豪華アーティストの「無料ライブイベント」って誰が得するの? ちょっと気になるお金の流れ

 

近年、無料で観覧できるライブイベントが増加している。公共施設、ショッピングモール、公園、路上……いたるところにステージが設けられ自由に観覧できるアレだ。

 

 

■豪華アーティスト出演、10万人規模の動員…でもタダ!

 

先日のゴールデンウィークにも『TOKYO M.A.P.S』(東京・六本木ヒルズ)、『高槻ジャズストリート』(大阪・高槻市)など動員数万人~10万人以上の規模になる無料ライブイベントが全国各地で開催された。足を運ばれた読者の方も多いのではないだろうか。

 

無料だからと言ってクオリティが低いわけではない。たとえば『TOKYO M.A.P.S』では水野良樹(いきものがかり)、FLYING KIDS、BONNIE PINK、『高槻ジャズストリート』では宇崎竜童、原田真二、日野皓正などそうそうたるアーティストが出演している。

 

それぞれコンサートに行けば5000円以上、フェスなら数万円かかるような面子だ。それがタダで観られるというのだから音楽ファンにとっては有難いことこの上ない話だ。オープンスペースで開催されることが多いので、出演者にちょっとだけ興味のある人や長時間の滞在が難しい子育て世代の母親やお年寄りにもうってつけと言える。

 

しかし、無料ということはチケット収益を見込めない。「運営資金はどこから出るの?」「出演者たちのギャラはどうなってるの?」と不思議に思う方もいるに違いない。アーティストとしてこの手のイベントに出演したことがあり、制作会社として企画・運営にもかかわった経験のある僕が、自分の知りうる範囲で説明させていただこう。

 

 

■出演者のギャラはどこから出てるの?

 

無料ライブイベントは行政や地域団体による地域振興……いわゆる町おこしや商業施設のPRの予算を用いておこなわれることが多い。駅前開発をしたり、プレゼントキャンペーンをするよりはるかに少ない費用で済むし、参加者が多ければメディアの取材やSNSでの情報拡散効果もはかりしれない。主催者はお金を出しても十分な恩恵にあずかれるのだ。

 

また無料だからと言って収益が無いわけではない。イベント規模が大きければ飲食店の屋台の出展料や広告料も見込むことが出来る。費用のすべてをまかなうことは出来ないが、それなりの足しにはなる。そんじょそこらのお祭りより人が来るので、出展者も比較的集めやすい。

 

その上で出演者のギャラについて。これはけっしておいしい案件ではないが、普通に出る。いや、出させる。イベント運営に不慣れな主催者だと、スター以外ならタダで呼べると思い違いしている例もあるが、基本的にライブは仕事だ。僕が携わった範囲では常識外の安いギャラでプロのアーティストを呼んだことは無いし、主催者が変な勘違いをしないようにあらかじめ説明する。

 

アーティストにとっても“特にファンではない”お客を前にライブをできることは新規開拓の大きなチャンス。そういう視点から、僕はお付き合いのある大御所たちには無料ライブイベントへの出演を積極的におススメしている。

 

無料ライブイベントはしっかり運営すればお客も、出演者も、主催者もウィンウィンになれる貴重なビジネスケースだ。今後も各地で新しい催しが増えてゆくことを願ってやまない。

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