ゲテモノ扱いはもう古い!エコで美味しい「昆虫食」とは?

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セミの燻製。タルタルソースや抹茶塩などで食べるととても美味。昆虫は一般に味は淡白だが、セミはしっかり塩味があり、初心者にも人気の食材(提供:水野壮氏)

セミ、コオロギ、ハチノコ…、みなさんは食べたことがあるだろうか。ここ数年、昆虫は食べ物としての価値が見直され、世界各地で密かなブームが起きている。2011〜15年にかけて国内の900人に行ったアンケートでは、実に47.4%もの人が昆虫食を経験したことがあると答えているのだ。ここでは昆虫食のブームの背景や魅力、実際の味を紹介しよう。

 

 

昆虫料理の一例。左上はバッタのかき揚げ。サクサクした川エビのような味わい。左下はカイコの味噌和え。カイコの旨みと味噌が合うという。このように調理すると、見た目は日常の食事と変わりない。(提供:水野壮氏)

 

■すでに世界の1/3の人が昆虫食を楽しんでいる!?

 

昆虫食といえば、国内ではイナゴやハチノコの佃煮が有名だが、カンボジアや中国ではアリをふりかけにしたり、メキシコでは蚊の卵をトルティーヤと一緒に食べるなどすでに文化に根付いているところもある。

 

世界規模で見てみると、全人口の27%にあたる20億人が日常的に昆虫を食べている。最近、昆虫食のイメージが薄い欧米諸国で昆虫食革命“Bug-eating revolution”(バグ イーティング レボリューション)が起き、様々な形態で昆虫食が食べられるようになってきた。例えば2015年にイギリスに昆虫食専門のレストランがオープン、アメリカではコオロギのプロテインバーが人気を集めているのだ。

 

その背景には、13年に国連食糧農業機関(FAO)が、昆虫を食糧や家畜の飼料として推薦したことが大きい。昆虫は近い将来に起こるであろう食料危機を救う希望の星だと目されているのだ。

 

 

■昆虫が世界の食糧難を救う救世主?

 

FAOの報告書によれば、2050年には食肉の消費量は世界全体で30%増加すると見込まれている。世界的な人口増加だけでなく、新興国の食事が欧米化しているためだ。しかし、食肉の生産には大きなコストと環境負荷がかかる。例えば牛肉1kgを生産するのに必要な穀物は10kgといわれる。また、加工や輸送なども含めると、従来の方法で世界中の人々の胃袋を満たそうとするのはスマートではない。一方、昆虫はどこにでもいるため、手軽に大量に手に入る、究極の地産地消食材だといえるかもしれない。そして、最新の研究によって昆虫食は“優秀な”タンパク源であることもわかってきた。

 

 

■スッキリキレイに痩せたい人にオススメ

 

“優秀な”タンパク源とは、全体に対してより多くタンパク質を含むことを意味する。例えば牛肉肩ロースは、100gのうちタンパク質が56%なのに対してコオロギは100gのうち64%と、昆虫は肉に劣らない優秀なタンパク源だということがわかる。またイナゴは、とりささみ肉とほぼ同じカロリーで3倍以上のタンパク質を摂取できるのだ。昆虫食はダイエッターや筋肉を付けたい人にもオススメなのだ。

 

 

■見た目がグロテスクな毛虫は○○の香り

 

では、肝心の味はどうなのだろうか。昆虫食を初体験したとき“意外にうまい”ことに驚いた。例えば「サクラケムシ」の幼虫は桜の葉を食べる害虫で、見た目は乳児の小指ほどの黒い毛虫だが、軽く油で炒めた後にめんつゆと砂糖で煮詰めると表面はカリカリ、噛むとじゅわっと中からしょうゆを含んだ汁が溢れて、口中に桜餅のような香りが広がり非常に美味しい。ギョッとするような見た目と華やかな味わいとのギャップを楽しみながら、冷やした白ワインと合わせてみてもおもしろい。

 

サクラケムシの佃煮

毛虫はハードルが高い、という人には市販されているバッタパウダーはいかがだろうか。パウダーなので“虫感”は薄い。鰹節のような香りと旨みを持っているので、お好み焼きや冷奴の上にかけて食べても美味しそうだ。著者はクッキーに混ぜ込んでバッタクッキーを作ったが、甘さと旨みを同時に感じられて美味しかった。味を例えるならば桜エビクッキーという感じだ。

 

左は乾燥コオロギ、右はバッタパウダー。いずれも市販品

初めは箸でつまむのも怖かったが、料理を進めていくうちに抵抗感は薄くなり、実際に食べてみると「なにこれ!美味しい!」という大きな驚きが生まれた。今回食べた昆虫たちは、鰹節や桜エビ、桜餅など日本人に馴染みのある香りや味をしており、決して得体の知れない不気味な味ではない。食用昆虫科学研究会の水野壮氏によれば、昆虫は自身が食べているものの味がすることが多いという。木の香りがするカミキリムシやエビのような味わいで塩味があるセミもオススメだそうだ。

 

昆虫食をゲテモノ扱いし、珍しがる時代は終わろうとしている。地球の食糧危機を救うかもしれない、エコで栄養たっぷりなニュー食材、あなたも試してみてはいかがだろうか。

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