福祉車両優遇措置を悪用する“ゴキブリたち”を退治する方法

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籠島 康弘

福祉車両優遇措置を悪用する“ゴキブリたち”を退治する方法

生活保護の不正受給の例を見るまでもなく、世の中には弱者を救うためのルールを悪用する輩がいる。中には「え、こんなところにも?」と思うような場所にまで出没する。福祉車両の消費税が非課税であることを利用するヤツらも、そうしたゴキブリの類である。

 

日本自動車工業会によれば、あるメーカーが販売した車いす仕様車約1万2000台のうち半数近い約5500台が、障がいとは関係なく、通常の車として使われていたという。

 

消費税分トクするからって、なぜ障がい者でも要介護者でもない人が車いす仕様車を購入するのか。それは車いすを載せる際に使うスロープが、バイクや自転車を載せるにも便利だからだ。おそらく不正に購入した輩の多くは、載せたバイクや自転車で、障がい者や要介護者が羨ましがるほど野山を駆けめぐるのだろう。

 

そもそも福祉車両は、大きく分けて2つある。ひとつは車いすごと乗員を乗せる車いす仕様車、もうひとつは助手席や2列目シートが回転&昇降して乗降を助けるシート系だ。

 

その中で件の不正購入では車いす仕様車が狙われている。例えばノアのX・8人乗りは税抜価格で225万7143円、この先消費税が10%になると単純計算で248万2857円となる。一方の車いす仕様車の同グレードは288万3000円なので、この時点ではまだ車いす仕様車のほうが40万円ほど高い。

 

しかし、福祉車両はカーナビなどのオプションも非課税となる。オプションであれこれつけていくと、40万円なんてあっという間だ。そこに目をつけたゴキブリがいるというわけだ。特に標準車との価格差が縮みやすい中古車ならなおさらだ。

 

 

もうひとつのシート系は、スロープがないから今のところ消費税非課税が悪用されることはなさそうだが、いずれにせよ車いす仕様車もシート系も、最近はメーカー側が「より多くの人々を外に連れ出してあげたい」とコスト削減に力を入れている。皮肉にも今後ますます支払総額では福祉車両のほうが安くなって、悪いことを考える輩が出没しないとも限らない。

 

そこで、例えば販売店に以下のような手続きを義務付けてはどうだろうか。

 

1.障害者手帳を見せてもらう
2.要介護認定を受けているかどうかを確認する
3.福祉施設などは事業内容のわかるものを提出してもらう

 

個人で車いす仕様車を購入するということは、日常生活で車いすが手放せないという家族がいるということでもある。普段から車いすに乗らざるを得ないなら障害者手帳を持っていたり、要介護認定を受けていると考えていいだろう。

 

一方シート系に同様の義務付けをすると、足腰が痛いだけで要介護認定を受けるほどではないという高齢者のために購入することが難しくなる。

 

だから本来はあまりルール付けしたくはないのだが、サービスエリアなどの福祉車両駐車スペースに、堂々と普通の車をとめてトイレに走る人を見ると(走れるなら福祉車両は要らないだろ!)多少のルールは必要なのかなとも思うのだ。

 

いずれにせよ、福祉車両を必要とする人を守るためにも、不正購入を防ぐ方策を早急に検討すべきだろう。何しろあと11年後、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳以上という超高齢化社会になるのだから。

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籠島 康弘

All About 「中古車」ガイド。カーセンサー編集部、フリーの編集&ライターを経て、“中古車アナリスト”として活躍中。豊富な知識、独自の審美眼でキャッチした「おいしい中古車」情報が好評。

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