【今週のカレイライフ】男性は“超熟女風俗”に何を求めるのか

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誰しも、年をとっていくもの。では、年をとるとどうなるのか? 加齢にまつわる話題をピックアップ。華麗に加齢と向き合うヒントを探っていきましょう。

 

第2回:80代風俗嬢が活躍できる理由

 

「風俗にいったら、自分の母親よりもはるかに高齢に見える女性が現れてギョッとした」というエピソードは、風俗体験ルポもののマンガによく出てくる。意外と良かったり、使いものにならなかったり……といった様子がコミカルに描かれる。「若くてかわいい子を期待してたのに、聞いてないよ!」というお約束のハプニングのひとつだ。

 

ところが、『』(中山美里/洋泉社)に登場するのは60代以上の現役風俗嬢の方々である。中には80代の方もいる。若い頃から風俗で働いていた人もいるが、多くは40代以上、人によっては60代を超えてから風俗の世界に飛び込んでいる。きっかけはさまざまだ。ある82歳女性(夫とは死別)は友だちから誘われ、働き始めたという。ホテトルの待機室に住み、客がつけばプレイを行う。また、借金を抱える女性もいる。本書では「離婚した夫が養育費を払ってくれない」「子どもを進学させたい」「母親の入院費用が必要」といった切羽詰まった事情も語られる。だが、そこに悲壮感はない。

 

超熟女風俗を利用する客の年齢層も幅広い。本書に登場する60代の風俗嬢N美さんによると「お客さんの大半は20代以下。4割くらいが30~40代で、同世代はほとんど来ない。あとはたまーに70~80代くらいのおじいさんがくる感じ」。また、「若い常連の子は受け身……っていうかマグロが多いですね」という50代の風俗嬢M子さんは、本書のなかでこう語っていた。

 

「男の人は失敗しちゃいけないってプレッシャーがあるでしょう?(中略)そのプレッシャーを感じなくていいのが、熟女風俗なのかなって思うんですよね」

 

男性が安心して素をさらけ出すことができ、わがままも受け入れてくれる。そのふところの深さが超熟女風俗の魅力だというのだ。

 

また、著者は《熟女が好きだと非常にリーズナブルに遊べるようになる》と分析する。女の若さと美しさを求めると、男性はお金がどんどん必要になる。《ある一定の年齢を超えたあたりから、財力や権力など、さまざまな力を身につけていない限り、若い女性は相手にしてくれなくなる》からだ。その点、熟女が好きな男性の場合は《若さや美しさを手放す代わりに、癒やされたり、甘えたり、時には叱られたり、励まされたり、とことんエロかったりと別のものを手にいれられる》と。

 

若さを求め始めると、とかく金がかかるのも女性も同じだ。化粧品にファッション、エステ、美肌整形……と投資先は尽きない。しかも、大金をつぎ込んだからといって「歳をとる恐怖」から解放されるとは限らない。「若さは万能」が幻想だったという結論に達し、愕然とする可能性も十分ありうる。本書の中で、著者は超熟女たちへのインタビューを通じて、将来への不安がやわらいだと語る。《元気で働けばなんらかの形で稼ぐことができ、ニコニコしながら柔軟に生きていけば求めてくれる人がいる。本当に最低限必要なのは、健康な心と体だけ》と実感したという。

 

歳をとるのは誰しも、大なり小なり不安なものだ。無理もきかなくなるし、不自由なことも増えるだろう。しかし、本書に登場する超熟女たちのように、好きに生きられるのもまた、歳を重ねたおかげとも言えるのだ。

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老年学研究者

島影真奈美

「定年後の備えラボ」主宰/編集&ライター 年金から保険、住まい、健康など“定年後”にまつわる不安や悩みを幅広く蒐集。快適なシニア生活と世代間コミュニケーションにまつわる研究・考察を行う。『定...

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