【ターニャの映画愛でロードSHOW!!】“食わず嫌い”なオトナも多いはず…劇場版「名探偵コナン」の味わい方

(c)2002 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

■脱・食わず嫌いのススメ


こんにちはー、金曜ロードSHOW!プロデューサーのターニャですー☆


人には誰でも食わず嫌いなモノが一つや二つはあるものです。食べ物だけに限らず、映画や小説のジャンルなど、エンターテインメントにも当てはまると思います。アクションやSFは嫌い、とか、アニメは見ない、かもしれませんし、ノンフィクションは読まない、という方もいるでしょう。人間誰しも好みというものがありますから、当然のことです。


でも、ちょっと待ってください。食わず嫌いによって損をしている、ということも往往にしてある事もまた事実です。だから私は、できるだけ食わず嫌いをしないように心掛けています。以前にも書いたように、超大ヒットしているものには、必ず理由があると考えているからです。


……なぜこんなことをつらつら書いているかと言いますと、今回ご紹介する『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』はアニメーション映画が好きではない、であるとかコナンには興味がない、といった「食わず嫌い」によって観ないのはあまりに惜しいからです!

 

(c)2002 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

■異色のコナン──「ベイカー街の亡霊」


告白すれば、私も2012年6月、金曜ロードSHOW!のプロデューサーになるまで、「名探偵コナン」シリーズは食わず嫌いをしていました。深い理由があったわけではなく、何となく観る機会がなかったというのが実情なのですが、いわゆる「コナン世代」ではない事や周囲から強く勧められたことがなかったということもあり、観ていなかったのです。


その後多くのコナン作品を観るようになり、四半世紀にわたって多くのファンに愛されてきた理由が少しずつわかってきたと感じています。今回はそのことを詳述するつもりはありません。なぜなら、「ベイカー街の亡霊」の魅力は、コナンシリーズの中でもやや異色であると考えているからで、あえて言えば、だからこそ、未見の方でも入りやすいと思います。そう、今回、声を大にして訴えたいのは、本作は、「コナンデビュー」に最もオススメのコナン映画、ということです!

 

 

■絶体絶命のピンチに追い込まれる主人公、その先にあるドラマ


観たことのない方にオススメする以上、コナンの世界観を少しだけ説明しておきます。17歳の天才高校生探偵・工藤新一が悪の組織によって、小さくされてしまったのが、江戸川コナンくんです。そのことは、両親や一部の人間しか知りません。幼なじみである毛利蘭でさえ知らない、ということだけまずはおさえてください。


物語は現在と19世紀ロンドン、2つの世界を舞台に展開していきます。主人公のコナンくんは、毛利蘭や「少年探偵団」らとともに、VRを使った新作ゲームのお披露目会に出席し、ゲームを体験するはずが、犯人の陰謀により、ゲームをクリアしないと現実世界に帰ってこられない危機的な状況に置かれてしまいます。まず、この設定が非常に巧みです。現実世界には推理小説家であるコナンくんの父親が残り、VR世界に入った息子、新一(コナンくん)を励ます、という親子の物語が印象的なのです。


「ベイカー街の亡霊」がなぜ異色かといいますと、主人公であるコナンくんが文字通り、絶体絶命に追い込まれる点が「いつものコナン」とは全く違います。「いつものコナン」では、さまざまな探偵アイテムの活躍や天才的推理により、そこまで追い込まれないのです。ところが今作では、本当に追い詰められます。なんと、コナンくん自らが「だめだ……打つ手がねえ……」と諦めともいえるセリフを発するのです。さらに、現実世界にいる父親に向かって完全な弱音まで吐いてしまいます。「もうダメだよ、父さん……」と。

 

(c)2002 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

絶対的に強く万能なはずの主人公が絶体絶命のピンチに追い込まれるレアな展開、私はここに知的興奮を覚えてしまいます。幼い日に再放送でみたウルトラマンシリーズで、単独では怪獣に勝てないウルトラマン(タロウやエース、セブンでもいいですよ、もちろん)を助けるため、兄弟や父たちが地球に飛んでくるのを見たとき、「おぉーー」と大興奮したときを思い出します。主人公が絶体絶命のピンチに追い込まれる展開は、それがレアであればあるほど、興奮するものですよね。それに似た感じです。


しかも今回は、自分がVR世界でのゲームを解かなければ、ゲームを体験している50人の子どもたちも犠牲にしてしまうのです。なんというプレッシャーでしょう……さあ、そのピンチをどうやって乗り越えるのか、最大の注目点の一つは、最高のドラマが繰り広げられるシーンでもあります。毛利蘭が感動の……っと、この先は、是非放送で堪能してください!

 

 

■そこはかとなく漂う哀しさ、野沢尚脚本による練りこまれた物語


「ベイカー街の亡霊」について紹介するとき、脚本を担当した野沢尚さんについて触れないわけにはいきません。北野武監督の初監督作品「その男凶暴につき」や、テレビドラマ「青い鳥」、「眠れる森」などの脚本を手掛けた脚本家・作家です。その手による練りこまれた物語が「アニメ映画は子どもの観るもの」という考えを完全に凌駕し、独特の雰囲気とそこはかとなく漂う切なさや悲しさを含んだ作品世界に私たちを連れて行ってくれるのです。


今回、もう一つの魅力が舞台設定です。VRゲームの世界とはいえ、コナンくんたちは、19世紀末のイギリス、小説世界の住人であるはずのシャーロック・ホームズやライバルであるモリアーティ教授も登場するロンドンを駆け巡ります。そこには、現実に存在した連続殺人犯「切り裂きジャック」こと、ジャック・ザ・リッパーも重要な役どころで活躍するのです。そしてコナンくんが解き明かす殺人事件の背景にある「真実」は、愛情と背中合わせの殺意、というやはり哀しい物語を含んでいて、しんみりとさせられます。そのあたりも、やはり「異色のコナン」の彩りになっていると思います。

 

(c)2002 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

脚本を担当した野沢尚さんは、今作でコナンと蘭のラブストーリーにできなかったことが心残り、とした上で、次のように語っています。「……僕としては蘭よりも灰原哀の虚無的なキャラクターに惹かれています。彼女のコナンに対する微妙な愛情に興味がありましたから。そういう意味で、もし次に脚本を書かせて頂くことがあったら、コナンと蘭と灰原哀の三角関係の話を書いてみたいですね」と。コナンくん同様に、体だけ小さくなってしまった灰原哀がお気に入りだったという野沢さんが書く三角関係……見てみたかったですね……。

 

残念ながら、野沢さんは本作公開から2年後の2004年に他界されてしまったので、叶わぬ夢となってしまいました。それでも私たちは、彼が詰め込んだ珠玉の物語をこの「ベイカー街の亡霊」で楽しみ、堪能することができます。

 

 

■屈指の人気作、ファンも大満足間違いなしのシーンもたっぷり!


言い遅れましたが、一昨年実施されたファンによるコナン映画の人気投票で「ベイカー街の亡霊」は堂々2位に輝きました。文字通り、映画シリーズでも屈指の人気作です。これまで述べてきたように、さまざまな魅力がある作品ですので、コナンを見たことがない、食わず嫌いをしてきた方にこそ、観ていただければ本当にうれしく思います。

 

(c)2002 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

もちろん! ファンの方には心を鷲掴みされる要素がてんこ盛りです!! ここぞの場面で大活躍する毛利蘭のセリフ、「コナンくん、信じてるから……」に女性は胸キュン必至ですし、コナンくんの口癖である「バーロー」もいつもとは全く違うニュアンスで使われます。それはそれは、「ちょっとないバーロー」になっているので、お見逃しなく!


最後に、作中でホームズが語る名台詞をお送りして今回はお別れです。

 


「人生という無色の糸の束には、殺人という真っ赤な糸が混ざっている。

 

それを解きほぐすのが我々の仕事なんじゃないのかい」

……解きほぐされましょう。みんなで。


それでは皆さま、心に残る、忘れられない映画体験を❤

 

■放送スケジュール

日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」

2月9日(金) よる9時『名探偵コナン ベイカー街の亡霊』(2002)

 

(c)2002 青山剛昌/小学館・読売テレビ・日本テレビ・小学館プロダクション・東宝・TMS

関連記事