旅を文化に変えた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のアーカイブ展

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 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」の歴史をたどる展覧会「」が2016年6月19日まで東京都千代田区紀尾井町の特設会場で開催されています。旅人を支えたトランクやバッグを主人公に、1854年の創業から始まる「旅とラゲッジの物語」をつづる大型回顧展です。

 

舞台に選ばれた紀尾井町は、1978年に日本初の店舗をオープンしたゆかりの地。先にパリのグラン・パレで開催された展覧会に、日本にまつわる内容を加えた構成になっています。

 

 

 
 
 
 

 

 

全体を見て興味深く感じられたのは、移動手段とラゲッジの関係性です。船から鉄道、飛行機へと旅の乗り物が進化していくのにつれて、旅人がラゲッジに求める機能やありようも様変わりしていき、「ルイ・ヴィトン」はその変化するニーズに応じたトランクやバッグを制作していったことが分かります。

 

旅の目的地も時代ごとに広がって、地域性や滞在理由に合わせたラゲッジが必要になりました。時の流れに沿った展示は、旅行用の荷物の変遷を、1本のドキュメンタリー映画のように映し出してくれます。

 

 

 
 
 
 

 

 

もともとは無事に荷物を運ぶという機能面が優先されていた旅行用ラゲッジでしたが、移動手段の安全性が高まるにつれて、ファッション表現としても重要な役割を担うようになっていきました。ブランドアイコンとなっているモノグラム柄の登場や、様々なディテールの追加、そして近年のアートフルなデザインと、装飾面での発展もこの展覧会の大きな見どころ。マーク・ジェイコブス氏が仕掛けた村上隆氏や草間彌生氏といった現代アーティストとのコラボレーション作品もあります。

 

川久保玲氏とのコラボでは、不規則な大穴が開いた異形のバッグが目を惹きます。書き殴ったような筆致のグラフィティー(落書き)風表現で知られたアーティスト、スティーブン・スプラウス氏はバッグにブランド名を荒々しくペイントし、新たな表情を与えました。今回の展覧会ではこういった歴代の逸品が間近に見られます。
 

 

 
 

 

 

大勢の有力者やセレブリティーが顧客リストに名を連ねてきたのも、「ルイ・ヴィトン」の伝説となっています。本展では明治期の政治家、板垣退助や、日本ダンディズムを体現した白洲次郎らが使っていたラゲッジが展示されています。特別な用途に合わせたオーダーメードのトランクでも、歌舞伎役者のための鏡台トランクや、茶道具を収めたトランクなど、日本ならではの特注ラゲッジが披露されました。

 

ブランド創業家が収集してきた、日本刀の鍔をはじめとする、日本にまつわる工芸品からは伝統的な日本の美へのリスペクトがうかがえます。モノグラム柄には日本古来の「紋」からのインスピレーションが働いたとされていて、我が国との文化的な絆も感じ取れました。

 

「ルイ・ヴィトン」はプロフェッショナルの旅も応援してきました。繊細な取り扱いが求められる楽器専用のラゲッジは世界を演奏旅行で飛び回る演奏者にとって頼もしい存在であり続けています。タイプライターがきちんとしまえるトランクは書斎を飛び出して、旅先で文書を編んだ物書きたちの相棒となったようです。

 

 

 
 

 

 

最後の部屋では「ルイ・ヴィトン」の職人がバッグやベルトを手仕事で仕上げる実演を見ることができます。手元のアップを大画面で映しているので、精緻なクラフトマンシップを実感する機会になります。

 

 

 
 
 

 

 

会場内は原則的に写真撮影が許されているので、絶好の撮影スポットを探しながら巡る楽しみもあります。数あるフォトジェニックな展示の中でも、飛行機や砂漠のシチュエーションは人気を集めていました。今までの展覧会は撮影禁止が一般的でしたが、SNSを通じた拡散がマーケティング効果を認められるようになって、展覧会のルールにも徐々に見直しが進んでいるようです。

 

広い会場内にはカフェスペースも設けられています。テラス席では解放的な気分でくつろいで過ごせます。赤坂見附駅と松屋銀座からは無料シャトルバスが出ています。事前に予約すれば、ガイドツアーも申し込めます。会場内ではスタッフが丁寧に説明してくれる姿を何度も見かけ、ブランドヒストリーを知ってもらおうという姿勢が感じられました。

 

これだけ見応えたっぷりの内容でありながら、入場は無料。ファッションだけではなく、旅に興味がある人には見逃せない展覧会と言えるでしょう。
 



 

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