東京モーターショーで意外に人気を集めるかも!? 「JPN TAXI」はなぜ魅力的に映るのか

 

2年に1度行われる日本最大自動車のお祭り、東京モーターショーが東京ビッグサイトで始まった。今回も日本車を中心にさまざまな世界初公開、日本初公開のクルマが展示されている。筆者はひと足お先にプレスデーで拝見したのだが、中でも目を引いた1台に、ショー直前にトヨタ自動車から発売されたJPN TAXI(ジャパンタクシー)があった。

 

現在の日本のタクシーは、同じトヨタのコンフォートという車種が主力。コンフォートもタクシー専用車だが、スタイリングは懐かしささえ感じる4ドアセダンだ。一方のJPN TAXIはミニバン並みに背が高く、利用者が乗り降りするドアをスライド式としたハッチバックであり、前輪駆動としたおかげで床は低くフラット。後席は座面の跳ね上げ、助手席は折り畳みが可能で、車いすでの乗降やスーツケースなど大きな荷物の積載にも配慮している。

 

 

英国ロンドンのタクシーに似ているという人もいるだろう。たしかにフォルムは近い。ただし前輪駆動方式やスライドドアなど独自の部分もあるし、歴史を振り返ってみれば、多くのタクシー専用車は利用者のことを考えて背を高くしていたのも事実。

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昔をよく知るクルマ好きにとって有名なのは、1976年にMoMA(ニューヨーク近代美術館)が企画した次世代タクシーの展示会だ。このときは地元米国から2社、欧州からフォルクスワーゲン、ボルボ、アルファ・ロメオが出展したのだが、特に注目を集めたのが、タクシーにはあまり似つかわしくないアルファの車両だった。

 

カーデザイン界の巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが描いたフォルムはワンボックス。ベースとしたのは水平対向4気筒エンジンを積む前輪駆動のコンパクトカー、アルファスッドで、エンジンが上下に薄いことを生かし、前輪上に運転席を置き、残りを客室とした。おかげで全長約4mながら、本来の後席に加え後ろ向きの補助席も用意し、車いすを乗せることも可能だった。

 

他のメーカーの車両も現在のミニバンに近い背の高いボディを持ってはいたけれど、ジウジアーロのアルファ・タクシーは都市部の渋滞を考慮して高さだけでなく短さにもこだわっており、一歩先を行っていた。それが今なお語り継がれている理由である。

 

しかしながら、この展示会に並んだ車両がニューヨークのタクシーに採用されることはなかった。同じニューヨークでは6年前、次期タクシー車両のコンペが行われ、最終選考の3台にトルコの商用車メーカー、カルサンが提案した斬新なデザインが選ばれたりしたものの、最終的に採用されたのは日産自動車のNV 200バネットだった。

 

これ以来にもいくつかタクシー専用のコンセプトカーは作られたものの、ほとんどは試作の段階で終わっている。街の景観に調和するデザイン、どんな人でも快適に利用できる使い勝手も大事だけれど、タクシーには同時に、信頼性や耐久性も求められる。商用車しか生産してこなかったカルサンのようなメーカーは不利なのである。

 

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その点JPN TAXIは、タクシー作りの経験も豊富であるうえに、信頼性に関しては世界一と言われるトヨタの自動車だから問題ないだろう。

 

パワーユニットがLPGを燃料とするハイブリッド車であることも特徴だ。タクシー業者が多く使うLPGに対応しつつ、トヨタが誇るハイブリッド技術を組み合わせた。納得のソリューションだ。

 

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逆に評価したいのは新たに開発されたボディカラーの深藍(こいあい)だ。実に日本らしい色である。これ以外に白と黒も用意されるようだが、今のタクシーによくある派手な原色に塗ったりしたら、JPN TAXIの魅力は半減すると思っている。2020年を目標に、まずは東京のすべてのタクシーを深藍で統一して、外国からの観光客にも好印象を与えるモビリティに育ててほしい。

 

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