あなたは住みたい?神戸に登場した“あいさつ禁止”マンション

 

神戸新聞に掲載された「マンション内での挨拶禁止」の投書がネット上で賛否を呼んでいる──そんなニュースを11月14日の『とくダネ!』が報じていた。どういうことなのかと言えば、なにやらこういうことらしい。

 

住んでるマンションの管理組合理事をやってるんですが、先日の住民総会で、小学生の親御さんから提案がありました。

 

「知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、マンション内ではあいさつをしないように決めてください」。

 

子どもにはどの人がマンションの人かどうかは判断できない。教育上困ります、とも。すると、年配の人から、

 

「あいさつをしてもあいさつが返ってこないので気分が悪かった。お互いにやめましょう」

 

と、意見が一致してしまいました。

 

その告知を出すのですが、世の中変わったな、と理解に苦しんでいます。(神戸新聞11/4夕刊:原文ママ)

 

なるほど。この投書を読めば、一見「生類憐れみの令」にも匹敵する「マンション内での挨拶禁止」なる奇天烈な“ルール”にも、一応の理解を示すことはできる。

 

「(知らない人から)挨拶をされて、次の一言をかけてきたら、逃げるように教育すればいいじゃないか」という反論も予測されるが、“挨拶を返す”その一瞬が命取りとなって誘拐されてしまうケースだってなくはないだろう。だったら「とにかく逃げなさい」と教育しておくほうが“無難”という理屈である。

 

おそらく、投書上の年配の人も「挨拶が返ってこなくて気分が悪い。でも、それが“決まり”だったら、気分の悪さもせめて半分ほどは解消できるわい」と、半ば“売り言葉に買い言葉”的に「じゃあ、いっそ挨拶はお互いにやめましょう」と提案したのではなかろうか。

 

私には子どもがいないので迂闊なことは言えないが、教育方針ってやつは当たり前だが、家庭によってそれぞれだと思う。この「挨拶問題」一つ取っても、「やたらめったら挨拶はするな」と教え込むからには、その子どもがコミュニケーション下手になるリスクを承知で貫くべきだし、逆に「挨拶されたらちゃんと返しなさい」と教え込むなら、前述のように誘拐ほかのトラブルに巻き込まれやすくなるリスクを抱えねばならないわけだ。もちろん、どっちのリスクを選び、捨てるかはその家庭の自由であって、他人が口を挟める話ではない。

 

ただ一方、私ら側にだって「挨拶をする権利」はあるのである。たとえば、マンションの住民と朝、たまたまエレベーター内で出くわし「おはようございます」と一言挨拶を交わすのは単純に気持ちいい。なんにも言ってこない人と出くわしてしまえば、ちょっぴりではあるけど不快になる。それが仮に子どもだったら「このガキが外で困っていても、ぜってえ助けてやんねえぞ」と、さもしい心情すら働いてしまう……かもしれない。

 

とりあえず私は、「マンション内での挨拶禁止」といった“ルール”のある、ギスギスした空気のマンションには住みたくない。家庭ごとの教育方針に文句を言う権利は私にはない。それを受けて一つのマンションが打ち出した決め事に対しても同様だ。しかし「そんなマンション嫌!」と拒絶できるだけの権利は持っている。

 

だから、このマンションを仲介する不動産屋さんは、家探しをしている顧客に向け、きちんと「ここはマンション内での挨拶が禁止なんですよ」と説明することを絶対に忘れてはならない。人によっては、少なくとも私のなかではコレ、「日当たり」の次くらい、そして「築年数」と「ペット可」よりは重要なポイントだったりするんで……。

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