騒音トラブルの不快感は“音”ではなく“気持ち”の問題だった? ストレスのコストを最小限に抑える方法

 

『』という記事が、ちょっとした話題になっているようです。騒音トラブルによるいざこざが殺人事件にまで発展してしまったというケースがあるのは筆者も知っていましたが、音の大きさは関係なく、音を発生する側と聞く側の人間関係と心理状態によるとは……。

 

 

■騒音トラブルで消耗するものって、意外と大きい…

 

皆さんは、近所の騒音で悩んだ経験があるでしょうか。筆者は、小学校の運動会練習時の“騒音”に耐えかねて、転入したばかりのマンションから2か月で引っ越しをしたという経験があります。

 

騒音の原因には正当な理由がありますし、むしろ自分の心の狭さを恥じるケースでしたが、敷金礼金、引っ越しなどの費用はやはり痛かったです。ガスや水道などの各種届出、住所変更など、面倒な作業を再度やり直すといった精神的コストはそれ以上に大変でした。

 

もしもこのケースが、隣人の騒音が原因だったら、筆者は引っ越しを考える前に、まず騒音を出している人に何らかの形で改善を求めたと思います。それでも改善されない場合、「引っ越し」という選択は逆にしにくくなると想像しました。「悪いのは相手、自分が引っ越さなければならないのはおかしい」──そんな感情にとらわれて、解決は長期化したかも知れません。

 

 

■「お互いさま」の精神を発揮できるとき・できないとき

 

生活をしていれば、音が出るのはあたりまえ。それを「お互いさま」と思えるケースとそうでないケースがあります。判断のポイントとなる要因の代表的なものに「意図の知覚」と「相手との関係性」があります。

 

なぜ騒音を出してしまったのか。その理由が一般的によくあることで、今後気をつけてもらえそうな場合、私たちは「お互いさま」と思うことができます。トラブルの当事者というのは、ゆがんだ知覚にとらわれやすい傾向があるので「よくあること」と考えるのは思っているより難しいかも知れませんが。

 

騒音を出した相手が親しい間柄だった場合も「お互いさま」の精神を発揮しやすいです。私たちは、配偶者や恋人、親しい友人など関係が親密な相手には寛容に振る舞う傾向があります。逆に知らない相手には冷淡な態度をとりやすくなります。なお親密でなくとも、職場や学校、ご近所などの半ばフォーマルな親密度の集団でも「お互いさま」の精神は発揮されやすくなります。

 

このような“不安定な集団”のなかで私たちは、周囲に受け容れられているかに敏感です。過度に批判的な人は嫌われますし、調和や秩序の維持という社会規範もはたらくので、おおらかな態度をとりやすいのです。それがもし、隣に誰が住んでいるかわからないといった関係性だった場合、「お互いさま」の精神は発揮しにくくなることは、想像できると思います。

 

 

■「やめてほしい」が攻撃に変わる?

 

攻撃に関する研究を調べてみました。やはり対人間に起きる問題状況を解決するにあたり、私たちはまず依頼や説得といった穏やかな手法がとるのが一般的だそうです。しかし、それが効果をあげない場合、私たちは攻撃も含めた強い方略を選択します。

 

攻撃は好戦的な人が選択する解決方法かと思っていましたが、苦痛、不快、不利益をもたらす他者の行動は、攻撃を誘発する原因だそう。誰もが攻撃する側になることもあり得ますし、攻撃される側になることも十分ありえるのです。

 

こうして考えてみると「音量公害ではなく感情公害だ」というのは、的を射た表現だと感じます。ご近所づきあいの大切さにも納得です。そうは言っても、今からご近所との関係づくりをするのは難しいと考える人は多いのでは? 逆にストレスになることも予測されます。自分の心の持ちようで、騒音に対して寛容になれる方法はないのでしょうか。

 

 

■ご近所トラブルに寛容になるために試したい3つの方法

騒音問題などのご近所トラブルに遭遇してしまったときに、どうすれば寛容になれるのか──感情公害を緩和するためのプランを立ててみました。

 

1. よくあることだと一般化してみる

「誰もが犯す可能性のある一般的なものだ」と考えられれば、加害者を特別な悪だと認識しなくて済みます。怒りを攻撃性に発展させてしまうのを抑止する効果が期待できます。

 

2. 相手に共感してみる

「~すべき」という気持ちは一旦横において、一度相手に共感してみるのも効果的。相手の立場になって考えるという視点取得、共感は私たちが持っている寛容性を高めます。

 

3. 好ましい人間像の形成・維持を目指してみる

人を許すということは道徳的にも推奨されている行為です。「器の大きな人間になりたい」「大らかに許せる自分のままでいたい」といった理想像を意識してみましょう。このトレーニングは自尊心の維持にも役立ちます。

 

それでもイライラしてしまうというときには……お金とエネルギーの必要な引っ越しも有効な手段だと筆者は考えます。関わることによって生じる不快感の回避は、ストレスや抑うつ軽減のほか、生活満足度を高めることも報告されています。心の安定はプライスレス。損して得とれ、というのもアリではないでしょうか。

 

最後に自戒を込めて筆者の好きな格言をご紹介しておきます。

 

「許すということで、怒りの出費、憎しみの費用、精神の疲労を抑えられる」

 

騒音に関わらず、トラブルに巻き込まれたときに思い出してみてください。

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