【ターニャの映画愛でロードSHOW!!】『魔女の宅急便』には幻のラストシーンがあった!? 鈴木プロデューサーが明かす魔女宅の裏話

「魔女の宅急便」 (c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N 

■誰にでもある「原点のとき」

 

明けましておめでとうございます! 金曜ロードSHOW!プロデューサーのターニャですー☆

 

みなさま、お正月はきちんと休めましたかー? 私ターニャは19歳まで過ごした神戸の実家などでゆったり過ごし、自分が育った環境の「原点」を感じながらのリフレッシュ休暇となりました。  

 

原点を過ごした時間や場所って誰にでもありますよね? それは部活漬けの高校生の日々かもしれませんし、ある人には大学時代に暮らした一人暮らしのアパートかもしれません。あるいは小学校に入る前から続けているスポーツクラブ……という方もいるかもしれません。

 

いずれにしても「原点となるとき」や「場所」は成長して大人になった後、追体験できる映像などを見たり、その場所に戻ってくると、なんらかの力やエネルギーを与えてくれるものです。どうしてこんな話をするかというと、本日よる9時放送の『魔女の宅急便』は、キキという思春期を迎えた小さな少女の「原点」となるであろう成長の日々を描いているから。それは一人前の魔女になるため、大人になるための修行生活なのです 。

 

 

■『魔女の宅急便』=宮崎駿監督が描く“思春期”

 

スタジオジブリの鈴木プロデューサーによると、宮崎駿監督は『魔女の宅急便』の監督をすることになった時、テーマについて悩んでいたそうです。ある日2人が打ち合わせのために長時間街を歩き、疲れて入った喫茶店で宮崎駿監督が鈴木プロデューサーに言ったそうです。「この映画で何をやったらいいの?」と。その問いに対して鈴木プロデューサーは「宮さん(宮崎駿監督)は正面から思春期ってやったことないですよね」と答えたそうです。すると監督はペンを取り出し、大きなリボンを描き言ったそうです。「これが思春期です。このリボンが少女を守っている。思春期ってそういうものでしょ」と。

 

「魔女の宅急便」 (c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N 

こうして頭に大きな赤いリボンをつけた主人公キキが生まれたんですね……。この話を鈴木プロデューサーから直接伺った時、名作の重要な要素が決まった瞬間というのは、かくもシンプルなのか、と驚いたものです。

 

また、宮崎駿監督にしか描けない少女の思春期、というものがどのようにして肉付けされていったのか感動を覚えました。鈴木プロデューサーは今回、『魔女の宅急便』制作時を振り返り、「宮さんは抽象的な概念で思考しない人だからすべてが具体化する」とした上で、2つのシーンが「宮崎駿監督が描いたキキの思春期」だと語ってくれました。

 

 

■主人公キキの思春期描いたシーンとは

 

鈴木プロデューサー曰く、キキの思春期が描かれているシーンとは、「……(キキが)あのパン屋へ行って次の朝早く起きてトイレへ行く。あそこですよね」観たことのないかたや思い出せない方のために補足すれば、トイレから出ようとしたキキがトイレの外に誰かが居る気配を感じてドアを閉めてまたトイレに戻るシーンです。鈴木プロデューサーはさらに、「あと一つはパン屋でつまんなそうな顔をしながらお留守番のシーン。あの2つですかね。宮さんがそう行った形で思春期を表す。なんかわかるような気がしました」と述懐しています。

 

「魔女の宅急便」 (c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N 

確かに、思春期を迎えた少女なら、他人の家で借りたトイレから出る際に人の気配を感じれば少し待って行き過ぎてから外に出る、という恥じらいの気持ちを持っても理解できますよね。また若い日のバイトで店番をしていて、退屈さでボーッとした、という経験をお持ちの方も多いと思います。こうした誰もが共感できるような「思春期あるある」をさらりと作品にまぶしていくことで、少女キキの思春期がリアルに描き出され、『魔女の宅急便』は観るものをぐいぐい引き込む魅力と、忘れがたい印象を持った名作になったのだと今回改めて思い知らされたのでした。

 

 

■幻のラストシーン、そしてラストが変更された理由とは

 

『魔女の宅急便』はラストシーンが当初の予定から変更された、ということをご存知ですか? ネタバレにならないようにかいつまんで説明しますね。もともと、老婦人がキキにケーキをサプライズプレゼントしてキキが涙ぐむ……というシーンで終わるはずだったそうなのです。このシーンは名シーンとして作品にちゃんと残っていますが、実際のエンディングは違います。友だちのトンボをキキが救うべく大アクションを繰り広げる、という全く違う形でラスト部分が展開していきます。その理由と変更された知られざる経緯について、鈴木プロデューサーが次のように教えてくれました。

 

「魔女の宅急便」 (c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N 

「やっぱりお客さんは娯楽として映画を観に来るんですよ。そしたらサービスが必要。それで宮さんと話してあのシーンを付け加えることになる。そしたら呼び出されたんですよ、僕。メインのスタッフから。『せっかくあのシーンで終わればいい映画なのに、鈴木さん、宮さんになんでそんな提案したんだ!』って。つるし上げ食らうんですよ、僕(笑)」

 

それでもひるむことなく鈴木さんはこう反論したそうです。

 

「……それで僕はね、苦し紛れにそういう言葉が出たんですね。『なんでもいいからそう付け足してやればいいシーンになるわけじゃないって。みんなさ、宮さんがやるんだよ! 面白くなるでしょ!』って。これがね、説得の言葉だったんですよね。そしたらみんなも何とも言えなかったんですよ」

 

鈴木敏夫プロデューサー

熟練スタッフと鈴木プロデューサーとの白熱のやりとりが伝わってきますよね……。

 

シーンを追加して欲しいと相談された宮崎駿監督はあっさりと了承したそうです。「宮さんっていう人は非常に面白い人でね、『あ、鈴木さんそう思う? だったら付け加えるよ!』って」笑顔でその時の様子を振り返る鈴木プロデューサーを見て、監督とプロデューサーの絶対的な信頼関係を私ターニャは感じたのでした。

 

「魔女の宅急便」 (c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N 

■ジブリが長く愛される理由

 

『魔女の宅急便』は、それまでのスタジオジブリ作品では最高となる大ヒットを記録、ジブリがさらに大きく飛躍するきっかけとなりました。小さな魔女キキの原点となる修行の日々を描いた物語は観客に圧倒的な支持で受け入れられたのです。そして、来年で公開30周年となる現在でも、広く愛される名作として受け継がれています。鈴木プロデューサーはジブリ作品が長く愛される理由について、こんなふうに感じているそうです。

 

「宮崎(駿監督)にしろ、高畑(勲監督)にしろ、なぜジブリの多くの作品がいろんな人に観てもらえるか。それってこんなことに関係があるんじゃないですかね。残念ながら人間の歴史というのは、だんだん人間なのに人間じゃなくなる、非人間化してきている。っていうときに、ジブリの作品の芯にあるものは何かって言ったら、人間的であるっていうことだと僕は思うんですよね。そうすると、やっぱり、人間ってそういうものが好きですよね。だから今の言葉でいえばデジタルとアナログ。どっちが好きかってこれ決まってますよね。アナログが好きに決まってるんですよ。だから(みんなが)ジブリを好きな理由はアナログ故じゃないですかね」

 

「魔女の宅急便」 (c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N 

■金曜ロード鑑賞が「原点」となることを願いつつ……

 

ということで、新春の金曜ロードSHOW! では、新年を幸せな思いで始めてほしいとの願いを込めて、宮崎駿監督が描く名作『魔女の宅急便』をお届けします。未見の方はこの機会にぜひ、観たことのある方も頑張るキキの姿にあなた自身の「原点」を思い出すきっかけになるかもしれません。

 

それでは皆様、心に残る忘れられない映画体験を☆

 

「魔女の宅急便」 (c)1989 角野栄子・Studio Ghibli・N 

■放送スケジュール
 

日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」
 

1月5日 よる9時『魔女の宅急便』(完全ノーカット放送)

1月12日 よる9時『ゲド戦記』

1月19日 よる9時『ルパン三世 カリオストロの城』


 

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