商業施設にホテルや病院…EV用駐車場ってちょっと多すぎない?

車・交通

最近、EV用駐車場がやたらと増えている印象だ。スーパーや病院、ホテルやコンビニの駐車場にも、いつの間にか目にまぶしいピカピカのEV用駐車場ができている。新しくできた商業施設の駐車場の中には、一列全部EV用ということもある。EVは実際、増えているのだろうか?

 

 

■横浜市のとある商業施設の駐車場で、目を疑う光景が…

 

先日、横浜市にあるウチの近所の商業施設を訪れたところ、1階、2階の駐車場が混んでいたので、屋上駐車場まで上がってみた。ここはさすがに空いている!ガラガラだ。と思ってよく見ると……え?EV用?あれ?あちらもこちらもだ。EV用駐車スペースがやたらと多い。5台、10台、え?一列全部?と思ったら、フェンスに面した駐車スペースはほぼすべてがEV用駐車場だった。その台数47台!すべてポール型ケーブル付きの普通充電器である。ここは全駐車台数が423台なので、1割以上がEV用となっている。ちなみに充電中のEVは一台もない。ガソリン車が2,3台停まっているだけだ。なぜ、こんなにEV駐車スペースが多い?いったい、EV って日本に今どれくらいあるんだろうか?
 

 

■日本国内のEV保有台数はそんなに増えているのか?

 

気になったので調べてみた。三菱i-MiEVが法人向けに販売を開始した翌年からのデータで2007年から2016年までの電気自動車の保有台数である。(年々増えていると思いきや。なぜか2007年の234台から2010年の141台に減っているのが不思議?)

 

2007年・・・234台
2008年・・・204台
2009年・・・186台 ※i-MiEVの量産開始
2010年・・・141台 ※12月に日産リーフが発売
2011年・・・4,637台 
2012年・・・13,267台
2013年・・・24,984台
2014年・・・38,796台
2015年・・・52,641台
2016年・・・62,136台

 

2009年にi-MiEV、2010年に日産リーフが発売となり、以降は毎年1万~1.4万台ずつ増加している計算となる。それでは、この台数、シェア的にはどうなのか?

 

 

■EVのシェアは、わずか0.1%!!

 

過去5年間の日本における電気自動車(乗用車)のシェアがこちら。
年に0.02%ずつ、シェアを拡大している。最新のデータでは、電気自動車のシェアは僅か0.1%しかない。0.1%といえば、1000台の中の1台程度である。

 

2012年・・・0.02%
2013年・・・0.04%
2014年・・・0.06%
2015年・・・0.08%
2016年・・・0.1%

 

ちなみに、ハイブリッド車のシェアは2016年で9.1%。ハイブリッド車でさえシェアはまだ1割にもなっていないわけだから、EVのシェアが0.1%というのもまあ、納得がいく。

 

 

■世界でいちばんEVを売っている国は意外にも…

 

では世界的に見てEVの普及率はどうなっているのだろうか?イギリスとフランスが、「2040年までにガソリン車、ディーゼル車の新車販売を禁止する」なんてことを発表したから、欧州でもEVをはじめとするZEV(ゼロエミッションヴィークル)が、急速な勢いで広まることは十分予想されるが……。今、世界で一番EVが売れている国はどこなのか?(データはPHEVを含む、2016年のZEV販売台数)

 

【EV販売台数(台)    世界全体に対する割合】

1.中国    351,861    45.44%
2.アメリカ  158,455    20.46%
3.ノルウェー 45,662      5.90%
4.フランス  34,574     4.46%
5.ドイツ   27,404     3.53%
6.オランダ  23,114        2.98%
7.日本    22,375     2.89%
8.スウェーデン13,615        1.76%

 

意外かもしれないが、世界のEV販売は今、中国がダントツなのである。2位のアメリカに2倍以上の差をつけている。世界に存在するEVの半数近くは中国が保有している。大気汚染が深刻な中国では国を挙げてEVの普及に力を注いでおり、日本人が聞いたこともない民族系EVメーカーも多数存在している。今年春に上海モーターショーで驚いたが、デザインもなかなかいい。とにかく車種が莫大に多いから選択肢も豊富なのだ。

 

これは2014年に撮影した、Google本社のEV充電設備付きの駐車スペースである。日本より圧倒的に混んでいる。リーフがうじゃうじゃいて絶賛充電中!という光景だ。世界第2位の保有台数を誇るだけのことはある

 

■販売比率のわりになぜこんなにEV用駐車場が多いのか?

 

話をもとに戻そう。冒頭で紹介した某商業施設のEV用駐車スペースの件。なぜ、こんなに多いのか、設置義務があるのか? 駐車場を所有する会社に聞いてみた。その答えを簡潔にまとめてみる。

 

  • リーフを販売する日産自動車の本社がある横浜市の政策としてEVを推している。
  • 身障者用駐車場のように設置義務があるわけではない。
  • 駐車場ビルがリニューアルしたのに合わせてEV用駐車スペースをドーンと増やして、他の商業施設との差別化を図りたい(買い物をしている間に充電が可能)。

 

ということが理由らしい。200Vの普通充電器なので30分の充電で約10キロ程度の走行が可能になるそう。急速充電と違って満充電にするには時間がかかるが、商業施設の場合は「買い物をしている間に充電ができる」ことがポイント。急速充電のように充電が完了(8割充電で15-20分)したら、すぐに移動させる手間も不要だ。台数が多ければ、充電後もそのまま駐車できる。ガソリン車の駐車も可能とのことだ。

 

ちなみに、こちらの駐車場を所有する会社は、主要株主が独立行政法人都市再生機構と横浜市である。EV普及は横浜市の政策でもあるから、他の商業施設との差別化を図るという目的以外に、もちろん充電インフラを整える使命も担っている。ガソリン車も駐車できるなら問題なさそうだが、ガラガラであってもやはり少々停めづらい。47台のEV用駐車スペースがすべて、充電中のEVで埋まる日は来るのだろうか?

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

自動車生活ジャーナリスト

加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌...

加藤久美子のプロフィール&記事一覧
ページトップ