女子が茶髪にしたい理由と、オジサンが白髪を隠す理由

 

どうして男は黒髪の女子が好きなのに、女子は茶髪にしたがるのか?──そういうテーマで一本原稿を書いてもらえませんか、とcitrusの編集長氏(40代・男性)から突然のメールをいただいた。

 

今、あえて論じる意図と必然性がまったく読めない不思議な依頼であるが、たまたま参加した合コンの女子メンバーが、たまたま全員ほぼ金髪に近い茶髪だった……と、まあ大方がそんなカジュアルな感じの思いつきなんだろう。まったくもって迷惑な話ではないか。

 

そもそも編集長氏──いや、ここからは日本の最大公約数男子の“総意”ってことにしておこう──が嘆くところの「茶髪」とは、いったいどの程度の茶髪なのかがよくわからない。仮に前述したとおりの「ほぼ金髪に近い茶髪」クラスのことを嘆いているのならば、今回のこのテーマは残念ながら、いささかピント外れだと指摘せざるを得ない。なぜなら、近年のヘア・トレンドは全体的に「黒髪寄り」へと向かっており、もはや「あからさまな茶髪にしたがる」女子は少数派になりつつあるからだ。

 

ただ、「黒髪」とは言っても、あくまで「寄り」なわけであって、よくよく観察すれば、たいがいは目立たない微妙な茶色が混色されていたりする。正確な表現をすれば「黒髪風」なのである。

 

もし、男子たちがこういった「黒髪風」ですらも「けしからん!」と断じるなら「それは女子にとって少々酷すぎるのでは…?」と、私は疑問を呈したい。

 

そりゃあ、男子の黒髪は基本ショートだからいいですよ。でも、ロング・セミロングが主流である女子にとっての「100%純正の黒髪」はけっこう微妙だったりする。“量”が多いぶん、どう頑張っても重く、暗く、地味に見えてしまいがちですから。髪の傷みもむしろ目立ちやすいし……。おそらく女優やモデルやアイドルでも「100%純正」のまんまでいるのは相当の勇気を要すると思う。そして、おそらく大半の男子たちは、女子がサロンに足繁く通いながら陰で地道に行っている“さり気ないカスタマイズ”を、単に見逃しちゃっているだけなのではなかろうか。

 

もうすぐ50代半ばに差しかかろうとしている私は、彼女らのそういう心情が痛いほど理解できる。たとえば周囲にいる友人知人は、最近急速に白髪が増え出した私に、よく「いいじゃん、そのまんまで。ロマンスグレーのほうが自然でカッコイイよ」みたいなアドバイスを無責任にくださったりする。たしかに、それは“本音”なんだろう。「黒髪信仰」と同様、日本人特有の「素材を活かす」といった根底的な物の考え方によるものも大きいのかもしれない。

 

しかし! ロマンスグレーが本当に似合う初老男子なんてえのは、柴田恭兵や渡部篤郎や吉川晃司でもないかぎり、実際そうザラにはいないのである。私のようなパンピーがやっても、ただの「放置」、みすぼらしいだけなのだ。

 

現状のところ、私はこれまでの人生での苦労が足りなかったのか、まだ幸いなことに髪の「白比率」が10%ぐらいで済んでいるのだが、遠くない将来、コイツが20%・30%…となってくれば……正直言って、それでもロマンスグレーを貫きとおす自信はない。なんらかの加工はかならず施すハズ……。ハゲだって本格的に進行してきたら、リアップだって買うだろうし、お金さえあれば植毛だってやっちゃうに違いない。見栄えで女子を口説ける打率が1割でも1厘でも1毛でも上がるなら、最後の最後まで悪あがきしたい。

 

で、私は「自分が思っているほど、他人は自分のことを見ていない」と主張してみたものの、やはり人間、そこまであっさりと自我への執着を捨て去れるほど達観はできない……ですよね(笑)? 朝令暮改!

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