自分らしいバランスが見つかる! ジャケットの「襟幅」の測り方

ライフスタイル

クールビズの装いが本格的に許される季節になった。タイが大好きな私としては、あのVゾーンがシャツだけの姿はなんともだらしなく、人によっては仕事の場にそぐわないいやらしさまで感じてしまう……。お上が付けなくて良いと言ったから的な「右へ倣え」の装いを見るにつけ、大分寂しい思いになる。日本ではスーツは結局、深い思索ではなく表面的な判断のみでしか着られることのない管理ツールでしかなかったのか……。「せめて自分くらいは!」と、頑固ではあるがスーツはもちろん、単体のジャケットを着用する時でも必ず、何らかのタイをするようにしている。

 

前置きが長くなった。今回はタイの話ではなく、ジャケットのお話。そのジャケットで流行を最も端的に表しているのが襟幅であることには、異論がないであろう。が、この「襟幅」、一体どこの幅なのかを正確にご存じの方は、実は案外少ない。多分かなりの大勢の方が、下の写真のように「上襟と下襟とを別けるゴージラインの長さ」をそのまま襟の幅と考えているのではないだろうか?

 

「上襟と下襟とを別けるゴージラインの長さ」=「襟の幅」と考えるのは間違い

何を隠そうこの測り方こそが、大間違いの典型! では正解は? と言うと、一般的な形の襟=ノッチドラペルの場合は下の写真のような位置で測る。言葉にすると多少面倒だが、こんな感じ。よってこのジャケットの襟幅は9㎝ではなく8㎝が正解となる。

 

①まずVゾーンの端の線=返り線と垂直にメジャーをあて、

②①の状態のまま、下襟の頂点に到達するまでメジャーを上げ下げする。

③下襟の頂点に届いたらメジャーを固定させれば、そこと返り線までの距離が襟幅。

 

一般的な形の襟=ノッチドラペルの場合

またダブルブレストのジャケットに多い、下襟が上に尖った形状のピークドラペルの場合は、ノッチドラペルと同じ測り方と、最も下の写真のような測り方の二通りが存在する。後者は前者とは、②が大きく異なるので注意が必要なのだが、出て来る数値はほぼ同じで、いずれもこのジャケットの襟幅は9.5㎝だ。因み後者の測り方を文章化するとこうなる。

 

①まず返り線と垂直にメジャーをあて、

②①の状態のまま、上襟と下襟との接点=「刻み」を経由し、下襟の端(頂点ではない!)に到達するまでメジャーを上げ下げする。

③②のポジションでメジャーを固定させれば、そこと返り線までの距離が襟幅。

 

下襟が上に尖った形状のピークドラペルの場合は2通りの測り方がある

「襟幅」がどうして重要かと言えば、流行追随ではなく顔の大きさと襟幅とのバランスと言う、一種の普遍美の観点でスーツやジャケットを選べるようになれるからだ。更には合わせるシャツやタイのバランスまで理解できるようになれる。因みにノッチドラペルの場合なら、

ジャケットの襟幅=シャツの襟幅=タイの大剣(最も太いところ)の幅

と全てほぼ同じ寸法で揃えるのを通じ、印象が非常に整うことは知っておいて絶対に損はしない。次のボーナスでスーツやジャケットを購入する前に、まずは手持ちのそれらの襟幅を何着か測っておこう。貴殿の何らしかの嗜好が見えて来るはずだ!

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服飾ジャーナリスト

飯野高広

1967年東京生まれ。大学卒業後、扱う商品も社風も非常にカタい某大手メーカーに11年あまり勤務し、2002年にファッションジャーナリストとして独立。執筆分野は紳士靴をメインにスーツなどの重衣料やシャツ、傘、バッ...

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