【今週の大人センテンス】妻不倫疑惑の太川陽介が示した「信じる」のパワー

写真:アフロ

巷には、今日も味わい深いセンテンスがあふれている。そんな中から、大人として着目したい「大人センテンス」をピックアップ。あの手この手で大人の教訓を読み取ってみよう。

 

第81回 会見を「ルイルイ♪」で締めた

 

「みんながみんなそう(不倫)思っても、僕は信じます」by太川陽介

 

【センテンスの生い立ち】

12月14日発売の「週刊文春」が、俳優・タレントの太川陽介(58)の妻で女優の藤吉久美子(56)の不倫疑惑を報じた。それを受けて太川は東京都内で会見を開き、150人の報道陣の前で、夫婦でどういう話をしたかを報告。藤吉から「不倫」はなかったと説明されて、「わかった、信じる! 僕が守るから。終わり!」と答えたという。会見中の太川は終始笑顔を保ち、最後にはカメラマンのリクエストに応えて、何度も「ルイルイ」ポーズを披露した。

 

【3つの大人ポイント】

  • 客観的には黒だけど白だと言い張って妻を守っている
  • 内心は穏やかじゃないはず、という気配が漂っている
  • イメージダウンのピンチをイメージアップにつなげた

 

「信じる」という言葉の強さと雄弁さを感じさせてくれる会見でした。妻である藤吉久美子の不倫疑惑報道を受けて、たくさんのマイクとカメラの前に立った太川陽介。冒頭で「今回は、うちのバカモンが軽率な行動をとって、こういう騒ぎになってしまって、本当に申し訳ないと思っています」と頭を下げました。

 

会見によると、「そういうの(男女の関係)じゃないから信じてください」と釈明する妻に対して、太川は「わかった、信じる! (世間から厳しい目で見られるけど)僕が守るから。終わり!」と返したとか。「なぜそこまで信用できるんでしょうか?」と尋ねるレポーターには、「だってカミサンだもん」と言い切りました。「みんながみんなそう(不倫)思っても、僕は信じます」とも。そんな太川に対して、ワイドショーでもネット上でも「神対応!」「カッコイイ!」と絶賛の声が巻き起こります。

 

「週刊文春」の記事を読むと、まあ他人がどうこう言う話ではありませんが、何もなかったとは思えません。たぶん太川陽介も、潔白を確信しているわけではないでしょう。しかし、客観的に白か黒かを判断するのと、主観的に白だと信じるのとはまた別の話。人と人との関係において、事実は重要な問題ではなく、当事者が信じようと思ったことが「真実」です。客観的には白なのに、主観的には黒と決めつけてしまうケースも少なくありません。

 

夫婦の間でじつはどういう話があったのか、これからの関係がどうなるのか、そこも他人が気にするのは大きなお世話。もちろん太川の態度や発言は、芸能人として騒動によるイメージダウンを最小限に抑えたいという“計算”もあったでしょう。それは、けっして責めることではありません。おかげでヤジ馬である私たちは、器の大きな対応やプロ根性に感心するというプラスの感情を抱くことができました。

 

最後に「ルイルイ」ポーズをやらされている姿も、「きっと内心はつらいに決まっているのに頑張って明るく振る舞っている」という前提を確認しながら見ると、より味わい深さが増します。会見のダイジェスト動画は、こちら。

 

ちなみに、なぜ「太川陽介=ルイルイ」なのか、よくわからない方もいるかもしれません。彼のレコードデビューは1976(昭和51)年。翌年に発表した3曲目の「Lui-Lui」が大ヒットし、歌詞の最後で「ルイルイ!」と叫ぶポーズがトレードマークになりました。それから40年、太川とともに生き続けてきた「ルイルイ」ポーズが、今回こうして思わぬ形でスポットを浴びることに……。懐かしいと思う方も初めての方も、よかったら18歳の太川が躍動しているこちらをどうぞ。

 

 

話がそれました。あらためて着目したいのは、「信じる」という言葉や行動が持つパワーです。公衆の面前で夫が「信じる」と言い切ったことで、妻の藤吉の名誉や夫婦の絆はギリギリのところで守られました。メディアによる彼女へのこれ以上の追求を防ぐ効果もあったでしょう。しかも、信じるのが難しい状況にもかかわらず、力強く「信じる」と言い切ったことで、太川の株も大きく上がりました。

 

また、夫が信じてくれたことによって、仮に藤吉がやましいことをやっていたとしたら、大きな罪悪感にさいなまれて深く反省するだろうし、本当にやっていなかったとしたら、どれだけ救われた気持ちになったことか。逆にもし「信じられない」と言われたら、やましいことをやっていたとしてもやっていないとしても、夫婦の絆は完全に切れてしまうでしょう。相手との関係を続けたいなら、とりあえずは信じないことには始まりません。

 

夫婦や恋人に限らず、たとえば仕事の場面でも、自分を信じてもらえない相手や自分が信じることができない相手とは、どんなに上辺を取り繕ったところで、うまくやっていくことはできないでしょう。相手が自分を信じているかどうかは確かめようがありませんが、そこは「本当に信じてくれているのかな……」と疑うのではなく、「信じてくれているに違いない」と信じてしまえばOK。さっきの話じゃありませんが、大事なのは客観よりも主観です。

 

人間関係だけでなく、自分の将来や世の中の未来も、疑ったところでいいことはひとつもありません。目標に向かって頑張ったりリスクに備えたりすることは大切ですけど、不安を無駄に膨らませて悲観的になることが賢い態度だと思ったら大間違いです。「信じる」のパワーを信じて、いろんなことを信じましょう。信じるものは救われるし、強くなれるし、楽しく生きていけるし、何より自分自身も人から信じてもらえます。

 

なんか妙な宗教みたいな言い方になってきましたが、けっしてそういうことを勧めたいわけではありません。誰かや何かにすべてを委ねるのは極めて危険です。甘いことを言って近づいてくる人や、オレオレ詐欺の電話を信じてはいけないのも言わずもがな。信じていいかどうか、信じるべきかどうか、そこは自分を信じてしっかり判断しましょう。

 

【今週の大人の教訓】

あえてウソを貫くのもウソを信じるのも、大人のやさしさ

関連記事