットのプロモーションには不可欠です。いかにフォトジェニックな仕掛けを作り、インスタグラムで拡散してもらうかという点は、企業も強く意識しています。今回、ブースでSNSの拡散を狙ったフォトブースやプロモーションが数多く展開されていたのも当然の流れと言えるでしょう。常に時代の波をとらえて、仕掛けを続けていくことで、TGCは服を売るイベントから、日本を代表する一大エンターテインメントに成長してきたのです。

 

インスタグラム上でよく見かける時計ブランド、ダニエル ウェリントンではイケメンモデルとの写真撮影ブースが

 

クラシエのヘアケアブランド“FUWARIE”では、SNSで投稿した写真を見せるとスタイリング剤を1本プレゼント

 

オフィシャルが発表した当日の来場者数はのべ3万4000人。メインステージ&バックステージを生中継していた「LINE LIVE」の視聴者数は約140万人。これにさらにSNSの拡散が加わると考えると、出展企業にとっては参加するだけで絶大なプロモーションが期待できるイベントだと言えます。

 

 

■2018年春には国連NY本部に上陸!政府参加型イベントへ

 

今回の後援組織には、文化庁、観光庁、東京都、さいたま市、国連の友Asia-Pacificなど政府機関が名を連ねています。思い出してみると、前回2017年春のTGCには東京都知事の小池百合子氏も参加していました。

 

実は、TGCは、国連が推進する女性のエンパワーメントと女性が輝く社会に向けて、男女が共に歩むことを目指した「One Woman Campaign」の目的と意義に共感し、 “国連の友Asia-Pacific”と提携。2018年の春にはなんと国連NY本部で“世界初”のファッションセレモニーを開催することが決定しています。

 

今回のプログラムの中には、日本のテクノロジー技術を披露するために設けられたようなコンテンツも多数存在。そのひとつが、感情を認識する人工知能「ワトソン」を搭載した「コグニティブドレス」のウェディングドレスショーで、来場者がTwitterで#TGCのタグとともにツイートした内容を分析し、ドレスの色が変わるという世界初の試みでした。

 

「マイナビウェディング STAGE」のコグニティブドレスのショー

 

2020年のオリンピックに向けて、ますます進化を遂げていくであろうTGC。元気でキラキラした10代20代の女性たちをターゲットにした華やかなイベントが、ただのファッションショーでないプラットフォームに変わりつつある気配を十分に感じ取ることができました。次回は、2018年の春に開催されるとのこと。国がこれからどのように関わっていくのか、今後のTGCにも注目です。

 

◆マイナビ presents 第25回 東京ガールズコレクション 2017 AUTUMN/WINTER

 

Photo : Nozomu Kishi

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