年末にありがち…BARにおける三大粗相とは?

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忘年会シーズンである、クリスマスである、ボーナスも出る……もう世の中は浮かれまくっている。BAR評論家には、忘年会もクリスマスもボーナスもない……逆恨みの12月だ。そこで逆恨みついでに、このシーズンにBARで目撃する三大粗相について、しかと釘を刺しておきたい。

 

BARに足を運ばないビギナーにもかかわらず、やはり一大イベントがわさわさと重なるせいだろうか、日頃は縁もないのになぜかBARの扉を開く腕に力が入ってしまうらしい。年末だ! 無礼講だ! というわけで奥ゆかしさを忘れ、恥も外聞もなくなるシーズンなのだろう。

 

忘年会やクリスマスと無関係なBAR評論家は、年末も寂しくBARでちびりちびりとしみったれてグラスを傾けている。孤高のBAR評論家に世間の風は冷たい。相手をしてくれる者など、世間の酸いも甘いも知るバーテンダー諸氏ぐらいなもの。そんな寂しい者の年末を邪魔する三大粗相モノがいる。BARを営んでおらずとも、この三者だけは怒鳴りつけ、BARから放り出してやろうと思いつめたりもする。よって、次の3つだけは、無礼講だろうがネズミ講だろうが、とにかく年末の酔っ払いに順守してもらいたい。

 

 

1.BARで忘年会を開くな!

 

もうね、最初からボタンを掛け違えている。いや、忘年会パッケージを売りに出しているダイニング・バーのような店なら、もちろんこの限りではない。ついうっかり忘年会用の店が予約できず「小人数だから」という理由で、4人ぐらいでBARで忘年会を開いてしまう輩。けっこう性質が悪い。

 

それと言うのも、こうした輩は、BARに慣れていないわけでもない。「お、たまに足を運ぶあのBAR、確か四人席があったから予約してみよう」ぐらいの勢いで、忘年会を開いてしまう。マスターも「いや、まさか、忘年会のつもりで予約して来るとは…」と嘆くが、後の祭り。

 

「3000円呑み放題」のパッケージを用意しているわけではないので、それなりに懐に余裕がある客なのだが、もちろん、食事も次々とオーダー。ひとりで切り盛りしているような一軒だと、マスターもかかりきりになってしまい、カウンターの客の相手をしている暇もなくなる。すると、カウンターの客も「マスター、また来るよ」とそそくさと去って行く。

 

このケースはもちろんマシなほう。問題は普段BARと縁がないのに「他の店がブッキングできなかった」という理由か何かで、ついBARを予約しちゃった若造が幹事の場合。「マスター、料理まだー?」とか大声上げちゃったりするもんで、もう他の客は一斉に帰宅……。結果、ほぼほぼ「営業妨害」……なんて結末も。

 

「え?」と驚くやもしれないが、何度も目撃したこのケース。今年は出会わないように願いたい。

 

 

2.大人数を引き連れ二次会にBARのドアをノック

 

これは1)よりも頻繁に目撃する。この季節ともなると、ひと晩に2人ほど見かけるだろうか。

 

カウンターのみ8席のBAR、呑んでいるのは私を含め、ひとり客が3人。まぁ、ごく静かにグラスを傾けている。そこでBARの扉が勢い良く開く。「すいませーん! 今から15人、入れますかー???」。君はいったいどこを見ているのだ? この店のどこに15人も入れるスペースがある? マスターはカウンターから飛び出し、後ろ手に扉を閉め、外に出る。「ウチはそんなに席数ないんで……」とか、なだめているのだろうか。しかし、これはまだマシなほう。

 

扉が勢いよく開き「すみませーん!」は同じパターン。ところがマスターが「席数がないんで……」と申し開きをしても「いや、別にいいッス。俺たち、カウンターで立ったままで大丈夫っすから!」いや、大丈夫ではないのだ、バカ者、もとい若者よ。我々もマスターも、君たち15人と一緒に呑みたくないのだよ。

 

年末のこの時期、二次会など予約しておかないことには、大人数で店に入れないのは当然だろう。しかし、サラリーマンとしては阿呆な上司に「おい! とにかく、今入れる店を探して来い!」と寒空の下、厳命され、街を駆けずり回っているのだろう。もしそうだとしても、いや、そんな時こそ「BAR」という文字が目に入ったら、その扉だけは開くのを止めておけ。まず第一に、大人数は入れない。第二に、こうした行為を晒してしまい、他の客にかなり白い目で見られる。第三に、単に愚の骨頂である。

 

 

3.年末だろうとBARで酔っ払うな!

 

これについては酷く自戒も促したいところだ。しかし、世間の酔っ払い方は目に余る。酒が入れば「誰でも」酔っ払う。私は「酔っ払いましたか?」と訊ねられた場合、自覚症状がどうであろうが、アルコールをひと口入れたら「Yes, sir!」と答えるように心がけている。

 

忘年会ともなると会社の金で無礼講に呑めるせいか、この時期の酔っ払いは酷い。街中で歌うは踊るは……ぐらいは大目にみるとしても、吐くは、道端で寝るは、すぐ喧嘩は売るは(失礼!)……まぁ、みなさん、大した度胸の持ち主である。街中なら私の苦情など聞き耳もたずとも酔いが、BARともなると勘弁して頂きたい。眠る、椅子から転げ落ちる、大きな声で騒ぐ……なんとか大人しく呑んでもらいたい。なぜなら、それがBARの生存意義だからだ。

 

一度など銀座の超名店で、隣の客に絡んだあげく、バースツールから降りるや否や、土下座していた女性客を目撃したことがある。下町の某老舗の女将だそうだ……。「あれ、こりゃ、酔っ払いちゃいましてね、ハハハハハ!」と笑える程度の失態なら、BARだって酒場のひとつだ、誰も目くじら立てたりはしないだろう。あくまでバーテンダーや、他のお客さんが微笑んで見送ってくれるレベルに留めたい。

 

え? 「お前は、酒場で失態をやらかしたことがないのか」って。いやいや、もちろん、冥途の土産になるほどの失態をやらかしているので、今はもう落ち着いて静かに呑みたい。しかし、マスター、だからと言って珍しいカクテルをオーダーした際に「そのカクテルは、あまり強くないので、お止めになったほうが」とストップするのは、いかがなものかと思うのですが……。

 

本日も素晴らしい酔いで、宵を終えるよう、乾杯!

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BAR評論家

たまさぶろ

週刊誌、音楽雑誌編集者などを経て渡米。ニューヨーク大学などにてジャーナリズム、創作を学ぶ。CNN本社にてChief Director of Sportsを務める。帰国後、毎日新聞とマイクロソフトの協業ニュースサイト「MSN毎日イン...

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