「もしかして」からの行動を! セクハラ被害者の“か細い悲鳴”に気づいたら

人間関係

三浦ゆえ

 

2018年4月、セクハラ、性暴力についてのニュースが相次ぎました。これを受けて今後はセクハラ、性暴力に厳しい目が向けられるようなり、被害が未然に防がれ、被害者に即座に手が差し伸べられ、守られ、加害者に相応の処分が下るよう社会全体が変化していってほしい……のですが、セクハラ、性暴力は周囲が「気づきにくい」ことも事実です。

 

 

■加害者は周囲に悟られぬよう行為に及ぶ

 

加害者は、周囲に察知されないよう仕組みながらセクハラ行為に及びます。被害者が「自分はいま被害を受けている」と認識できず周囲にサインを出せなかったり、加害者が被害者に圧力をかけて沈黙を強いたり。ストレートな脅しでなくとも「誰かにいえば、君は職場にいられなくなる」「この業界で仕事ができなくなる」とにおわせるだけで十分──いえ、明白な上下関係があれば何もいわなくとも脅しは成立します。

 

「あのふたりは仲がいい」「Aさん(加害者)はBさん(被害者)をかわいがっている」と見えるよう仕組む加害者もいます。筆者もかつて、このタイプの加害者に遭遇しました。周囲からも「かわいがってもらっているよね」といわれるので誰にも相談できなかったケースや、加害者の恋愛感情(と周囲には見える)を受け入れない私のほうが「つれない」「ひどい」といわれるケースがありました。

 

SNS上で、漫画家の“とあるアラ子”さんがが話題になっています。そこでは、加害者があらかじめ彼女を孤立させるよう仕組んでいたこと、周囲にとっては「いい人」であるため誰もその加害行為に気づかずにいたことなどがつづられています。2016年に発表された同作が、いまあらためて注目されているのは、加害者が仕掛ける“罠”について多くのことを示唆しているからでしょう。

 

 

■見て見ぬふりをして「セクハラに加担」していないか

 

状況によっては周囲も当然気づきますが、「気づく」→「告発」というシンプルな流れにはなかなかなりません。

 

部下が副市長から受けていたセクハラを止めなかったとして、がありました。加害行為を止めないのは加担したも同然です。見て見ぬふりをしたことを擁護するわけではないのですが、この男性職員にとってその場で「副市長に逆らう」ことがいかにハードルが高かったか、という状況もイメージできます。

 

第三者が、自分よりも立場が上の人を訴えることはたやすくありません。セクハラや性暴力とは、そもそも地位が上の人から下の人に対して行われるもので、加害者はみずからの地位を利用することに長けています。

 

同席していたのが自分より目上の人間であれば、副市長は非道な行為に及ばなかったでしょう。そこにいるのが自分に逆らえない人間だとわかっていたのです。「見て見ぬふり」のなかには、個人ではなく社会構造に問題があるがゆえに起きているものも少なくなさそうです。

 

けれど、気づいた人が制止すれば終わりにできたはずの性暴力が放置され、加害が長期化、悪質化する事態は避けられなければなりません。そこで知ってほしいのが、「第三者介入プログラム」です。

 

 

■「もしかして」からのアクションを

 

これは、目の前で起きている、もしくは起きようとしている性暴力に対して当事者ではない第三者がアクションを起こして食い止めるためのプログラムです。筆者は以前、女性への差別や暴力、抑圧に声をあげていく一般社団法人「ちゃぶ台返し女子アクション」が大学生有志とともに開催したワークショップを見学しました

 

そこでは、「私たちは思ったほど介入できていない」が前提とされていました。セクハラを告発したことで逆恨みをされ仕事上の不利益を被るかもしれない……と考えると、なかなか行動にはうつせません。だからこそ人は「自分の思い過ごしかな」「周りも何もいってないから大丈夫だろう」と思い込みます。

 

しかし第三者介入の基本は、「あれ?」「もしかして」と思った段階で行動にうつすこと。ワークショップで紹介された「3D」という介入方法には、自分へのダメージが少ない方法も含まれています。

 

・DIRECT(直接介入)

=加害者/被害者になろうとしている者に対して直接干渉し、事態の悪化を止める

 

・DELEGATE(委譲)

=別の人に助けてもらうようお願いする

 

・DISTRACT(気を紛らわす)

=注意をひくような“邪魔”を意図的に作り出し、問題となりうる状況を和らげる

 

直接止めに入るのはむずかしくても、誰かに任せたり、邪魔をしたりといった方法があると知ることで、介入のハードルは飛躍的に低くなります。

 

アメリカではでこのプログラムが実施されている高校や大学が少なくなく、導入したある高校では、3年間で性暴力の事件数が47%減ったそうです。日本でも、セクハラを含むハラスメント防止研修などにこれが加わることで、防げる被害が増えるのではないでしょうか。

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