出生率ヨーロッパNo.1 フランスの出産裏事情

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出生率ヨーロッパNo.1 フランスの出産裏事情

少子化が深刻な問題になってきている日本。2012年の出生率は1.41人。片や、地球の裏側のフランスはヨーロッパNo.1の多産国家で、同年の出生率は2.01人。フランスは現在ベビーブームであり、通りを歩いているだけで子供が多いことが一目瞭然。放課後の公園に行けば、すべり台、ジャングルジムには子供達がひしめきあっています。

 

なぜフランスは子供が多いのか? なぜフランスの女性は産んでいるのか? その裏事情をのぞいてみると、高い出生率を誇るフランスのあらたな側面が見えてきます。

 

例えば、婚外出産率が56%という事実! 日本では「できちゃった結婚」という言葉がありますが、その裏には、子供ができたら結婚するものという大前提があります。しかし、ここフランスには子供を授かる=結婚という概念はない様子。

 

しかも最近は、妊娠ツーリズムというものまで存在するのだそう! 妊娠ツーリズムとは、「特定のパートナーは持たない。でも子供は欲しい!」という女性達が、電車に乗って近隣国を訪れ、子供をもうけようとする動きのこと。(現在発売中の月刊誌「クーリエ・ジャポン3月号」で、妊娠ツーリズムにいそしむフランス人女性の様子がクローズアップされています)

 

 

と、色々な出産の形が存在するのもフランスの現実なのです。それに賛同できるかは別にして、これらのこと全てが高い出生率を支える裏事情の1つであることは事実。ただ、出生率2.01人をキープし続けるには、「とにかく1人産みたい」ではダメなのです。「2人目、3人目を産みたい」と、またもう1人産みたくなる環境が必要です。私は、ここに、フランスの高い出生率を保つ本当の裏事情が隠れているではないかと考えています。

 

私がフランスで妊娠、出産、子育てを経験し、肌で感じるのは、「産みやすい国」というよりも「育てやすい国」だということ。婚外出生率や妊娠ツーリズムなどの裏事情よりも、産んだ後の「育ての場」が整っていることが子供が増える最大の理由だと考えています。

 

「育てやすい国」というと、働くママを支える社会体制が整っているなど、法的な制度を頭に思い浮かべるかもしれません。確かに、著書『パリママの心豊かに生きるシンプルなヒント』でも触れましたが、3歳未満の子供が1人いるママの有職率は80%。子供が1人の段階では職場に復帰は当たり前というのが現状です。それだけ、社会の受け皿が整っているというのはまぎれもない事実。

 

でも私が肌で実感する「育てやすさ」はそれとは違って、一言で言えば、子連れフレンドリーな国。世間が優しいんです、子連れに。

 

 

見知らぬ人でさえ育児に関ってくれようとする気持ち、これを感じるんです。バギーを押しているママ、子供を抱っこしているママ、そういう人達に率先してみんなが手を差し伸べる社会風潮があるんですね。はっきり言って、フランス人が優しい人達かと言ったら、お世辞にもそんなことは言えないかもしれません。個人主義を地で行くタイプの人達ですから。でも、子連れに対してだけは別。

 

だから、フランス人のマダムは、1人産んだらまた産みたい、と思えるんです。周りが温かいから。今の日本は1人産んで世間の冷たさを身に染みて感じ、2人目を躊躇してしまう人だって少なくありません。

 

私は、日本の少子化対策にもっとも必要なことは、「世間の温かい目」だと思います。階段でバギーを一緒に担いであげる、ドアを開けてあげる、こういう小さな心遣いが本当に嬉しいんです。その嬉しさは、単に「バギーの重さが半分になった」というものではなく、ママ特有の孤独感を消してくれるほっこりした気持ちのこと。小さな心遣いが、「私、ひとりじゃない」という気持ちにさせてくれるんですね。

 

フランスの現状を見て思うのは、日本の出生率を1人から2人にアップするには、すでにママをしている人が「また産みたい」と思う社会作りがポイントだなと。育児しやすい社会体制を整えるのは1人の力ではできないけれど、「バギー持ちますよ」なら明日からすぐにできる立派な少子化対策だと思うのです。

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オランダ心理学会 認定心理士

佐藤めぐみ

子育て心理学が専門のAll About子育てガイド。オランダ在住。 育児相談室「ポジカフェ」主宰&育児コンサルタントとして、ママ向けのストレス管理、叱り方のノウハウをお伝えするため日々活動中。 著書: 「子...

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