自殺率が高いのは、一人暮らしの高齢者よりも、家族と同居する高齢者

人間関係

citrus おかだ外郎

自殺率が高いのは、一人暮らしの高齢者よりも、家族と同居する高齢者

「」(福島県)

 

自殺したお年寄りのほとんどが家族と同居していました。一人暮らしのお年寄りの自殺者は全体の5%以下に過ぎません。

 

これだけ読むと、高齢者の自殺は家族との同居によって率が高くなる、ということになりそうです。ただし、福島県での高齢者の家族との同居率が実は95%でした、だったら同居か同居でないか、は自殺率には関与していないことになります。こういった場合大切なのは「比較」です。独居と独居ではない高齢者の数の比較。

 

「」(福島県)

 

本県の特色である多世代同居世帯が分離し、高齢者単独世帯や夫婦のみ世帯が増加するなど、高齢者の生活環境や住環境を取り巻く状況が大きく変化しています。

 

ここでは子との同居率の数字はわからないので、福島県ではなくて日本でのデータを見ました。

 

 

「」(内閣府)

 

一人暮らし又は夫婦のみの世帯については、ともに大幅に増加しており、昭和55(1980)年には合わせて3割弱であったものが、平成16(2004)年には過半数を超え、24(2012)年には53.6%まで増加している(図1-2-1-2)。

 

ということで「家族と同居している高齢者は、独居の高齢者よりも自殺しやすい」で間違いなさそうです。ということは、「高齢者が自殺をしている現実を認識せず、自殺対策も立てずに『高齢者は家族と同居するべきだ』と主張する人」はそのことばの裏で同時に「高齢者はどんどん自殺しろ」と主張していることになります?

 

参考図書:『』(大塚ひかり著、草思社、2015年)

 

「昔話」には「昔の日本の実相」が反映されている、という発想で、昔話や古典文学や史料を渉猟して「昔の日本での老人の生活の現実」を再現して見せてくれた本です。ある種の人が「昔の日本の家庭の理想像」とする「老人が大切にされる三世代同居世帯」が「日本社会・歴史の現実から遠く離れたただの空論」で「実際には老人は嫌われたり軽く扱われ、孤独死する人が日本では多かった」ことが残酷なくらい示されています。

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おかだ外郎

山奥~島~都市、診療所~内科外科の小病院~精神病院~総合病院、経験のバリエーションだけは豊富な、本好きの臨床医です。現在は内科とリハビリテーション科を兼任しています。

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