喜びと快感! パリで出会ったガーターベルト体験記

ヘルス・ビューティー

 

パリに住んだことのなかったころのわたしは、ガーターベルトと太もも丈のストッキングにはまったく無縁でした。そういう下着がなぜ存在するのか理解できませんでしたし、自分には一生必要ないと思っていたんです。でも、フランスに移住して、ガーターベルトとストッキングについての考えが180度変わりました。今回はガーターベルト、ストッキングを身に着ける喜びを皆さんにお伝えしたいと思います。

 

 

■ガーターベルトは愛の証!?

 

ある日のこと、夫とわたしはフランスでの新しい友人たちといっしょに、パリの有名なキャバレー「ムーランルージュ」に入りました。ステージでは、女性ダンサーたちがスカートをまくり上げ、一斉に脚を高く持ち上げて、フレンチカンカンを踊っています。彼女たちは太もも丈のストッキングを、ストラップで吊るして着用していました。

 

ステージが終わって、トロンとした目でダンスを称えている夫を見て私は言いました。

「すてきな衣装だったわ。でも、彼女たちをうらやましいとは思わないな。だって毎晩、腰にあんなコルセットをつけたり、あんなストッキングをはかなきゃいけないんでしょ。めんどくさいわ!」

すると、一緒にいた友人から衝撃的な事実を告げられました。彼女はわたしにこうささやいたのです。

「パリでは、夫や恋人を心から愛している女性は、みんなあんなストッキングをはいているのよ」

 

ショックでした。以来、ガーターベルトとストッキングを気にかけるようにしてみると、街のいたるところでそれを身につけている女性を見かけるようになりました。街には「夫や恋人を心から愛している女性」がたくさんいたのです。そして、私は思いました。わたしだって、夫を心から愛している。そのことをフランス流に証明しようと。

 

 

■ガーターベルト初体験記

 

こうして、以前は「めんどくさい」と却下していたものに積極的に関心を持つようになった私は、フランスのストッキングメーカー「セルヴァン」が開いているワークショップに参加しました。土曜日の午後、セルヴァンの地下ショールームに行くと、そこは、秘めやかな下着のワークショップ会場に早変わり。その日の講師ジュリア・パロンブ(歌手、モデル、ダンサー)が、黒のビスチェにレトロなパンティ、黒のガーターベルトに真っ赤なストッキングという下着姿で、私たち参加者を迎えてくれました。

 

ワークショップは、シャンパンを1杯飲むところから始まりました。こういうところはいかにもパリのワークショップという感じ。すると講師のジュリアが話し始めます。

「わたしにとっては、ガーターベルトはブラより大事なの。ガーターベルトをただのファッション小物とは思わないわ。それを使うのが、私のライフスタイルになっているの。すてきなブラをつけているといい気分になるけど、ガーターベルトをつけていると極上の気分になるのよ」

ジュリアはガーターベルトの実物を両手で掲げました。

「理想を言えば、ストラップは6本あったほうがいいのよ。6本ならまんべんなく吊るせて、ストッキングが下がる部分がなくなるの」

さらに続けます。

「心配しないで大丈夫。ストラップはあなたの体の動きに合わせて移動するの。ときどき、軽く引っ張られる感じがするけど、あなたが思い出すのにちょうどいい程度よ」

「え、何を思い出すんですか?」

私が質問すると、ジュリアの目がキラッと光りました。

「ガーターベルトをつけていると、思いがけない喜びがたくさんあるのよ」

 

ジュリアは私のそばに来ると、ガーターベルトの試着を勧めてくれました。

「じゃあつけてみます」

わたしはついたての奥に行って、ジーンズを脱ぎました。そしてブラをつけるときと同じように、ガーターベルトのホックをおなかの前で留め、後ろに回しました。するとジュリアが声をかけました。

「ストッキングはその椅子に座ってはくといいわ。足がグラついていると、まっすぐにはけずに、バックシーム(後ろにある縦ラインの縫い目)がジグザグになっちゃうの」

 

ストッキングの足先は、つま先からかかとにかけて補強がしてあり、色が濃くなっていました。靴下のように上端をつかんで引き上げようとする私にジュリアは

「靴下とは違うの。両手でストッキングを全体をたくし持ち、ゆっくりと引き上げていくの。指の腹の部分を使ってね。そうすれば、爪が生地に引っ掛からないから。バックシームを感じて、それを頼りに上げていくのよ」

言われたとおりにやろうと努力はしました。でもうまくできません。ストッキングを引き上げ、バックシームをまっすぐに直し終えたときには、額に玉のような汗が浮かんでいました。

「次は留め金をつけるの。こんなふうに」

ジュリアは自分が使っている留め具のひとつを摘み上げて、お手本を見せてくれました。

「留め具を開くには、人差し指と親指でこうやって挟んで、丸い突起部分を人差し指で上にスライドさせるの。ほら、開いたでしょ?」

 

彼女がお手本を示すのをしっかり見ていたのです。わたしの視力に問題はありません。でも指先の器用さとなると話は別です。結局指先だけでは開くことができず、歯を使って、やっとのことで開くことができました。

「ちょっと練習すればだいじょうぶよ」ジュリアはそう言って、わたしを元気づけてくれました。

「先に、後ろのストラップをストッキングに留めましょう。そのほうが楽よ。太ももの裏の中央より少し脇寄りにストラップが下がるようにするの。時計で言えば、右の太もものストラップが5時、左の太もものストラップが7時。そうすれば、座った時に留め具が肌に食い込まないわ」

わたしは、留め具をつまんだ手を後ろに回して、5時のあたりに置いたつもりでしたが、どうやら3時のあたりだったようです。ジュリアが私の手を、そっと後ろにずらしてくれました。

「ウェルトに留め具をつけるのよ。ウェルトというのは、ストッキングの色の濃い部分のこと。上から2.5センチぐらいのところね。」

 

ついに、6つの留め具を全部つけることができました。これには自分でも驚きです。

「じゃあ、脚の長さに合わせてストラップの長さを調節しましょう。座るときのために、少しゆとりを持たせてね。椅子に脚を乗せて調節するといいわ」

マレーネ・ディートリッヒのように椅子に脚を高々と乗せているうちに、いい気分になり、自信が湧いてきました。そして両脚のストラップの調節が完了しました。

「ほら、できました!」

誇らしげな私に、ジュリアは自分の履いていた赤いエナメルのパンプスを貸してくれました。受け取ったパンプスを履き、鏡に映った自分を見て驚き、誇らしく思いました。

 

ところがこの時、尿意が訪れたのです。きっとワークショップの始めに飲んだシャンパンのせいです。ジュリアから腰に巻くためのシルクを受け取り、大急ぎでトイレの個室に駆け込んだのですが、問題があることに気づきました。ショーツを下げられないのです。下げようとしてもガーターベルトとストラップ、留め具が邪魔をしてストッキングの高さまでしか下がりません。最悪の事態を避けるために脚を組み、体をもぞもぞ動かしながら、急いで6つの留め具をはずしました。なとか無事に用を足しましたが、3本の指の爪を傷つけ、ストッキングはくるぶしのあたりまで落ちてしまいました。それを一気に引き上げ、できるだけうまく留め具をつけ、ジュリアのところに飛んで帰りました。

 

彼女は、よじれたストッキングをひと目みるなり、わたしの両手を握り締めました。そしてにっこり笑って、こう言ったのです。

「ガーターベルトを一日中つけるときには、パンティの下につけてね。そのほうがずっと楽でしょ?」

「でも、どの写真でも、どの店のウィンドウでも、ガーターベルトがショーツの上になっていますよ!」

「そのほうが見栄えがいいからよ。でも一日中つけるとなると話は別。ただし男を誘惑するときには、ガーターベルトが上の方がセクシーだから、奥の手としてありだわね。もちろん、別の選択肢もあるんだけど」

「どんな?」

「パンティをつけないの」

うわあ…。

 

 

■ガーターベルトを楽しむためのアドバイス

 

さあガーターベルトと太もも丈のストッキングを着けてみようと思っても、多くの方はいったいどんなファッションでそれを試せばいいのかお悩みになるのではないでしょうか。最後にガーターベルトに適したシューズと服についてご説明したいと思います。

 

ストッキングをはいた脚をもっともきれいに見せるのは、ハイヒールです。バックシームのあるカラーのRHTストッキングを着用するときには、パンプスも同じカラーにするのがお勧め。ストッキングのバックシームとヒールにつながりが生まれて、とてもきれいですよ!服に関しては、好みの服を着ていただくのがいいですが、ウェルト部分(ストッキングの色の濃い上から2.5センチくらいの部分)が見えてしまわないように気を付けてください。隠れているからこそ、想像をかきたて、魅力的に見えるのです。見せすぎは禁物。

 

あなたがどんなストッキングを選ぶにせよ、どんな服に合わせるにせよ、太もも丈のストッキングをはくことの解放感と快感をぜひ味わってください。

 

【関連書籍】

『~』キャスリン・ケンプ・グリフィン 著

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キャスリン・ケンプ・グリフィン

ジャーナリスト、企業家、カナダ生まれ。1990年からパリに住み、ランジェリー業界で仕事をしている。ランジェリー関連アイテムと美容製品を扱う会社「ソイエル(Soyelle)」を設立。その後、パリのランジェリーブティ...

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