辛酸なめ子発の「Supreme男子の生態」が今更ながら面白い

出典:「」公式サイトより

女子SPA!に掲載されていた、辛酸なめ子さんによるイラストコラム『』がとても面白かったので、ついつい最後まで熟読してしまった。
 
ストリートカルチャーから生まれたスケーターのカリスマ的ブランド『Supreme』の店員は「いまだメジャーへの反抗精神が強く、客に対しても上から目線=おっかない」「コラボアイテム発売時は前日から行列ができる」……などといった幾つかの“伝説”自体は、すでにあらゆるメディアに揉みし抱かれて摩耗しきった情報なのだけれど、そういう“いささか旬を外したネタ”を、独自の視点と惚けた文体、それに味があってホンのちょっぴりのアイロニーもフレイバーされた挿絵で、“商いとして成立する読み物”にまで持っていく、辛酸さんのイラストライターとしての力量には、“同業者”として私も頭が下がる想いだ。いや、ホント……。
 
で、辛酸さんの観察眼によると「Supreme男子の生態」とは以下のような感じであるらしい。
 

先日電車で見かけたSupreme男子は、アイテムを周囲に見せつけていて、とくに膝にわざわざ置いている財布が不自然でした。スケーター感が皆無なぽっちゃり体型でしたが、お金は持っていそうでした。
 
たまにSupremeで買い物をするという20代男性に話を聞くと、確かに(店員の高飛車な)態度は気になるけど、店員が着ているものが欲しくなる、という話でした。
 
実はSupreme男子は羊のように従順で、イカつい兄貴に従いたいという男子は結構多いのかもしれません。(中略)(私が実際に行ったときは)平日だったのでしばらく並んで入店できました。(中略)でも、夜の19時20分頃になると外の列が途中で打ち切られました。「もう買えないんで」「明日もあるんで」と、まだ閉店まで30分以上もあるのに20人くらい、素っ気ない口調で帰らせられていました。
「打ち切りっすか」と、店員に言われるがまま帰るSupreme男子は、不満げというよりどこか嬉しそうです。(後略)


ここで私が一番びっくりしたのは、「辛酸さんが(潜入)取材として、ちゃんとSupremeにまで足を運んでいる」といった事実である。いったいギャラはいくらもらってるんだ……と。
 
私は、よほどの例外なケース(一泊二日の温泉旅行ルポだとか…タダでもいいからやりたい仕事だったり、担当編集が無茶苦茶タイプの女性だったり)でもないかぎり、ギャラの高低によって、原稿執筆の際に必要な労力の度合いを、自分のなかで細かく分類している。
 
たとえば、「先方まで出向いての打ち合わせが不可欠な仕事はいくら以上、取材に出かけなければならない仕事ならさらにいくら円以上、インタビューモノでテープ起こしまでしなければならないなら、さらにプラスいくら…」といった按配で、イラスト付きでわざわざお店まで取材に行くなら、けっこうなギャラをいただかないと……コスパの面で割が合わない。
 
まあ、辛酸さんは超売れっ子なので、もしかすると私なんかより「けっこうなギャラをいただいている」のかもしれない。しかし、ネット上で量産される星の数ほどの記事やコラムのクオリティーが劇的に向上しはじめている昨今、“ギャラ”ではなく“好奇心”に突き動かされて書く(描く)といった一種のアマチュアリズムを見直さねばならない時期に、我々プロの文筆家も差しかかってきているのではなかろうか。元来、物事や人に対する好奇心が薄いタイプである私としては困った話なんだが……?

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