海外安全マニュアルに「ゴルゴ13」を起用した外務省の柔軟性

出典:「」より

朝日新聞DIGITALが配信する『』なるタイトルの記事が目に留まった。

 

外相、イコール外務大臣絡みゆえ、すわ! お役所から版元へとなにかクレームでも入ったのか……と思いきや、大人気長寿漫画『ゴルゴ13』を題材にしたこの海外安全対策マニュアル──どうやら外務省みずからが、2016年7月にバングラデシュで日本人7人が殺害された事件を受け、17年に海外での安全対策を全13話にまとめたもので、初版11万部が残り約1万部となり、重版(第二版は4月2日発行)のタイミングで、昨年8月の内閣改造で外相を退いた岸田文雄氏の顔が、河野太郎(現)外相に変わった……という経緯である。

 

ちなみに、イラストが差し替えられたのは、外務省の大臣室で外相がデューク東郷に海外での安全対策の指南役を依頼するシーンで、岸田・河野両氏の顔とも『ゴルゴ13』の単行本全巻から、外務省の担当者が似た顔を探し出して使用した……という。

 

霞ヶ関の一室にゴルゴ全巻が積み上げられて、それを一冊一冊懸命に熟読する役人さん……想像するとなかなかに笑えるシュールな絵であるが、最初にこのニュースを知ったとき、私は単純にこう思った。ゴルゴ13のキャスティングをよく外務省のトップが許可したな……と。

 

だって、ゴルゴ13って職業はスナイパー、殺し屋ですよ。れっきとした犯罪者ですよ。世界レベルの反社会的存在、いわば外務省がもっとも要注意人物としてマークしなければならない“天敵”みたいなヒトじゃないですか!

 

……なんて、そんな重箱の隅をつつくような、モラルを盾にしたインネンの言がネット上では飛び交っているのでは……と、ざっくり調べてみたところ、おおよそが

 

「両バージョンとも激烈欲しい」

 

「ゴルゴ13ファンの麻生太郎バージョンが見たかったな」

 

「ゴルゴなら全てにおいて信頼できるからな笑」

 

……ほか、好意的なコメントばかりで、今や実年齢は80歳を越えているとの噂もあるゴルゴも、長年の時を経てずいぶん愛されキャラになったんだな……と感慨の念を禁じ得ない。

 

もちろん、私はいくら“相手”が「軽く1000以上の人間を殺めてきたプロフェッショナルな仕事人」であろうが、理より実を取って共闘の関係を結ぶ外務省の柔軟な姿勢は、大いに評価したい。「海外安全対策」という、現在における最優先事項的なマニュアルを、一人でも多くの日本人の目に触れてもらうには……どんな手段を講じても、まずそれが「面白いこと」が不可欠であるからだ。

 

じつのところ、外務省ってえのは他の役所と比べて案外頭の柔らかいところがあって、この私もなにを隠そう、外務省が公式で配信していたODA関連のホームページ作成の仕事を請け持ったことがあり、そこでキャバ嬢について書いたら、すんなりイキになった経験がある。おそらく、省庁発の読み物で「キャバクラ」なる言葉を使った初めての人間は、私なのではなかろうか(笑)。

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