日本人留学生と痴漢被害者に共通する“モジモジ心理”とは…

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JR東日本が山手線の全車両に防犯カメラを導入すると発表したそうですね。実は、女性専用車両や痴漢冤罪保険の存在、冤罪逮捕を恐れて逃走中に轢死した男性の事件など、その特殊な状況に目を見張る人も多い様子。しかし正直な感想としては、「日本は不必要なほどの便利機器で溢れているのに、電車には今更カメラが搭載されたの?」だったりするようです。

 

 

■自己主張が是とされない日本

 

日本では、女性が痴漢被害に遭ってもなかなか現場で声を挙げにくいとされていますが、これには“我慢が美徳”とされたり、家庭内で性について語られないカルチャーなどに加え、自己主張をあまり善しとしない土壌も大いに関係しているように思われます。実際に日本の学校では教員が大部分を話す講義形式が最も一般的で、侃々諤々のディスカッション形式はそこまで主流ではありません。実生活でも意見を声高に述べる人は得てして敬遠されがちですよね。

 

 

■主張と瞬発力が必須の欧米社会

 

対する欧米などでは、多くの場で積極的発言が評価されるのが特徴です。日本だと、意見を求められた瞬間に場が静まり返るシーンによく遭遇したものですが、私の住むヨーロッパでは逆に「待っていました」とばかりに競うように発言する人を多く見かけます。これは学校や職場のみならずプライベートにおいても然りで、自分の見解を即座に述べられる人物が周囲から尊敬を集めやすいのは痛感させられるところ。

 

また見逃されがちですが、自己主張の際に意外と重要なのが瞬発力。ヨーロッパにいると、「考えてから話すのではなく、話しながら考えているのでは?」と思えるほどリアクションや会話のテンポが速い場面が多く、他国からの留学生や移住者などを観察していても、主張や文法の正しさなどは大概二の次。先に口を開いたもの勝ちと言う状況が往々にしてあるため、敏捷性は不可欠となっています。

 

 

■海外留学生と痴漢被害者に共通するモジモジ心理

 

そんな中、日本人留学生が海外で直面する難題のひとつに、「授業中に発言できない」、「外国人たちの会話に入っていけない」といったものが挙げられるそうです。発言前に「私の英語が通じるだろうか?」、「自分の意見が周りに笑われたらどうしよう」などと世間体にこだわっているうちに話題が目まぐるしく移り、結局発言できず終いというのがその多くのケースのようで、自己主張の不慣れから日本人が国際社会で取り残されがちな様子が端的に窺えます。

 

そして、これに酷似した思考パターンが見て取れるのが、痴漢被害時の女性心理。「もし犯人を間違えていたらどうしよう」、「声を上げても誰も助けてくれないのでは」とまず体裁を気にし、あれこれ思案するうちに意思表示や行動のタイミングをすっかり逃してしまうところは先ほどの例と同様で、これは自己主張するトレーニングをしてこなかったというよりも、今までトレーニングの機会が与えられなかった、もっと言えば自己主張という発想すら周囲の大人から植えつけられなかったことに起因しているのかも知れません。

 

この二例はまったく異なる状況ながらも、日本人特有の奥ゆかしさが裏目に出てしまっている大変残念なケースと言えるでしょう。この美徳は海外でも一定の高い評価を受けてはいますが、痴漢が被害者の人生に大きな瘢痕を残しかねないことや、日本人が国際社会で存在感をうまくアピールしづらい窮状を鑑みるならば、これからは“適切な自己主張のできる人間を育てる”という教育に真剣に重点を置いてみても良いのではないでしょうか。

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ライジンガー 真樹

All About「オーストリア」ガイド、ダイアモンド社 地球の歩き方「ウィーン特派員」。 ウィーン移住をきっかけに、オーストリアの歴史・文化・グルメなどの魅力を日本の人々にも伝えたいと願い、CA乗務の傍ら旅行...

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