【中年名車図鑑|2代目トヨタ・セリカXX】未知数“X”をダブルで重ねた未来進行形のスーパースペシャルティ

車・交通

大貫直次郎

ソアラという上級スペシャルティカーの開発を決定したトヨタ自動車は、共通の新設計コンポーネントを使ったもう1台のスーパースペシャルティの企画を推し進める。2代目となるセリカXX(1981~1986年)だ。ソアラがラグジュアリーを重視したのに対し、セリカXXはスポーティを強調していた。今回は“スーパー・グランド・スポーツ”を謳ったA60型系セリカXXで一席。
 

2代目セリカXX。ソアラと共通コンポーネントながらスポーティさを際立たせた

  【Vol.13 2代目トヨタ・セリカXX】

排出ガス規制の克服に一定の目途がついた1970年代終盤のトヨタ自動車は、既存のスペシャルティカー、すなわちセリカおよびセリカXXの全面改良を鋭意画策する。来るべき80年代にふさわしいセリカ・シリーズの姿とは――。打ち出された方針は、明確なキャラクター分けだった。中核の4気筒版セリカは若者層にターゲットを絞り、上級モデルの6気筒版セリカXXは年齢も収入ももう少し上の層を狙うこととする。そして、セリカXXの基本コンポーネントは上級スペシャルティカーとして開発を進めていたソアラ(1981年2月デビュー)と共用化する旨を決定した。


2代目となるセリカXXは、1981年7月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは “スーパー・グランド・スポーツ”。日本のみならず世界市場(輸出名CELICA SUPRA)で販売し、しかもスペシャルティカー市場をリードする高性能スポーツモデルであることを当初から主張していた。


■実は英国ロータス社がセッティングしていた!?

エクステリアに関しては、シャープな直線的ラインを基調にリトラクタブルライトを配したロングノーズやウエッジを利かせたサイドビュー、ヒップアップしたリアエンドなどを導入し、精悍かつ躍動感あふれる3ドアハッチバッククーペのスタイルに仕立てる。空力特性も重視。Cd値(空気抵抗係数)はクラストップレベルの0.35を実現した。一方で内包するインテリアには、エレクトロニックディスプレイメーターや8ウェイスポーツシート、マイコン式オートドライブ、ツイントリップメーターなどを装備して上級感を引き立てる。オプションとして、新開発のナビコンも設定した。
 

デジタルディスプレイ、マイコン式オートドライブなど豪華な装備も特徴


搭載エンジンはアルミ製のツインカムヘッドや油圧式バルブラッシュアジャスターなどを組み込んだ“ツインカム-6”こと5M-GEU型2759cc直列6気筒DOHC(170ps)と“レーザー1G”の1G-EU型1988cc直列6気筒OHC(125ps)を設定。駆動レイアウトはFRで、トランスミッションには5速MTと2ウェイOD付4速ATを組み合わせる。懸架機構には前マクファーソンストラット/後セミトレーリングアームをセット。制動機構は5M-GEU型エンジン搭載の2800GTグレードに4輪ベンチレーテッドディスクを、1G-EU型エンジンを積む2000G/S/Lグレードに前ベンチレーテッドディスク/後ディスクを採用した。

ちなみに、サスペンションのセッティングに関しては英国のロータス社に協力を仰ぐ。セリカXXのデビュー当初はロータスとの技術提携はプレスリリースなどに明記されず、カタログや広告展開にロータス創業者のコーリン・チャップマン(Anthony Colin Bruce Chapman)氏を起用した程度だった。しかし、後のロータス・エリーゼRに搭載するトヨタ製の2ZZ-GE型エンジン(1795cc直列4気筒DOHC)が製造中止になるのを受けて、2010年9月に同車の最終生産記念モデルがロータス・カーズからトヨタ自動車の豊田章男社長に贈られた際、トヨタ発行の「ご参考:トヨタとロータス社の関係」というリリースで、改めて「1981年 セリカXXのサスペンション開発を委託」と記載された。
 

8ウェイスポーツシートを装備。上級スペシャルティらしい格調高いインテリアだった


■際立ったスポーツ性能がXXの持ち味

上級スペシャルティカーきってのスポーツ志向モデルとして、市場から熱い支持を集めたセリカXX。その実力をいっそう高めようと、開発陣は精力的に進化および深化を図っていった。

まず1982年2月には、M-TEU型1988 cc直列6気筒OHCターボエンジン(145ps)を搭載する2000 Gターボ/Sターボを追加。同年8月には、新開発の1G-GEU 型1988cc直列6気筒DOHC24Vエンジン(160ps)を採用した2000GTが登場する。この1G-GEUユニットは提携関係にあったヤマハ発動機の協力を得ながら開発した逸品で、1気筒当たり50度のV型に配置した4バルブ(計24バルブ)と2本のオーバーヘッドカムシャフト(DOHC)を組み込む。また、燃焼室形状は効率に優れるペントルーフ型に仕上げ、燃焼室の直上には新開発の小型白金プラグをセット。高回転化による低速域でのトルクの落ち込みやレスポンスの悪化をカバーするために、可変吸気機構(T-VIS)やインジェクターの配置を最適化した最新の電子制御式燃料噴射システムも導入していた。ちなみに1G-GEUユニットはソアラやマークⅡなどにも採用されたが、セリカXXは5速MTのトランスミッションのみと組み合わせており、高回転域まで引っ張れるその特性が「5ナンバー規格(ボディサイズは全長4660×全幅1685×全高1315mm)で乗れる最上で最強のダブルエックス」としてファンから高く評価された。
 

ヒップアップしたリアエンドが特徴的な3ドアハッチバッククーペ

1983年8月になるとマイナーチェンジを実施。外装ではドアミラーの標準化やフロントエアダムの大型化、リアゲートおよびバンパーのボディ同色化、リアコンビネーションランプとフロントウィンカーの形状変更、新デザインアルミホイールの装備などを、内装ではカラーリングの刷新やドアアームレストの材質変更などを行う。また、5M-GEU型エンジンの出力アップ(175ps)およびECT-S(電子制御式4速AT)の採用やM-TEU型ターボエンジンへの水冷式インタークーラーの装着(160ps)などを敢行した。1984年に入ると、まず5月に特別仕様車のスーパー2000GTブラックをリリース。8月には一部改良を行い、サンシェード一体型リアスポイラーの設定や可倒式ドアミラーの装備、フロントガラス上部へのブルー着色加工などを実施する。1985年1月には1G-EUエンジンをオールマイコン制御化した1G-Ⅱユニットへと刷新し、最高出力は130psへとアップ。また、1G-GEUエンジンは従来のエアフロメーター方式のEFI-Lからバキュームセンサー方式のEFI-Dに変更した。

1985年8月になると、4気筒版のセリカが第4世代の通称“流面形”に移行する。しかし、ソアラと基本コンポーネントを共用するセリカXXはそのまま継続して販売された。そして、ソアラが第2世代に切り替わった翌月の1986年2月に全面改良を実施。車名は輸出仕様に使っていたネーミングと同一の「スープラ」に変更され、未知数を表すアルファベットの“X”をふたつも重ねた未来進行形の車名は2世代限りで終焉を迎えたのである。

 

 

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大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バ...

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