女性の快感の仕組みをモザイク無しで見せる「OMGYes」上陸──日本人の性器観をくつがえす黒船となるか

ライフスタイル

三浦ゆえ

 

性教育が必要──多くの人がこの認識を持ちながらも議論が進まない理由のひとつに、“性”の何を教えるべきかついての足並みがそろわないことがあると感じています。月経の仕組み、避妊、感染症の予防のほかに「卵子の老化」が取りざたされるようになって以降は妊娠可能年齢を教えるべきだといわれますし、性暴力をなくすための教育をすべきという声もあります。

 

しかし「究極のコミュニケーションであり、強い快感をともなう楽しいもの」という性の一面を教えよう、という意見はあまり聞きません。性によって傷つき傷つけられない方法を習得することが大事である反面、性の“楽しい面”をどこでも習わないがためにその知識をAVに代表されるポルノグラフィに求めてしまうように見えます。

 


■2000人に調査してわかった「快感の仕組み」

 

いうまでもなく、AVのみならずメディアにあふれる多くのアダルトコンテンツは“セックスの教科書”ではありません。特に女性は、自分自身の身体と快感の仕組みについて知る機会をほとんど持たず、それゆえに本来なら楽しいはずの性において傷つけられてしまうことが多々あります。

 

そんな日本の女性たちにとって、黒船となるのか否か。女性の快感を具体的かつストレートに解説する有料webサービス「OMGYes」日本版が今春オープンしました。

 

女性の快感について大規模調査を行い、その結果を映像化して配信する同サイト。調査対象の女性は2,000人超、しかも年齢は18~90歳というからびっくりです。日本では中高年以上の女性のセックスライフは“ないもの”とされがちです。

 

それ以上に、映像に度肝を抜かれます。たとえばサンプルとして公開されている「じらしプレイ」テクニック。女性がカメラの前で自身の性器に触れながら、好みの愛撫について解説するのです。そこにモザイクは一切ナシ!

 


■女性は性器を触っただけではクネクネしない

 

「私のホットスポットはクリの右上よ……軽めの圧をかけながらピンとくるポイントを探すの」と語りながら、指で性器をまさぐる女性……多くの男性、いえ女性も、彼女が最初から最後まで淡々と、そして冷静に解説する様子に驚くでしょう。

 

なぜなら、私たちは「性器を触られた途端にクネクネと身をよじらせ、アンアンあえぐ女性」の映像に慣れすぎているからです。このファンタジックな“性反応”こそが望ましい女性の態度で、そうでないと“マグロ”と揶揄されます。

 

女性のマスターベーションもポルノグラフィの文脈では、「男性を興奮させるもの」であり女性自身のためのものではありません。女性は性器に触れただけではクネクネもアンアンもしないという圧倒的なリアリティ。多くの女性が「これこそが真に“女性のため”に作られたハウツー映像だ!」と確信すると思われます。

 


■自身の性器について深く考えない日本人女性

 

同サイトの「よくあるご質問」には「なぜ、あからさまに女性の体を公開するのか」とあり、本国でも無修正映像に衝撃を受けた人が少なくないことがわかります。これに対する回答は、触れ方を詳細に伝えるにはそれが最適と判断した、そして長きにわたって存在した女性の身体そのものへのタブーを取り除く目的もあるというものでした。

 

日本の女性はポルノ的な性反応を求められる一方で、自身の性器のことをほとんど知りません。性器と自分とのあいだに非常に大きな距離があるのです。自分の身体の一部であるにもかかわらず。

 

欧米ではデリケートゾーン専用のソープやケア用品で日常的に性器に触れ、ケアをするのが当たり前。性器は粘膜が露出しているので、ボディと同じソープで洗うとトラブルの原因になることが“常識”となっています。これに対して日本では、そうした商品は数も種類もわずかです。

 


■堂々とした「性器開示」は日本人にどう映るか?

 

日本人女性はセックスのときと、妊娠、出産、または何かトラブルが起きたとき以外は、まるで性器など存在しないかのように振る舞うことを求められています。一方で、ポルノグラフィをはじめいろんなシーンで、女性の性を“自分のもの”と感じている男性は多くいます。

 

OMGYesで性器および快感について開示している女性は、日本人女性にとって「自分がふだん考えないようにしている性器と臆せず対話している」、日本人男性にとって「俺たちのものであるはずの性器を、自身のものとして取り戻している」と映るでしょう。

 

性器についての距離が大きく開いたままで、女性が「究極のコミュニケーションであり、強い快感をともなう楽しいもの」である性を享受することはできません。ポルノグラフィはその距離を広げるだけです。OMGYesが示す性器との向き合い方が、日本人女性の“性器観”に一石を投じてくれることを願います。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに編集、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~...

三浦ゆえのプロフィール&記事一覧
ページトップ