「女子的」演技から宇宙人アイドルまで! 志尊淳の魅力って?

出典:「」より

■ドラマで輝く20代俳優たち

 

1~3月期のドラマで特に目立ったのが20代男性俳優たちの活躍だ。『トドメの接吻(キス)』の山崎賢人と菅田将暉、『アンナチュラル』の窪田正孝、竜星涼、『海月姫』の瀬戸康史、『BG~身辺警護人~』の間宮祥太郎……と、ざっと思いつくだけでもこの充実ぶり。ビジュアルの良さに加え、確かな演技力と個性的なキャラクター造形を武器に、彼らは画面の中で確かな存在感を放っていた。

 

そんな中、異色とも言える作品で視聴者に鮮烈な印象を残した若手俳優がいる。近年、良作を多く生み出すNHKドラマ10で“女子”を演じた志尊淳である。

 

男性俳優が“女性”を演じる場合、もっともポピュラーなのはバーやスナックの“ママ”役。この場合はいわゆる女装姿で女性言葉を使って、おネエ的なキャラクターを強調するのがデフォルト。だが、志尊がドラマ『女子的生活』で演じた小川みき(小川幹生)はそれとはまったく異なっていた。高校生まで地元で男子として過ごし、地元を出てからはOLとして神戸のファストファッションのメーカーに勤務。合コンにも女性枠で参加し、同僚や上司たちもみきを普通に女性社員として扱って、社内や人間関係に妙な違和感や変な気遣いはない。

 

……と、ここまでサラっと書いてみたが、いやいや、これを若手俳優が表現として成立させるのはかなり難しいよ?いくらメイクやファッションを女性に寄せても体つきや声、身のこなしで男性モードは醸し出されるし、身長が178cmある志尊淳はもともと中性的なプレイヤーでもない。

 

が、彼は壁を軽々と超え、完璧な“女子”としてみきを演じ切った。ヒールを履き、ゆうに180cmを超えた姿で背筋を伸ばして商店街を歩く姿は美しかったし、アラが出がちなファストファッションの着こなしも完璧。そしてなにより“女子”としての内心の表現が秀逸だった。

 

 

■女子の心をハッチリ掴んだ『女子的生活』

 

『女子的生活』がおもに女性視聴者の心をがっちり掴んだ大きなファクターが、志尊演じるみきのキャラクターだ。1品持ち寄りのセレブ合コンでは武将のように全体の流れを見つつ「男の胃袋は結局14歳止まり」と、キラキラ女子のローストビーフのあとにハムでポテサラを巻いた料理を出し勝利を飾る。ひょんなことから同居人となった元同級生・後藤(町田啓太)との掛け合いは漫才のように楽しいし、同僚OLとの会話は“女子”そのものだ。そして時に鋭い毒を吐きながらも、最後にはきっちり弱いものに寄り添う……それはきっと、みきが自身の心にたくさんの弱さを抱えているからなのだろう。

 

さらにみきの恋愛対象は女性。男性として生を受け、女性として生きることを選び、さらに女性を愛するトランスジェンダーという非常に複雑で難しいこの役柄を、志尊は繊細に、そして痛快に演じた……まだ23歳とは思えない深みのある演技で。彼が『女子的生活』で俳優として大きな一歩を踏み出したのは間違いない。

 

 

■突き抜けた芝居で魅せる『ドルメンX』

 

そんな志尊がみきとはまったく違った姿で活躍しているのが土曜日の深夜ドラマ『ドルメンX』(日本テレビ系列)だ。こちらは地球侵略をするためにやってきた宇宙人たちが「アイドルになれば侵略も早くできるじゃね?」とオーディションに応募し、風変わりな芸能プロ社長(徳井義実)と、女性宇宙人マネージャー(玉城ティナ)のもと、トップアイドルを目指すという破天荒なストーリー。この中で志尊はリーダー格の“隊長”を演じているのだが、真剣におバカなことに向き合う姿はめちゃめちゃキュート(どんな時でも帽子を取らない隊長!)だし、コメディセンスも半端ない。

 

宇宙人アイドルたちがトライする舞台『力士の貴公子ミュージカル』は、明らかに志尊の俳優デビュー作『ミュージカル テニスの王子様』をもじっており、そのあたりの展開も楽しみだし、突き抜けたコメディだからこそ役者の力量が試される作品だとも思う。

 

それにしても、最近の若手俳優陣の達者さ、巧みさは凄い。今や顔が綺麗=演技はド下手、という図式はすっかり崩れたのだと毎クールごとに思い知らされるここ数年……なのである。

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