心臓マッサージをするときにぴったりのBGMとは?

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citrus おかだ外郎

心臓マッサージをするときにぴったりのBGMとは?

学生時代に私は「心臓マッサージ」を2種類習いました。「閉胸式」と「開胸式」です。読んで字の通りで、前者は寝た状態の人の胸をそのまま圧迫するやり方。後者は開胸をして心臓を直接手で圧迫します。教室でだったか病棟でだったか、路傍で「閉胸式」ではなくて「開胸式」の心臓マッサージを施行した外科医の話を聞いて私は頭がくらくらしましたっけ。自分には絶対できないぞ、と思ったものですから。

 

ただし当時の(閉胸式)心臓マッサージは、現在行われている「心肺蘇生術」でのやり方とは微妙に違っています。昭和の時代は「できるだけ速く胸の圧迫を4〜5回、そこで人工呼吸を1回」をワンセットにして繰り返す、というやり方でした。現在でもそれをやっても良いのですが、「とにかく速く(1分に100回以上)胸部圧迫を繰り返す(人工呼吸はナシ)」でもOKとなっています。圧迫する場所も、昭和は「胸骨の下から1/3のところ」でしたが、現在は「胸骨の中間(1/2)」に変わりました。

 

これは「心臓を圧迫することで血液を送り出させる」から「胸腔内圧を変動させることで血液を駆動させる」に発想が転換されたためです。「心臓を圧迫」だったら「心臓がある場所(=胸の下半分)」を圧迫する必要がありますが、「胸腔内圧を変動させる」だったら「胸の真ん中を押さえる」になるわけです。

 

ここに面白い話が登場します。「咳」で「心臓マッサージ」と同様の効果が得られた、という話があるのです。

 

 

『』(医学図書出版株式会社)の4ページ「2.CPRにおける血流発生の機序」でプレビューできますが、心室細動を起こした患者が意識があるときに連続して咳をさせたら、血圧も意識も維持され心拍回復までの時間が稼げた、というのです。それに直面した医者は驚いたでしょうが、驚くだけではなくて動物実験などが行われ、「胸腔内圧の変動」の重要性に気がついた、というわけです。

 

胸腔内圧の変動によって心臓自体の容積もいくらかは変動するでしょうが、基本的に心臓は「血液の通路」でしかないことになります。だから生理的な心拍数よりも異常に速く胸の圧迫をしてとにかく血液の流れを途絶えさせないようにすることが重要になるわけですね。すると「心臓マッサージ」を受けているとき、心臓で重要なのは「ポンプ機能」ではなくて「弁の機能」ということになりそうです。

 

ちなみにこの時「BGM」としてアメリカでは「ステイン・アライブ」(ビージーズ)が推奨されているそうです。広く知られていてリズムがぴったり(103拍/分)なのだそうで。「サタデー・ナイト・フィーバー」を知らない世代の日本人に広く知られている歌で上の条件を満たすものって、何でしょう? 重要なのはとにかく100回/分以上を維持することなので、それに役立つものは何でも使いたいのです。

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おかだ外郎

山奥~島~都市、診療所~内科外科の小病院~精神病院~総合病院、経験のバリエーションだけは豊富な、本好きの臨床医です。現在は内科とリハビリテーション科を兼任しています。

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