男目線でランジェリーを選ぶアメリカ女性と、自分本位で選ぶフランス女性

ライフスタイル

 

フランス女性は、生まれながらに、魅惑的なボディを持ち、優雅でセンシュアリティ(官能的で知的)な生き方ができているように見えるかもしれません。しかし、そこには秘密がありました。それがランジェリーです。フランス人女性の魅力と自身の源泉であるランジェリーの秘密をひも解く「大人のランジェリー入門」から、ランジェリーの選び方について指南します。

 

 

■本当のブラ選びをしたことがありますか?

 

私は仕事を通して顧客のフランス人女性と北米の女性たちに接しているうちに、両者のランジェリーに対する考え方のあまりの違いに驚かされました。もちろんランジェリーだけではなくて、人生の楽しみ方に対する考え方も大きく違っていたんです。

 

ランジェリー・ツアーを行うと、アメリカ女性たちから必ず出てくる二つの言葉があります。

「まずは、あと、1~2キロ痩せなくちゃ」

「どうせ、誰も見ないわ」

そう言って、ほとんどみられることのないランジェリーよりも、周りの誰もが見ることになる洋服にお金を使いたがります。そして、ランジェリーにお金を使うときは「贅沢をする」と言うのです。つまり、いいランジェリーを着けていい気分になるのは、日常ではなく、特別のことだと思っているわけです。しかし、なぜいい気分になる日を制限しないといけないのでしょうか?それは人生に何日くらいありますか?残り何日かしか、いい気分になってはいけないのですか?

 

アメリカの女性たちは、いちばんいいランジェリーは特別な人とのデートの夜のためにとっておきます。一方フランスの女性たちには、そんな「特別な夜」はありません。思いを寄せている人とのディナーであっても、彼女たちにとってはどんなときも、楽しむべきときです。だから、いい気分にしてくれるランジェリーがあるなら、できるだけ頻繁に身につける。誰にも見られる可能性のない日だって、フランスの女性たちにとって、ランジェリーは「感覚を刺激するもの」、「つねに満ち足りたときを過ごすための手段」です。人生は「特別なとき」ではありません。今日が人生であり、いまが人生なんです。素晴らしい考え方だと思いませんか?

 

 

■素敵なブラをつけるのは特別な日だけ? 

 

アメリカの女性たちは、下着を「特別(special)なもの」と「楽(comfortable)なもの」に分けて考えます。これは日本人も同じですね。「特別なもの」というのは、いわゆる「勝負下着」。「楽なもの」は家でごろごろしているときとか、ただ会社から家に直行して帰るだけの日のためのもの。つまりアメリカの女性たちは、「特別」であることと「楽」であることは両立しないと考えているのです。でも本当にそうなのでしょうか?

 

「special」と「comfortable」という2つの言葉について考えてみましょう。英語の「special」は「特別な、独特の、貴重な」といった意味ですが、フランス語の「special」は、「特異な、奇妙な、通常とは異なる」といった意味。あんまりいいニュアンスではないみたいですね。そう、あなたが誰かを「special」と評したら、その人はあなたをディナーに誘うことはないでしょう。つまり、気を悪くするんです。

 

フランス人は、日常的に予測できるものを「c- est nomale(= it’s normal それは普通だ)」と表現します。フランス人にとって、まわりのあらゆるもの――テラスで日を浴びて過ごす10分間、美しいランジェリーを身に着けること――に楽しみや喜びを見出すことは、「普通」のことなんですね。だから、フランスの女性たちが美しいランジェリーを身に着けるのは、特別な夜だからではなく、いい気分になれるからなのです。

 

さて、「comfortable」という言葉は、引き出しの奥の古い下着を正当化するためによく使われます。が、伸びきったパンティや色あせたブラにふさわしいのは、別の形容詞、「だらしない」のはずです。つまり、特別な日のためのランジェリーは、「楽じゃない」と考えているわけです。でも、それはただ、本当にいいランジェリーに出会っていないからなんです。「快感」の感性が鈍っているのです。「楽じゃない」イコール「快感をもたらさない」ではないし、そもそも「楽かどうか」だけがランジェリーを判断する尺度ではありません。

 

 

■女性が主体的になるためのランジェリーとは

 

アメリカで見かけるランジェリーの広告にはよく「セクシー」という言葉がついてますね。同じようにドレス、家電製品、食べ物…いろいろな広告になんでもかんでも「セクシー」が付きます。なぜなら売れるからです!でも、「セクシーなランジェリー」って、考えてみるとちょっとおかしくないですか?だって、セクシーだと感じるのは男性、でも買うのは女性です。つまり、「セクシー」というのは、男性が女性に対して感じるファンタジーで、女性が主体のアイディアではないんです。にも関わらず、男性目線でセクシーと感じるランジェリーを、同じようにセクシーと感じる女性がいるとしたら、それはただ、「セクシー」の意味をいつの間にか刷りこまれたことをそのまま受け入れているだけ、洗脳されているんです。

 

アメリカの少女たちが、男性目線の広告に洗脳されて、男性のため、ロマンスのためのランジェリー選びを学んでいくのに対し、ファッションの国フランスの少女たちは自分の判断で、自分のために、ランジェリーを選ぶ習慣を身に着けていきます。誘惑のためのときもあります。でもそれは男性のためではなく、あくまでも主導権は女性の側にあるんです。

 

ためしにフランス人の女性に、「何のためにランジェリーを身に着けるの?」と聞いてみてください。「もちろん自分のためよ」と答えるはず。さらに踏み込んで、わたしが何度となくたずねたように、「ランジェリーをつけるときは、セックスを望んでいるの?」と聞いてみるといいでしょう。たいてい楽しげに答えてくれるはずです「そうかもね、それは成り行き次第よ」フランスの女性にとって、セックスはささいなこと。自分で決め、自分でコントロールできるもの。だから、ランジェリーをつけるのも、セックスが最優先の目的ではないのです。

 

フランスのランジェリーデザイナー達に、「ランジェリーにどんな形容詞をつけたいですか?」と質問したら、「セクシーな」と答えるデザイナーはゼロでした。代わりに、もっとも多かったのが「センシュアルな(官能的な)」でした。セクシュアリティとセンシュアリティはどう違うのでしょうか?

 

調べてみると、センシュアリティには「sensation(感覚)の能力」という意味があり、それは五感と関係があることが分かりました。「sensation」というのは、身体的な感覚で、五感の1つが働いた時の体の反応です。たとえば、「柔らかい」「そわそわする」「息をのむ」「ムズムズする」「きつい」「落ち着く」「なめらか」…など。「センシュアリティ」というのは、こうした感覚を楽しむ能力でもあるのです。そして、そのセンシュアリティの形容詞形であるセンシュアルがランジェリーの形容詞としてもっともふさわしいということは、ランジェリーには、それを身に着けることによって1日中五感を研ぎ澄まされ、豊かな感覚をいろいろなものから味わうことができるという働きがあるということだったのです。

 

センシュアリティは言葉だけではまだ、わかりにくいものだと思いますが、それは完全に個人的なもので、ルールもガイドラインもないのだからしかたない。だからこそ、ランジェリーを身につけたときが、「センシュアリティ」の喜びと戦慄を味わうチャンスです。まずは、肌触りはいいか、感覚を刺激するか、感情を抱かせるかを判断基準に、ランジェリーを選ぶことから始めてみましょう。食べものの組み合わせ方を学んだら、食事の楽しみが深まるのと同様に、触感(肌触り)の組み合わせを学んだら、それまで知らなかった感覚と快感に出会えます。

 

たとえば、ジーンズの下に総レースのパンティを、ウールのセーターの下にシルクのブラを、ふんわりギャザーのワンピースの下に、綿のボディースーツを。どの組み合わせも、いつもと違う変わった感覚をもたらしてくれるはず。ランジェリーと感覚に注意を払うことで、人生の一つ一つの瞬間がそれまでとはまったく違ったものに感じられるのです

 

【関連書籍】

『~』キャスリン・ケンプ・グリフィン 著

 

 

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キャスリン・ケンプ・グリフィン

ジャーナリスト、企業家、カナダ生まれ。1990年からパリに住み、ランジェリー業界で仕事をしている。ランジェリー関連アイテムと美容製品を扱う会社「ソイエル(Soyelle)」を設立。その後、パリのランジェリーブティ...

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