相変わらず低い日本のチャイルドシート着用率。ワースト1位常連のあの県は、出生率の高さが影響しているのかも…

車・交通

 

日本自動車連盟(JAF)と警察庁によるチャイルドシート使用状況調査(全国99箇所/13,016人/車両台数10,673台)の最新データ(2017年6月発表)によると、着用率は全国平均で約64%。法制化から17年を経てもいまだに低レベルの数字である。そして、都道府県別の使用率のワースト1位は今年も沖縄県だった。

 

 

■法制化から17年経過してもいまだ使用率は64.1%

 

2000年4月に6歳未満の子どもへのチャイルドシート着用が義務付けられて、はや17年が経過しているが、現在もなかなか着用率が上がって来ない。2004年から2007年では50%を切る状態が続いており、2008年からやっと上向きとなり2013年に初めて6割を超え現在に至る。ちなみに、欧米の自動車先進国におけるチャイルドシートの着用率はほぼ100%である。着用義務に関しても日本が6歳未満であるのに対して身長150㎝以下、12歳未満など、大人用シートベルトが正しく着用できるまではチャイルドシートを使うことが義務付けられている国がほとんどだ。“自動車民度”の低い日本では、そもそも法的規制からして緩いし、ペナルティも生ぬるい。したがってチャイルドシートの使用率も低くなるのだ。

 

 

■チャイルドシート着用率ワースト1位はどこ?

 

JAFの調査では、また興味深いデータも毎年掲載されている。それは都道府県ごとチャイルドシート使用率である。2015年から2017年の3年間の調査結果を見てみると……

 

①全国上位(1-3位)の常連は愛知県、岐阜県で8割前後。北海道も7-8割と高め。

 

②全国ワースト1位はほぼ毎年沖縄県で5割以下。(ほかに兵庫県、愛媛県、新潟県も低い)

 

①の愛知、岐阜はトヨタ自動車のおひざ元であり、日本のデトロイトともいわれるエリアである。自動車メーカーが主導するチャイルドシートの着用キャンペーンやチェックアップなども積極的に展開されている。同時にこのエリアはシートベルト着用率も全国平均よりもかなり高いので、チャイルドシートに関する人々の意識も高いと推測される。(ちなみに東海4県では、三重もまあまあいい方だが、静岡だけがダメ。6割を切る年もあり愛知・岐阜に比べると2割以上少ない)

 

②ワースト1位の常連は沖縄県。チャイルドシートの使用率がほぼ毎年5割を切って毎年全国最下位なのが沖縄である。鹿児島も沖縄に次ぐ低さで、他に宮崎、熊本、大分など九州は全体的に低めだ。沖縄は日本の中では最もアメリカに近い場所であるから、アメリカの影響を受けて車文化や車への安全意識が成熟しているのかと思ったら全然そんなことはなかった。

 

その理由を勝手に想像してみた。

 

沖縄といえば合計特殊出生率の高さでもおなじみ。全国平均が1.44(2016年)のところ、沖縄はダントツのトップで1.95である。子どもの数の多さがチャイルドシート着用率の低さに関わっているのかも? そこにつながるもうひとつのデータが、沖縄は軽自動車の保有率が全国上位であるということ。2015年は50%超で全国1位だった。軽自動車の乗車定員は4名で12歳未満の子ども3人(大人2名分に換算)なら後ろに座れるが、そこにチャイルドシートを2座装着すれば子ども3人は乗れなくなる……それでチャイルドシートをしない傾向がある? まあ、これはあくまで筆者の推測の域を出ないかもしれないが。

 

ちなみに、やはりシートベルトの着用率も沖縄は低めだ。特に、一般道における運転席では95.8%(全国平均98.4%)、後部座席での着用率は27.6%(同36%)でともに全国平均を下回っている。さらにぶっちぎりに低いのは高速道路の後部座席での着用率である。なんと38.6%と全国平均の71.8%を大きく下回っている。沖縄の次に悪いのは大阪府の50.9%であるからその数字の低さがわかるだろう。

 

 

■なぜ?なかなか着用率があがらないのか?

 

最大の理由は取り締まりを大々的にやっていないことだろうと思う。自動車民度の低い日本においては、保護者の良心や安全意識に期待してはいけない。法制化された直後でさえやっと50%を超えた程度だった。チャイルドシートを使わない親は、「捕まらなければいい」というレベルの安全意識しかないので使わずに事故が起きたらどうなるのか?を知らないし、知る機会もない。知ったとしても「ウチの車は大丈夫」だと思っている。

 

 

■交通事故のニュースでチャイルドシートについての言及があれば…

 

チャイルドシートを使わず子どもが乗車中に亡くなる事故は後を絶たないが、新聞記事やネットのニュースにおいてチャイルドシートの使用状況についてはほぼ言及されない(そもそも警察が公表しない)。

 

「全身を強く打って死亡」

「頭を強く打って死亡」

「走行中にドアが開いて,車外に転がり落ち~」

 

といった表現の場合はほぼ100%、チャイルドシートを正しく使用していなかったと思われる。ハッキリ書いてあれば、チャイルドシートを使わないとこんなに怖いことになる!と、保護者の意識に刷り込まれるのだろうし、子どもに話して聞かせることもできるのだろうが。もろもろの事情により、子どもが亡くなってもチャイルドシートの使用については言及しない模様。まあしかし、それが明記されていたとしても、安全意識の低い親がそのようなニュースを読んで危機意識を持つかどうかも不明だが。

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自動車生活ジャーナリスト

加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌...

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