あなたは「美しすぎず、ちょうどいい感じの美人な人事担当者」がいる会社に入りたいか?

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(c) Emi Komagata/a.collectionRF /amanaimages

一部で物議を醸していた(そうな)『美しすぎず、ちょうどいい感じの美人な人事担当者がいる4社合同説明会』の開催が中止となった。

 

この説明会はプロトコーポレーション、ネットプロテクションズ、ヴィックスコミュニケーション、アイ・エム・ジェイという、如何にもお洒落なオフィスで仕事をしているっぽい、職種の見えづらい会社が合同で2017年卒業予定の学生向けに企画していたもので、美人クラスが前述ランクの女性人事担当者が「採用のウラ側を色々とぶっちゃけます」として、トークセッションなどを予定していたらしい。

 

ところが、5月20日午後にイベント紹介ページが公開されると、女性の容姿が売り文句として使われていることに、ネット上で「セクハラ」「性差別」といった批判の声が上がり、早々の当日夜には同ページに「中止となりました」とのみ記載されたのだという。

 

つい先週、私はこのcitrusで『』というタイトルの、ジェンダー問題にビンカンすぎるヒトたちに疑問を呈する原稿を書いたばかりなんだけれど、なんか最近こんなんばっかである。

 

で、「ヒステリックな批判に終始しない理性的かつ穏健な真のフェミニズム」を標榜する私としては、当然の事ながら一貫して「なにも、そこまで目クジラ立てんでも…」といった論調を突き通したいところだが、今回の件に関してだけは“いつも”とは真逆の“批判する側”に回りたい。

 

「美しすぎず、ちょうどいい感じの美人な人事担当者」って……こりゃ、やっぱダメだろ!?

 

これが「弊社自慢の美人人事担当者が採用のウラ側を色々とぶっちゃけます」と自慢に終始するなら、まだかまわない。ゴメス的には完ペキ、スルー案件だ。が、仮にも同じ会社で働く“同志”のことを「美しすぎず、ちょうどいい感じの美人=ほどほどの外見レベル」と公の場で放言してしまうようなデリカシーに欠ける会社にアナタは就職したいか? 私なら絶対に嫌である。GDP(=「ジェンダー問題にデリケートなピープル」の略)な皆サンたち、ココはきちんと怒るとこですよー。「アンタたち、『ほどほど』なんて言われっぱなしで悔しくはないの!?」と。

 

腐ってもH.I.S.騒動では「東大美人で商売をしよう」と、ミスコンでも「ウチの大学で一番の美人を選んでみよう」と、(賛否両論あっても)とりあえずは“美人であること”がイコール“ゴール”となっているのに対し、この“トークセッション”という企画においては「ちょうどいい感じ」であろうが「むっちゃ」であろうが、“美人”の必然性があまりに希薄すぎる。オマケのオマケ要素でしかない「人事担当者が美人かブスか」で会社説明会の出欠を決めちゃうような学生をたくさん集めたところで、いったいどのような発展性やメリットを見いだすことが出来るのか? むしろ、そんなお気楽な人材はいらないのではないか? 

 

もしかすると「我が社はこういう気の利いたジョークが飛び交う、しかもそれを女子社員側がジョークとして笑って受け入れることができるフランクな社風ですよ」といった“ユーモア推し”を目的としているのかもしれない。

 

しかし、私はこの言い回しが「気が利いている」とも「ユニーク」だともまったく思えない。なぜなら「ちょうどいい」というキーワードは、お笑いコンビ『相席スタート』の山崎ケイの自己アピールコピー「ちょうどいいブス」がすでにブレイクし始めているし、もっとルーツを辿れば、松尾スズキ氏が7年も前にプロデュースしたBSジャパンのバラエティ番組『美しい男性!』のテーマ曲の冒頭で使用している“二番煎じ”であるからにほかならない(※歌詞「美しい男性 美しい男性 美しいけど美しすぎない ちょうどいい男性♪」)。つまり、熟考に熟考を重ねたうえに生み出されたものでは決してないはずの“猿真似”だからである。

 

他から持ってきた“流行語”の安易なサンプリングは、往々にして全体像のニュアンスをガラッと変えてしまいかねない。「セクハラ」だとか「性差別」について論じる以前に、こういう“言語のトリック”にあまりに無頓着な企業姿勢、“リスク管理の甘さ”を私は問いたいのだ。

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ネットニュースパトローラー

山田ゴメス

1962年大阪府生まれ B型。 ネットニュースパトローラー(※citrus限定肩書き。たまにスポーツ新聞や週刊誌も。略して「NNP」)。 関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッショ...

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