北朝鮮と日本がつながっている? 国交省が進めた「アジアハイウェイ」計画は、もはや都市伝説レベル

 

首都高速にあるこちらの「AH-1」という標識に気づいた人もいるだろう。平成22年以降、日本国内の高速道路に数か所設置されている道路標識である。筆者が最初に気づいたのは車で実家下関に帰省した時であった。下関ICから中国道に乗ってしばらく経った時に突然現れた見慣れぬ白い看板「AH-1」。これはいったい何?調べてみたら、予想をはるかに超える壮大なスケールに驚いた。 

 

 

■日本が起点で韓国、北朝鮮を経由して、なんと!トルコまでつながっている!

 

AHとはアジアハイウェイのことである。そして、AH-1とは「アジアハイウェイ1号線」を意味する略語で、AH-1の起点は日本だ。日本国道路元標のある日本橋を起点とし、東名~名神~中国道~山陽~関門道~九州道~博多が日本の終点となる。

 

出典:より

 

そしてここから驚くことにAH-1は博多発釜山行のフェリーを経由して大陸につながる。釜山からはますますグローバルなルートとなる。ちなみに、AHシリーズは、AH-1からAH-87まである!

 

AH-1のルートは、東京~ 福岡 ~(フェリーで)韓国(釜山)~北朝鮮~中国~ベトナム~カンボジア~タイ~ミャンマー~インド~バングラデシュ~インド~パキスタン~アフガニスタン~イラン~トルコ(ブルガリアとの国境)で終点となる。総延長距離2万キロ以上!現代のシルクロードともいえる壮大なハイウェイだ。

 

 

■そもそもアジアハイウェイとは何なのか?

 

その構想が発表されたのは今から58年前の昭和34年である。国連極東経済委員会において「アジア諸国をハイウェイによって有機的に結び、国内および国際間の経済・文化の交流や友好親善を図り、アジア諸国全体における平和的発展の促進を目的」として、提唱され取り組みがスタートした。当初は西側諸国を中心として道路網が計画されていたが、後に社会主義諸国も参加し、平成15年には32か国、55路線、合計約14万キロとなる「アジアハイウェイ道路網に関する政府間協定」が採択されている。まあ要するに、アジア各国間の友好親善のため、ということなのだろう。

 

日本では国交省のホームページに詳細が記載されており、日本国内のルートやアジアハイウェイ全体のルートなども掲載されている。平成22年には、全国18か所にAH-1の標識を設置することが発表されており、その時に設置が決定したのが、首都高江戸橋出入り口などにある標識である。

 

 

■なぜ?車が運べないフェリーがルートに設定されているのか?

 

 

AH-1には不思議なところがたくさんある。まずは博多から釜山までのフェリーについてである。日本は島国ゆえ陸路で大陸に入るのはしょせん無理な話だ。それで「構想」としてフェリーで東シナ海を経由して韓国につなげている。まあ「構想」なのだからフェリーでも良いだろう。気になるのはそのフェリーである。博多港から韓国・釜山には高速船「ビートル」による定期航路がある。しかし、このビートルは人を運ぶ専用で、車両の航送はできない。一方、山口県下関市にある下関国際ターミナルからも韓国・釜山に1日1便関釜フェリーが出ている。こちらはしっかり、車両航送可能だ。さらに日本のナンバーのままで韓国の道を走ることも可能。逆も同様で、下関市内では時々、韓国ナンバーを付けた車に遭遇することもある。

 

もちろん関釜フェリーを使って車を持ち込んだとしても、AH-1を走れるのは韓国内だけである。間に北朝鮮があり、車の持ち込みはもちろんNGで、日本で取得した国際免許も北朝鮮国内では有効ではない。とはいえ、フェリールートはせめて車が運べるフェリーに設定して欲しいものだが。

 

 

■報道発表は平成22年が最後…

 

国交省のアジアハイウェイ関連サイトには、「平成17に協定が発効したことを受け、アジア各国でその実現に向けた取組が行われており、我が国においても、同構想に積極的に参加していくこととされております。」とある。同構想に積極的に参加……とは?ただ、参加するだけではなく「積極的」というのが引っ掛かる。そのご、その「積極性」はどこでみられるのか?最近はどうなってるのよ?と思って調べてみたら……報道発表は平成22年が最後だった。

 

内容は前述したアジアハイウェイに関する協定で規定された「AH-1」の標識を全国18か所に順次設置するということであった。もう9年間も報道発表がされていない。「積極的に参加」とはとても言えない状況だ。ちなみに、割とどうでも良いかもしれないが……標識にも一応規定がある。

 

≪規約の主な内容≫

  • 形は長方形とする。
  • AHと、各路線に割り当てられたアラビア数字による番号を表示する。
  • 文字は、白又は黒とする。
  •  

     

    ■そういえば韓国までトンネルを掘る、なんて話もあったが…

     

     

    日本とアジア大陸を結ぶ構想は、ここに紹介した「アジアハイウェイ構想」だけではなく、「対馬西海岸から韓国・巨済島に向けてトンネルを掘って韓国につなげよう!」なんていう話もあった。いや、「あった」ではなく「ある」だ。単なる構想ではなく、すでに平成26年に工事が始まっており、現在も工事は順調に進んでいる模様。詳細は次回以降にお伝えしてみたい。

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