列車の大幅遅延、特急料金は払い戻してもらえるのか?

ライフハック

 

毎年7〜10月は台風が日本に上陸する季節だ。台風に限らず、大雪などの天候不良、沿線火災あるいは人身事故などにより、一時的に鉄道が止まるケースは珍しくない。こうした際に鉄道に払ったお金は、払い戻されるのだろうか。

 

■「運賃」と「料金」は別物

 

鉄道を利用するときに支払うお金は、「運賃」と「料金」に大別される。運賃は普通列車でも特急列車でも等しく列車に乗ったときに支払う。わかりやすくいえば乗車券代である。一方、料金はJRでは特急・急行列車、グリーン車・寝台車、一部の私鉄では特急・個室など、列車に付帯するサービスに対して支払うお金だ。JRを例にとると、特急列車を指定席で利用した際は運賃+指定席特急料金が、グリーン車のときは運賃+自由席特急料金+グリーン料金が必要である。

 

日本の鉄道は高い確率でダイヤ通りに運行されているが、運賃とは別に料金を払って早く着く列車(または快適な車両)を利用したのに、例え鉄道会社に責任がなくとも何らかの異状で遅れが生じると、腑に落ちない気分になるのは正直なところだろう。

 

 

■旅行を取りやめれば、全額払い戻される

 

鉄道会社には約款として営業規則が細かく決められ、列車遅延の場合の払い戻しについても明確な基準が設けられている。JRの場合は、国鉄が制定した旅客営業規則をおおむね継承している。ここではJRのケースを取り上げる。

 

利用者の都合によりきっぷをキャンセルするときは手数料が必要だが、自然災害や事故などにより列車が運休あるいは遅れが発生した際、出発前に旅行そのものを取りやめた場合は、運賃・料金とも全額が払い戻しされる。別の列車に変更するなら、一度変更している場合でも手数料無料(通常、2度目の変更はできず、一度払い戻しにしてから新規に購入することとなる)で変更可能となる。

 

旅行中に列車が運行不能になると、それ以上の旅行はやめてしまおうかと思うときがあるだろう。その際は出発した駅まで無料で戻れ、途中下車をしている場合を除いて、止まった駅まで乗ってきた列車およびこれから乗車する予定だった列車の運賃・料金も全額払い戻される。旅行を続ける場合は後続の列車に乗車できるが、特急に乗車している場合は特急へ、急行(現在のJRでは臨時以外ない)の場合は急行へ振り替えとなり、急行から特急へ(普通から特急へ)のアップグレードは行われない。

 

 

■特急料金の払い戻しは2時間遅れが目安

 

旅行はそのまま続けるが、予定より大幅に遅れて目的駅に着いた場合はどうだろうか。新幹線を含めた特急・急行料金は2時間以上遅れた場合に払い戻しが受けられる。例えば15時00分着の特急列車が17時01分に到着したときは特急券を払い戻してもらえるが、16時59分ならば払い戻しはされない。ちょっと杓子定規だが、規則ではこのようになっている。

 

以上は普通旅客運賃・料金に関わるもので、定期券・回数券、フリーきっぷなど「お得なきっぷ」に対する扱いはまた別になっているので、駅係員に確認してほしい。

 

ところで、新幹線のグランクラスを含むグリーン料金については、運休や運転取りやめによって全区間または一部区間で利用できなかった場合に限り払い戻しがなされ、2時間以上遅れたが目的駅まで乗車した場合は払い戻されない。一方で寝台料金については使用開始から朝6時までの間に、一部区間あるいは全区間を利用できなかった場合に限り全額払い戻される。先述の夜行列車のグリーン車が寝台車だった場合も、朝6時を過ぎて利用していたなら払い戻しはされない。グリーン料金とは座席幅の大きさや車内の静粛性など、普通車よりグレードの高いサービスに、寝台料金はベッドに横になって移動できるというサービスへの対価で、目的駅まで乗車したということはそのサービスを享受したものと見なされるのだ。

 

運賃についても同様で、旅行を続けるならば、いくら遅れても運賃は戻ってこないのでご注意を。また、不通区間が生じてほかの鉄道や代行バスを利用した際は「振替乗車」となり、運賃の返還はない。

 

これらの取り扱いはJR各社のWEBには「旅客営業規則」「きっぷのルール」などのタイトルでアップされており、また交通新聞社やJTBパブリッシングから刊行されている時刻表には「事故などの場合の取扱い」として掲載されているので参照されたい。

 

有料特急を運行している大手私鉄については、近鉄・西武およびJR御殿場線に乗り入れる小田急の特急は1時間以上、東武・小田急・京成・南海は2時間以上遅れた場合に、特急料金が払い戻される。しかし、路線が短い私鉄では台風などにより遅れが見込まれる場合は事前に特急を運休する手はずをとるため、車内で「缶詰め」になるケースはあまりない。

 

筆者の経験を紹介すると、学生時代のある夏に、東京〜名古屋間を「大垣夜行」と通称される夜行普通列車のグリーン車に乗車した。時刻表通りならば名古屋駅に朝6時ごろ到着するはずだったが、台風来襲でノロノロ運転のあげく途中駅に長時間停車し、明るくなってから動き出した。下りの「大垣夜行」は、深夜帯は主要駅だけ止まるが、早朝になると各駅に停車するため、なかなか名古屋に近づかなかった。台風は未明に去り、並行する東海道新幹線は朝から運行を始めて、車内放送でも急ぐ人は振替輸送を勧めていた。しかし、新幹線代がもったいなかったことと、2時間以上遅れた場合は料金が戻ってくることを知っていたので、そのままグリーン車に乗車し、あわよくばグリーン料金を取り戻そうと車掌に申し出たら、グリーン料金は戻らないとの回答だった。結局、名古屋駅に到着したのは昼前で、時間を損しただけだった。こんなケースもあるので、旅行を取りやめるか、続けるかは臨機応変に対応してほしい。

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