「夜のペヤング」に「うなぎパイ」…“精がつく”食べ物の効果って実際どうなの?

 

今日も編集部の方からお題がやってきた。わりと難しいお題をくださるありがたい編集者からのお題だ。さて今回のお題は――?

 

これである。

 

商品のボディコピーにも「勉強・仕事・家事など夜に頑張りたい方に向けたマカ入りのやきそばだ。体が温かくなるようなピリ辛の味付けが特徴です」と書かれている。編集部からのお題の続きは以下に。

 

「『夜のペヤング』という商品が出ました。『夜の』というネーミングで『精がつきそう』と話題になってます。うなぎパイと同じですよね。ところで、うなぎとかスッポンとか焼肉とか生卵とか『精がつく』と言われる食べ物がいろいろありますが、そもそも『精がつく』とはどういう状態で、巷で言われている食べ物は本当に『精がつく』のでしょうか?」

 

まず、男性にとって「精のついた」状態がどういう状態か。ざっくり言うとフィジカルが整っていて、かつ男性ホルモンの象徴とも言える、テストステロンが一定以上分泌されている状態。要は心身ともに「みなぎっている」状態を指すと思われる。

 

ではうなぎ、すっぽん、焼肉、生卵といった『精のつく』と言われる食べ物で本当に精はつくのかという問いに対する解答は「イエス」であるものの、「ノー」の側面もある。

 

どういうことか。

 

まず「イエス」の面から考えてみる。前述の食材はすべてタンパク質を中心とした食品だ。同じく「スタミナ食」の代表格と言われるにんにくなどと一緒にタンパク質を摂取すると、テストステロン値が上昇するという研究結果がある。にんにくや玉ねぎに含まれるアリシンがタンパク質食品に含まれるビタミンB1と結合するとテストステロンが増加するというのだ。さらに運動で筋肉に刺激を与えることでも、テストステロン値は上昇する(Metabolism.1996 Aug;45(8):935-9)。

 

とはいえタンパク質を摂取し、運動すれば「夜も大丈夫」というわけでもない。睡眠時間が短くなるほどテストステロンの値は低下する。過去の研究で、7時間睡眠と4.5時間睡眠のテストステロンの値を比べたデータ(Clin Endocrinol(Oxf).2012 Nov;77(5):749-54)はあるが、約20%も数値に違いがあり、徹夜だとその差はさらに大きくなる。つまり、テストステロンの分泌には、適度な運動と十分な栄養と休息が欠かせない。「夜の××」を食べたからと夜更かししては、むしろ精力が低下しかねない。

 

いやさ、そもそも「夜のお菓子」にはそうした効果があるのだろうか。お菓子やカップ焼きそばを食べて「精がつく」という話はあまり聞かないし、これらの食品にタンパク質はほとんど含まれていない。

 

実はいまから20年以上前、うなぎパイの製造元である春華堂の山崎泰弘社長(当時)が日本経済新聞の取材に対して、「夜のお菓子」の意味を聞かれて「夕食が済んだあとに家族そろって食べてもらいたいという意味」だと回答している。命名の理由も「候補だった「夕餉(ゆうげ)のお菓子」よりも語呂も良かった」(日本経済新聞1997年4月26日静岡版)からだと。

 

「春華堂」による「夜のお菓子」「うなぎパイ」ではあったものの、もともと「精がつく」という意図はなかったというのだ。もっとも、そこからの展開はしたたか。以下、から抜粋する。

 

「精力増強の話は別として」と前置きしながら、「うなぎパイ6本分に含まれるビタミンAは蒲焼き100gに含まれるそれに相当し、元気回復、夏バテ対策、視力保持などの効果が期待できると言われ」と思い切りのいい踏み込み。さらには「お客様のあらぬ解釈を逆手にとり「夜のお菓子」のフレーズにふさわしく、当時の栄養ドリンクカラーであった赤と黒と黄色の三色を基調としたものに切り替えた」と商魂たくましい。

 

確かに、巷で言われている食べ物には、本当に『精がつく』ものもあるだろう。もっとも栄養が行き届いた現代で、そうまでして精をつける必要があるのか……。そう考えると「夜の」お菓子や焼きそばというのは、案外いい落としどころなのかもしれない。

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