【今週の大人センテンス】平昌メダリストたちの震える名言をもう一度!

写真:AFP/アフロ

巷には、今日も味わい深いセンテンスがあふれている。そんな中から、大人として着目したい「大人センテンス」をピックアップ。あの手この手で大人の教訓を読み取ってみよう。

 

第88回 大人力リンピックを勝手に開催!

 

「チャレッソ(がんばったね)。私は今もサンファのことをリスペクトしているよ」by小平奈緒(スピードスケート女子500メートル金メダル)


「まだ自分は金メダルを取る器ではないと痛感させられた」by高梨沙羅(ノルディックスキー・ジャンプ女子銅メダル)


「そだねー」byLS北見(カーリング女子銅メダル)

 

【センテンスの生い立ち】

25日に閉幕した韓国・平昌オリンピック。日本チームは冬季オリンピックでは過去最高となる13のメダル(金4、銀5、銅4)を獲得した。時差がないこともあって、日本国内でもいつも以上に多くの人がテレビの前でさまざまな競技を応援。全力で戦う選手たちの姿は、結果に関わらず、たくさんの感動や興奮や刺激を与えてくれた。ここでは、選手たちが発した言葉に着目して、たいへん僭越ながら、勝手に「大人力リンピック」を開催したい。

 

【3つの大人ポイント】

・競技だけでなく言葉でも多くの感動を与えてくれた

・スポーツの素晴らしさや意味を感じさせてくれた

・「自分もちゃんとしなきゃ!」と思わせてくれた

 

やっぱり、スポーツっていいものですね。そんなことをあらためて感じた17日間でした。韓国・平昌で行なわれていた冬季オリンピックが25日の夜、無事に閉幕。日本選手ばかりに注目したりメダルの数に一喜一憂したりするのはあんまりよくないかなと思いつつ、やはり日本選手の活躍に注目し声援を送らずにはいられません。それはそれで、いつもは見慣れない競技や、オリンピックという祭典の素直で果敢な楽しみ方と言えるでしょう。

 

選手たちは競技だけでなく、言葉でも私たちを感動させてくれました。たいへん僭越ではありますが、平昌オリンピックで生まれた数多くの名言のうち、とくに感動的で大人力が高い言葉を称える「大人力リンピック」を開催するといたしましょう。たくさんの素敵な言葉から、強引に3つを選定しました。そして、せっかくのオリンピックなので、バーチャルではありますが「金・銀・銅」のメダルを授与させてもらおうと思います。

 

◆金メダル◆

「チャレッソ(がんばったね)。私は今もサンファのことをリスペクトしているよ」

by小平奈緒(スピードスケート女子500メートル金メダル)

 

すべてのレースが終わり、小平奈緒の金メダルが決まった直後、彼女は長年のライバルであり今回は銀メダルに終わった李相花(イ・サンファ)を抱きしめ、慰めるような仕草を見せました。最初は泣いていた李も、小平と話すうちに笑顔を取り戻します。そのとき小平は李に、韓国語で上のように話しかけたとか。激しくしのぎを削り合って来て、お互いの苦しみも喜びもわかっているふたりだからこそ、そう言えたし、その言葉が深く突き刺さったと言えるでしょう。スポーツの素晴らしさや意味が、見事に凝縮された光景でした。

 

オリンピックが始まった頃には、日韓を取り巻く微妙な状況が影響してか、とくにネット上では韓国への失礼極まりない言葉が目立ちました。そうした言葉は結局は日本を侮辱することになるのに、まったく恥ずかしい限りです。しかし、小平の態度と発言、そしてふたりの友情は、醜い雑音を一気に吹き飛ばしてくれました。韓国に対するヘイトな発言を繰り返す人たちが、この先何か言いたくなるたびに、小平に恥じる気持ちを持ってくれることを祈らずにはいられません。いや、こういうつなげ方はふたりに失礼だとは思いますが。

 

◆銀メダル◆

「まだ自分は金メダルを取る器ではないと痛感させられた」

by高梨沙羅(ノルディックスキー・ジャンプ女子銅メダル)

大会前半に競技が行なわれて、その後も日本選手の活躍が続いたこともあり、ちょっと遠い出来事になっているかもしれません。高梨沙羅の銅メダルは、前回のソチ五輪での無念を乗り越えての獲得だけに、日本中をホッとさせる嬉しい快挙でした。もちろん、本人は悔しかったことでしょう。21歳にしてその悔しさを上の言葉で消化し、自分を納得させようとしている姿には、尊敬の念を抱かずにはいられません。

 

彼女は、上の言葉に続いて「これで終わるわけではないので、次の北京五輪で今度こそ金メダルを取りたい。応援してくれた方々に結果で感謝の気持ちを伝えられるようにやっていきたい」と語っています。ジャンプ女子では、期待されながら風に恵まれずに9位に終わった伊藤有希が、銅メダルを決めた高梨沙羅に真っ先に抱き着いて祝福した姿も印象的でした。並外れた努力を重ねて戦いに挑む選手たちの姿は、どんな結果だったとしても、見ている私たちに「自分もちゃんとしなきゃ!」という気持ちを抱かせてくれます。いや、そういう気持ちを少しでも行動に反映させることが大事なんですけど……。

 

◆銅メダル◆

「そだねー」

byLS北見(カーリング女子銅メダル)

 

今までも冬季オリンピックのたびに注目を集めてきましたが、今回の平昌オリンピックはカーリングという競技の魅力を強烈に思い知らせてくれました。話題を呼んだのが、銅メダルを獲得した女子のLS北見のメンバーが「そだねー」「いいと思うー」と北海道弁で相談しながら戦う姿。「そだねージャパン」というニックネームも生まれました。試合の途中の「もぐもぐタイム」や、頻繁に見せてくれる笑顔も印象的。真剣で厳しい戦いだからといって、しかめっ面をしているばかりが能じゃありません。

 

彼女たちの「そだねー」は、今の日本にもっとも必要な言葉であり姿勢ではないでしょうか。まずはいったん相手の意見を肯定し、同意していることを示す。その上で力を合わせて、よりよい正解を追求していく。なごやかな雰囲気を大切にして、常に笑いを忘れない。私たちはいつの間にか、仕事の場面でもプライベートの場面でも、スキあらば相手を否定して自分の「正しさ」を押しつけたがる癖がついています。そんなセコイ我欲を捨て、気持ちに余裕を持って、お互いに「そだねー」と言い合えば、ことさらギスギスせずに済むし、いい結果につながったり望ましい結論が導き出せたりするはず。さっきとはまた違う意味で「自分もちゃんとしなきゃ!」と思わせてもらいました。

 

「なぜあの言葉が入っていないんだ!」という声も多くありそうですが、そこはご容赦ください。あらためて、選手のみなさま、関係者のみなさま、ありがとうございました。そしてテレビの前で声援を送ったみなさまも、たいへんお疲れ様でした。選手のみなさんが何かの拍子にこの授賞を知って、ほんの少しでも喜んでいただけたら望外の幸せです。

 

【今週の大人の教訓】

受けた感動や刺激や応援する気持ちをいつまで覚えていられるかが課題

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