なぜ、石田ゆり子はアラフォー女性から圧倒的な支持を得るのか

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出典:ドラマ『コントレール~罪と恋~』公式サイトより

 

福山雅治主演の月9『ラヴソング』の視聴率爆死をはじめ、どうも盛り上がりに欠ける感がある今期のドラマシーン。そんな中、アラフォーの女性視聴者を中心にジワジワと熱さを増している作品がある。NHKが金曜22時からオンエアしている『コントレール~罪と恋~』だ。

 

脚本は同じくNHKで『セカンドバージン』『ガラスの家』という2本のヒット&話題作を生み出した大石静。キャッチコピーは「“ひこうき雲”に導かれた恋 その人は、夫を殺した男(ひと)でした」というなかなかショッキングなもの。そして主演はアラフォー以上の女性たちから圧倒的な支持を誇る石田ゆり子である。

 

石田ゆり子という女優は本当に不思議な存在で、1988年のデビュー以来、数え切れない本数のドラマや映画に出演しているはずなのに、なかなか代表作が思い浮かばない。強いていえば、現在、栗山千明と稲垣吾郎でリメイク版が放送されている『不機嫌な果実』(1997年)くらいだろうか。

 

だが、実は彼女ほど大人女性に“愛されている”女優は他にいない。あれだけ魑魅魍魎が跋扈するネットの掲示板でも彼女の悪口が書かれることはほぼ皆無なのだ。なぜ石田ゆり子は最も意地悪で他人の粗探しが得意なこの世代の女性たち(すみません…自分も該当者の一人です)に支持されるのだろうか。その秘密は彼女の持つ“ちょうど良さ”にあると私は思う。

 

例えば彼女がドラマの中で見せるファッション。キメ過ぎでも甘過ぎでもなく、ダサくなる寸前のところで小綺麗に着こなすあのバランス感!天海祐希サマの「選ばれし者だけが着こなせるクールなパンツスーツ」や木村多江サンの「何をお召しになっても不幸顔しか思い出せない」テイストとは違い、しまむらやZARAで売っているようなデイリーアイテムをさらっと着こなし、近所のヘアサロンでもやってくれそうなゆるパーマのヘアスタイルで佇むゆり子さん。そんな彼女を見てチームアラフォーは「ああ、あれなら真似できそう」と、ひそやかな親近感を覚えるのである。

 

そして彼女が持つ最大の武器が“自然な可愛らしさ”だ。先述のドラマ『コントレール』でもそのモードは炸裂する。経営するドライブインの客としてやってきた声を失った男・瞭司(井浦新)とのメールで、自らの年齢を「45歳……いや、42歳で……ダメ、やっぱり本当の年を」と悩んで送り、返信が届かず「ああ、やっぱり42歳にしておけばよかった」と落ち込む姿や、夜の海でスニーカーに砂が入って男性の腕につかまりながら困った顔になる様子は超キュート。正直、このシチュエーションを下手な女優がやったらコント、もしくはホラーである。

 

また、彼女の場合、その可愛らしさに計算や媚びが見えないところがすごい。酸いも甘いも噛み分け、実生活でソコソコの経験を積んできたアラフォー以上の女性たちは同性のそんなしたたかさを絶対に見逃さない。石田ゆり子のあの狙っていないナチュラルさは、幼いころから水泳を続け、本人も自分のことを「スポ根女」と称する天然サバサバ感から来るものなのだろう。

 

他の「ガッツリ美容に手を掛けてます」や「演技上手いです ドヤ」的な同世代の女優たちに比べ、手が届きそうな位置にいながら(もちろんそれは大いなる幻想だが)、画面の中で6歳下の元弁護士と恋に落ち、公園で「おいしいね」と笑い合いながらケバブサンドを頬張る。そんな“自分でも実現できそうな恋”をリアルに体現してくれる彼女の姿に、大人女性は自らを重ね、ひと時の夢を見るのである。

 

だってもう、私たちはとっくに飽き飽きしているのだ。“酔っぱらって目が覚めたら隣に年下のイケメン君が寝ていてそこから恋が始まりました”的なドラマのお約束展開には、ね。

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小姑系エンタメライター

上村由紀子

エンタメ系ライター(主にドラマ・演劇)&ラジオDJ、MC。横浜市出身。スタジオでマイクを操りつつ「ジャニーズから歌舞伎まで」をキャッチフレーズに、雑誌・Web媒体等で執筆中(桐朋学園大学演劇科卒)。巻き髪歴2...

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