自動車取得税、重量税、ガソリン税…「複雑で過重な」自動車税制は変わるのか?

 

5月17日に定時総会と理事会を開いた日本自動車工業会(JAMA)で、トヨタ自動車社長の豊田章男氏が4年ぶり2度目の会長に就任した。興味深かったのは就任後のスピーチで税金についての言及があったことだ。

 

具体的には、2019年度の税制改正で消費税が10%に引き上げられれば自動車取得税は廃止されるものの、自動車税と軽自動車には環境性能に応じた課税が新たに導入される方向となっていることを受け、「複雑で過重な自動車税制に終止符を打ち、制度の簡素化とお客様の負担軽減に取り組みたい」と口にしたのである。

 

我が国の自動車関連の税金については、以前からJAMAのほかユーザー団体であるJAF(日本自動車連盟)などが問題提起をしてきていたが、トヨタの社長が多くの報道陣を前に声を上げたのはインパクトがあった。

 

JAFのウェブサイトにはくわしい解説があるので、興味がある方はご覧いただきたいが、自動車には自動車税のほか自動車取得税、自動車重量税、ガソリン税などが課税されており、しかも取得税やガソリン税などには消費税も掛かるという、いわゆる二重課税になっている。しかも重量税やガソリン税は、道路整備などを理由として本来より高い税率を掛ける「暫定税率」が40年前に設定され、今もそれが続いている。

 

その結果、1.8Lクラスの乗用車を新車から13年使用した場合に車体に課税される税金は72.2万円に上る。欧米主要国を見ると、米国は2.1万円、フランスは4.4万円、ドイツは22.8万円、英国は27.4万円となっており、日本は飛び抜けて高い。

 

しかし消費税を加算すると差は縮まる。多くの国で自動車は付加価値とみなされて高い税金が課せられるためで、日本の86.6万円に対しドイツは57万円と、比率は1.5倍程度になる。

 

 

■シンガポールではプリウスが1500万円!?

 

それに世界を見渡せば日本以上にハードルが高い場所もある。たとえば北欧のノルウェーは、関税や登録税、付加価値税などが日本より大幅に高く、同じクルマにユーザーが支払う金額は日本の約2倍になるという。ただし電力の多くを水力発電でまかなう同国は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に対する優遇策を用意しており、EVでは高速道路や駐車場も無料になるとのこと。そのため新車販売の半分以上がEVあるいはPHVというエコカー大国になっている。

 

さらにドナルド・トランプ米大統領と金正恩北朝鮮最高指導者の会談が開催予定という都市国家シンガポールでクルマを買う際には、まず新車購入権を公開入札で取得する必要がある。この権利は専門業者に依頼する形となるので手数料も発生。加えて乗用車には100%の税金が掛かる。その結果、日本で約250万円のプリウスはおよそ1500万円にもなるそうだ。その代わりシンガポールは東京23区とほぼ同じ面積に東京メトロとほぼ同じ長さの地下鉄が走り、他にバスや新交通システムも整備しているので、クルマなしでも生活できそうな感じだった。

 

ではクルマ関連諸税のもうひとつの主役と言える燃料税はどうか。ガソリンを例にとって話を進めると、全国石油協会のウェブサイトにはガソリン1Lあたり53.8円の税金が掛かっていると書いてあり、割高に思えるかもしれないが、実はこの数字、先進国の中では小さいほうに属する。

 

総務省が2017年に発表した統計によれば、米国、カナダ、豪州などは日本の税負担率50.1%を下回るものの、ドイツは63.7%、フランスは64.7%、英国は65.6%とおしなべて高い。たしかに欧州でガソリンを入れようとするとレートに驚くことが多い。自動車関連諸税は道路整備や環境対策を名目に生まれたと聞いている。それなら車両には薄く、燃料には厚く掛ける欧州の方式が理に叶っていると考えるのは自分だけだろうか。

 

またドイツでは1960年代から、ガソリン税の一部を路面電車やバスなどの公共交通整備に充当しており、現在は多くの先進国が似たような考えになっている。自動車関連諸税は「モビリティ税」として位置付けられつつあることも知っておいていただきたい。

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