なぜ「新潟」は常にトップなのか? 石油ファンヒーター9年連続1位「ダイニチ」の背景に迫る!

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高品質な爪切りで知られる「SUWADA」、高いファッション性で注目されるアウトドアギアメーカー「スノーピーク」、スティーブ・ジョブズが認めた金属研磨集団「磨き屋シンジケート」。これらはすべて、新潟県を本拠としているのをご存じでしょうか。いま新潟県は、ものづくりの発信基地として、世界的に注目を集めているのです。

 

 

そして、「ダイニチ工業」も、新潟に根を張るメーカーのひとつ。名前に馴染みのない人もいるかも知れませんが、実は全国の家電量販店における家庭用石油ファンヒーターの販売台数、加湿器台数シェアでトップ(※)を誇る隠れた実力者。特に石油ファンヒーターのシェアは、ここ9年連続で1位という驚異的な実績を叩き出しています。

 

一方、「庖丁工房 タダフサ」は、世界が注目する新潟の包丁ブランド。都内では、予約2年待ちという驚異のパン切り包丁を生み出したことでも知られています。今回は、そんなダイニチ工業、タダフサ両者の技術者の対談を通し、なぜ新潟がものづくりで脚光を浴びるのかを探ってみました。ダイニチ工業の石油ファンヒーターの開発に携わる川瀬寛道氏、タダフサの代表取締役社長である曽根忠幸氏に登場いただき、存分に語っていただきます!

 

 

■実は画期的だった約40秒の着火スピード

 

 

――聞くところによると、ダイニチさんもタダフサさんも発祥の地は同じとか。

 

曽根(以下、敬称略) いま、ウチは三条市にあるんですが、ダイニチさんも創業の地が三条ということで、勝手に親近感を持っていました。新潟だと一家に一台はダイニチさんのヒーターがありますし(笑)。

 

川瀬(以下、敬称略) ありがとうございます(笑)。おっしゃる通り、当社は工場の拡張とともに三条市から新潟市の南区に移りました。三条市は金物と職人の町。ここで育ったことで、ものづくりの下地が培われたのは間違いありませんね。

 

ダイニチ工業 暖房機開発課 要素開発係 係長の川瀬寛道(かわせ・ひろみち)氏

 

 

――では、次にそれぞれの製品について教えてください。まずはダイニチ工業さんから。

 

川瀬 当社の自慢は、やはり石油ファンヒーターですね。わが社の石油ファンヒーターの特徴は、なんといっても着火の早さ。石油ファンヒーターには着火までに時間がかかるという印象を持たれているお客様が多いと思います。しかし、当社のハイエンドシリーズ「」は、保温なしのゼロの状態からスイッチを入れて40秒で着火し、16分あれば10畳の部屋を素早く温められるんです。1分以内というスピードを実現できているのは当社だけです。

 

 

スタイリッシュなツートーンカラーが目を引く家庭用石油ファンヒーターのハイエンドシリーズ「SDR TYPE」(写真はFW-3716SDR・実売価格3万5500円)。部屋の温度や人の有無で繊細に運転をコントロールし、快適性と省エネ性能を両立しています

 

■特許技術により点火時と消火時のニオイを抑える

 

川瀬 あと、もうひとつ注目してほしいのがニオイですね。石油ファンヒーターというと、点火時と消火時に独特の石油臭がするじゃないですか? 実は当社の石油ファンヒーターは、あのニオイがほとんどしないんですよ。当社の製品は、細い管からガス化した燃料を吹き出して燃やすんですが、燃焼時以外は素早くこの「ガスの通り道」を塞ぐんです。これは当社の特許技術なんです。

 

 

ガス化した燃料を吹き出す気化器。燃焼時以外はガスの通り道を素早く防ぐ「パワフル秒速消臭システム」を搭載し、石油ファンヒーターにつきものの「燃料臭」を抑えます

 

――すぐに着火してニオイもしないとは、昔のファンヒーターのイメージとは随分違うんですね。

 

川瀬 それともうひとつ、石油ファンヒーターでは、給油の手間がイヤという人も多いと思いますが、では給油のストレスを減らすため、と、を採用しています。立ち上がりの速さや暖房能力を重視する方は、エアコンより当社のファンヒーターを選んでくださる方が多いようですね。

 

 

給油タンクは業界トップクラスの大容量(9L)を誇り、給油回数が少なくて済みます。一回の給油で小火力時なら約125時間、大火力時でも約25時間の継続燃焼が可能。キャップはワンタッチで着脱できるため、手が汚れにくい構造になっています

 

液晶画面には8段階の油量モニターが。燃料の残量がひとめでわかるので、タンクを持ち上げなくても給油のタイミングがわかります

 

■東京では予約2年待ち! パンくずが出ないパン切り包丁

 

――では次に、庖丁工房タダフサについて教えてください。

 

曽根 タダフサはもともと祖父が創業した刃物の会社です。業務用をはじめとしたあらゆる刃物を作っていますが、4年前に家庭用の本格派包丁ブランド「庖丁工房タダフサ」を立ち上げました。

 

 

タダフサ代表取締役社長 曽根忠幸(そね・ただゆき)氏

 

――パン切り包丁は大人気で、なかなか手に入らないそうですね。

 

曽根 今は製造工程を見直し、職人も若いメンバーが加入してくれたので、以前より状況は改善しました。昨年、工場に併設する直営店をオープンしたのですが、そこでは製品が比較的手に入りやすい状態になっています。ただ、現状として新規のご予約だと各店舗の在庫状況によってお待ちいただく場合もありますね。状況は改善したとは言え、うちは職人が一本ずつ手作業で仕上げているので、大量生産はできないですから。

 

――一般的なパン切り包丁と何が違うのですか?

 

曽根 普通のパン切り包丁は刃全体がギザギザの波刃ですよね。でも、うちのは先端にしか波刃がないんです。職人が手仕事で仕上げる刃は切れ味が良いので、パンに刃が入るきっかけさえ与えてあげれば、あとは柔らかいパンもスッと切れるんです。波刃じゃないから切った断面もキレイですし、なんといってもパンくずが出ないことに皆さん驚かれますね。

 

「最初はこれだけ揃えれば充分」というタダフサ「基本の3本」。万能125mmぺティナイフ(奥)、万能170mm三徳包丁(中)、パン切り包丁(手前)で構成されています。「パン切り包丁」は刃先数センチのみが波刃となっています

 

■厳しく長い冬が独自の職人気質を育んだ

 

――どちらの会社も、独自の発想と高い技術で新しい魅力的な製品を作り出していますね。

 

川瀬 当社の方針は「常に新しい技術を生み出す」なんですよ。だからというわけではないですが、他社メーカーの真似をせず、常に新しい模索をしています。実は、当社の工場では、一般的なメーカーでは外注することが多い「金型」まで作っているんです。発注、納期までの時間が少なくて済みますし、いろいろなものがイチから作れるため、チャレンジしやすい環境になっていますね。

 

ダイニチ工場内のプレス機。金型を使って部品を成形します

 

――ダイニチさん、タダフサさんをはじめ、新潟発のメーカーが脚光を浴びています。新潟のメーカーが際立って優秀なのはなぜでしょうか?

 

曽根 新潟は冬が厳しくて長い地域ですから、ひとつのことに集中して粘り強く作業できる人が多いんだと思います。そういった気質が、ものづくりには向いているのかもしれませんね。あと、「こういったものを作れませんか?」と言われると、「できない」とは絶対言わないんですよ。難しいとわかっていても「…作るよ!」と言ってしまう。私の場合も、とにかく一度は試作品を作ってみる。結果的にコストがかかりすぎて製品化できなかったこともありますけど。こういった負けん気の強さも新潟の県民性かなあ(笑)。

 

川瀬 当社にも昔から「やれない理由を探すな、まずやれ」という社風があります。営業から「こんなのできませんか」と言われると燃えますし、ときには技術と営業で知恵を絞ってデザインを変えていくことだってあるんです。さすがに、タダフサさんのようなコスト度外視というわけにはいきませんけど(笑)。

 

曽根 あとは、お客さんが買ってくれたあとのことを考えて作りますよね。例えば、海外の包丁は刃全体が鋼なんですが、うちは鋼の外側をステンレスで包み、切れ味と手入れのしやすさを両立しているんです。

 

川瀬 当社も同じで、長く使えるものを前提に開発しています。当社の石油ファンヒーターは着火の速さが自慢ですが、実はまだまだ速くできる。ただ、品質と信頼性を確保した商品を提供するために、あえて速度を抑えているんです。“モノは売って終わりじゃない”という考えも新潟県人の気質なのかもしれませんね。

 

 

■地域との繋がりがものづくりの原動力

 

 

――最後に、お互いに自慢できることはありますか?

 

曽根 地元との関係は自慢ですね。最近20~30代の若い職人が増えたんですが、地域を巻き込んだ自社イベントにチャレンジさせて、「開かれた工場」を目指しています。地元で人気のパンを集めて、パンの切り方講習などをする「春のパン祭り」ならぬ「タダフサ春のパン切りまつり」とか(笑)。最近は三条が“ものづくりの町”と知らない子もいるので、いまは地域の工場と連携して市民参加型のイベントを企画しています。こうしたイベントを通し、子どもたちがものづくりに触れることで、将来に繋がるとうれしいですね。

 

川瀬 当社も仲の良さが自慢です。社内はもちろんなんですが、地域や協力会社との関係もすごく良い。先ほど当社は三条から移転したと言いましたが、そのとき協力会社も一緒に引っ越しをしてついてきてくれたんですよ。だから、いまでも協力会社は身内も同然。毎年春になると、全社員と協力会社合わせて約1000人が運動会に参加するくらい、仲が良いんです。こうした人との繋がりを大切にしているため、技術交流もスムーズですし、商品が不足しそうなときは、休日返上で一致団結して働くこともあります。こうした「人の和」も、ものづくりの原動力になっているのではないでしょうか。

 

ダイニチの工場のラインで働くスタッフはすべて正社員で、その多くが本社の周囲に住んでいます。離職率が1%程度と低いため、個人の技術の習熟度が高いのが特徴

 

今回、お二人から話をうかがったことで、なぜ新潟が常にトップなのか、その理由もおぼろげながらわかった気がします。新潟には、ものづくりに集中する環境があり、職人を尊ぶ文化がある。そして、そこで育った自負が、新たな製品を生む気概を生んでいたわけです。また、両者に共通して感じたのは地域との繋がりの強さ。「地域とともに豊かになろう」という意識が、団結力を育て、新たな行動を生む原動力となっていました。さらに今回の対談で、川瀬さん、曽根さんともに刺激された点があった模様。将来、両者がどんな製品を開発するのか、今後も目が離せません。

 

 

 

提供:

 

 

撮影/中村介架

  ※2007~2015年度(年度=4月1日~3月31日)石油ファンヒーター メーカー別販売台数シェア ダイニチ(シェア数値/2007年度=49%、2008年度=59%、2009年度=53%、2010年度=49%、2011年度=49%、2012年度=50%、2013年度=53%、2014年度=53%、2015年度=54%)/全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ 2013~2015年度(年度=4月1日~3月31日)加湿器 メーカー別数量・金額シェア ダイニチ(全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ)