「産休育休は取らせるべき」について、雇い主側がぶっちゃけ思うこと

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citrus たむこう38

「産休育休は取らせるべき」について、雇い主側がぶっちゃけ思うこと

「産休育休の問題」。これはむかしっからなんだかんだ言われてますね。つい最近も「裁判だなんだ」とメディアで取り上げられていましたけど、正論としては「率先して産休育休を取らせるべき」というか「取らせなければならない」ということですよね。

 

ある意味「社員の健康管理義務を有する雇い主側(会社側)」という立場からも当たり前のことでしょうね。もちろんこのこと自体に何の異論もありません。これを徹底しないと今のこのご時世子供は増えないでしょう……。

 

……たーだ、ほっとんどメディアでは語られない「雇い主側のぶっちゃけ」としては、「正直つらい」、この一言です。「きつい」のではないのです。「つらい」のです。

 

世論や、「世論に迎合しているTVなどのメディア」の風潮としては、「産休育休を取らせない企業なんて世の中の敵だ!!」的な流れですから、そもそもろくったま本音なんていえない。たとえ言ったって編集でカットされてしまう。我慢するしかないこの現状。

 

そりゃよっぽど性格がひん曲がったアホ社長でもなければ、「妊娠!! おめでとう、よかったねー。産休? どうぞどうぞ、いつまでも待っているよー」……と言いたいですよ、本気で。

 

でも従業員が5名くらいしかいない、しかも皆ポジションが違うため簡単にはカバーしあえない……。こんな中小、というか零細企業としては正直、素直には喜べない。むしろ「マジ!?」って感じですよ。

 

あったりまえですが、「社長、そろそろ子供作ろうと思うんですがいかがでしょうか?」なんて聞きに来る人は絶対いないわけで、たいていが「もうできたんでいついつくらいには産休頂きます」という事後報告……ですからね。

 

そもそも「経営がよろしくなくて火の車の零細」とかからすれば、「事故的な感じ」ですよ。ほんとに申し訳ないけど。もちろん助成金とかあるのは知ってますよ。だからお金の問題じゃないんです(正直手続きとか頻雑だし、平日休めない零細経営者からすると助成金の手続きも大変ですけど)。

 

 

問題は、「該当するスタッフがいない間どうすんの?」ってことなんです。

 

昔は結構、妊娠したら自主的に退職されることが多かったですね。というかそもそも「結婚を機に家庭に入る」とかで退職してしまう人も多かったですよ。「寿退社」とかね。

 

今は共稼ぎが主流の時代なので、べつにそういうわけでもなく、むしろ「産休育休はもらうけどやめない」というのが多数。雇う側からすると、実は「代わるなら代わるではっきりさせたい、安定させたい」というのが本音。

 

申し訳ないけどどんなに優秀であっても、「いつどのように復帰できるか確証のないスタッフ」よりも、「素人でもこれから長く働いてくれそうな新規スタッフ」のほうがすっきりするんです。

 

……と、ここまでぶっちゃけてると、相当納得のいかない、働いている女性もいるでしょうね。「ふん。なによ、こんな時代遅れのところなんて、そもそも働かねーよ。さいてー」みたいに思われてるんでしょうね。

 

でも、「思われてる」くらいならいいんでしょうけど、もし実際に自分の会社の社員さんと万一もめた日にゃ、へたすりゃ裁判に発展する可能性もあるわけです。

 

で、実際ド零細企業の経営者はどうしているか。「めっちゃ警戒している」。これホントです。もちろん中には、「あえて産休育休をがっちり取らせることを売りにして、優秀な女性職員を集めようとしている」零細企業もありますが、一般的には「警戒している」というのがしっくりきます。

 

つまり「はじめっからあやしい人は雇わない」ということです。正確には「雇えない」ということ。もちろんこちらから根掘り葉掘りは尋ねられませんが、面接などの話の中で、「あやしい」という要因があると思われる応募者は優秀そうでも「雇えない」ということ。

 

 

たとえば、

 

「あのー、今回通勤時間が2時間となってますが……大変じゃないんですか?」

 

「あ、じつは、今回結婚して転居することになりまして、実際こちらに近いところに来る予定なんです」

 

「……あぁ……」

 

みたいな感じ。

 

でも最近は「面接段階」ではっきり「数年内に産休育休くれ」っていう人もいますよ。20代後半とかに多いかな? 正直「こんな少人数の零細なんて希望せずに人数の多いところに行けばいいじゃん?」って思います。「2、3年後に大ブレークして、規模が10倍になっている」なんてありえないわけですから……。

 

逆に、中には警戒してくる「応募者」もいますね。

 

「今年結婚したばかりの新婚でーす」

 

「……あぁ、そ、そうですか……」

 

「あ、いや、まだ子供とかはぜーんぜん考えていませんので、バリバリ働きまーす」

 

……みたいな。

 

実際「パート」で働いてもらっていて、「全然休まないし熱心」なので「正社員」にしたら2、3か月後に妊娠した、ってケースを知ってます。「社員になれたんでやっと子供が生める」と思ったそうです。「年子の子供を3人作って産休育休を何年間もしている人」もホントにいます。……正直、雇い側は「つらい」……。

 

理解してほしいのは、「雇い主側(会社側)はみんな、別に意地悪をしようとしてしているわけではない」ということ。「時代錯誤の頑固じじい」「少子化の原因・悪玉」的な扱いをされている企業があわれであり、おっかなくなりますね。へたすりゃ明日は我が身かと……。

 

 

もうちょっと「国や行政も単に世論に迎合した点数稼ぎ的な対策」ではなく、「もっと現実的な対策」を考えてほしい。「今起こっている問題の根本原因」をしっかり見てほしい。

 

少なくとも、相対している「雇い主側」も「社員側」も本来同じ普通の1市民であり、目の前にいる「鬼女性人事部長」も実は数年前までは「必死に子育てしてた」かもしれない。たまたま「今現在の立場が違うだけ」なのかもしれないわけです。

 

今「妊婦側」で「まーひどい、こんなひどい企業、世の中の敵だ、潰れっちまえ」とか言ってる人も、20年後に「逆の立場」にいるかもしれません。その時に「どこまで自分の立場を顧みず妊婦の社員さん側にたてるのか?」……そりゃ「つらい」ですよね。

 

「国や行政」も「どっちの勝ち、どっちの負け」ではなく、「国を支える企業」そして「国を支える子供」どちらもがうまく反映するような得策を考えてほしいもんです。また、お願いとしては「妊婦さん側」も「闘おう」ではなく、「相談して何とかしよう」というスタンスになってほしいですね。

 

やはり、「不可抗力で受けてしまった病気とかの不幸」ではなく、「自ら望んで作っためでたいこと」なわけですから、大人として、親として、子供にしわ寄せがいかないように、ある程度以上は「責任」を感じなくてはならないと思います。

 

なんか聞いていると、「まるで避けようのない不可抗力の事故にでもあった被害者」のような言動もあります。正直不思議……「望んでつくったんだよね?」って感じ。

 

あと、「子供は社会でみんなで育てるんでしょー、だから子供や妊婦が何しろ最優先よ!!」みたいな風潮もあります。そのとおりですが、であるなら「子供も親もその社会を受け入れなくてはならないし、従わなくてはならないこともある」。決して都合のいい時だけ「子供は社会全体の宝」ってわけにもいかないのです。

 

もともとは我々「雇い主側」も「従業員時代」もあったし、「子育て時期」もあるし、元来同じ立場のはずで分かり合えているはずなんですよね。それが実際にはもめている……なんとかしたいもんです。

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たむこう38

たむこう38

 ふつうの医者です、おっさんです。自分的にはこつこつ一心不乱に日々修行として医療活動をしてきましたが、なんの肩書きもありません。今の今でも真剣に医療に取り組んではいますが、単なる街医者ってやつです。全然えらくともなんともありません。  また、そもそも「医者になっちゃったー」ではなく、「出来が悪いくせに医師になりたくてしょうがなかった奴が必死にもがいてもがいてここまでやっと来た」って感じの人間です。  なんのセンスもありませんが、むかしっから文章書くのは大好きで、何かを評論するのも大好きです。いつか評論家なりコラムニストなりチャンスがあればやってみたいなー、みたいには思っています。  

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