『ポケモンGO』が変えるビジネスの可能性と課題とは?

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安部徹也

出典:『Pokémon GO』公式サイト

 

今、巷で話題の『ポケモンGO』。日本に先駆けてリリースされた海外では、その熱狂振りが連日のようにニュースを賑わしていますが、ようやく日本でもリリースされました。早速ダウンロードして、遊んでみましたが、ユーザーが夢中になる要素が分かる気がします。今回は、この『ポケモンGO』のビジネスモデルについて分析していきましょう!

 

任天堂が満を持して投入したスマホゲーム『ポケモンGO』が変えるビジネスの可能性と課題とは?

 

■世界中が熱狂!話題のスマホゲーム『ポケモンGO』

 

Googleからスピンアウトした企業ナイアンティックとポケモン、そして任天堂がタッグを組んで開発したスマートフォン向けのゲームアプリ『ポケモンGO』が海外でリリースされました。

 

7月6日にアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで配信が開始されると、わずか7日間で1000万ダウンロードを突破。それまで1000万ダウンロードの最短記録は『クラッシュ・ロワイアル』の9日でしたが、『ポケモンGO』はこれを大きく塗り替える偉業を達成します。その後も世界各国で配信がスタートすると、7月20日には35か国で3000万ダウンロードを超えるなど、勢いはまったく衰えることを知りません。

 

一方で、『ポケモンGO』人気が過熱するに伴って、世界各国で由々しき問題も発生しています。『ポケモンGO』に熱中するあまり、多くの事件や事故、トラブルなどが発生し、社会問題化しているのです。

 

日本においても、本日22日から配信が開始されましたが、リリースに先だって政府が『ポケモンGO』の利用にあたって安全に楽しむための注意喚起を行うなど異例の対応がその影響力の大きさを物語っています。

 

 

■『ポケモンGO』とは何か?

 

それでは、任天堂が満を持して投入したスマホアプリ『ポケモンGO』とはどのようなものなのでしょうか?

 

ポケモンをプレイした人であればご存知でしょうが、この『ポケモンGO』も基本的なゲーム内容は同じです。ポケモンを捕まえて、育てて、敵と戦わせるというシンプルなシステムになっています。

 

大きな違いは、これまでのポケモンがゲーム機の中の世界だったのに対して、『ポケモンGO』ではARと呼ばれる実際の風景にデジタル情報を重ね合わせる技術を活用して、ゲームフィールドが現実の世界になっている点です。つまり、プレーヤーは家から飛び出して街中を歩くことによって、様々なポケモンを発見し、捕獲していくのです。

 

この『ポケモンGO』をプレイするにあたって、重要なポイント(場所)が2つあります。

 

一つは“ポケストップ”。

 

この“ポケストップ”では、ポケモンを捕獲するために必要なモンスターボールをゲットしたり、ゲームを有利に進めるためのアイテムを購入したりすることができるのです。

 

そして、もう一つが“ジム”と呼ばれる場所。

 

この“ジム”では、自身の獲得したポケモンのレベルが5以上になれば、ライバルのジムに所属するプレーヤーのポケモンと戦わせることが可能となり、戦いに勝利すれば自身のジムの勢力を拡大させることができるのです。

 

 

■『ポケモンGO』が任天堂のビジネスにもたらすインパクト

 

このポケモンの世界と現実世界とを融合した『ポケモンGO』ですが、専用のゲーム機市場で苦戦する任天堂のビジネスに大きなインパクトをもたらす可能性を秘めています。ゲーム自体は基本的なプレイは無料でできますが、ポケモンを獲得しやすくするアイテムなどは有料で購入しなければいけません。

 

実際に『ポケモンGO』を配信してから課金額が1日で1.6億円にまで達したとのニュースもあり、今後さらに配信国を増やしていけば加速度的に課金による売上が増えていくことは間違いありません。

 

たとえば、Mixiの『モンスター・ストライク』は、世界で3000万ダウンロードを超えていますが、課金収入は年間2000億円にも達し、これと同じ程度の売上を上げることは十分に可能だといっても過言ではないのです。

 

この『ポケモンGO』がリリースされると、任天堂の株価は6月に13,370円の今年最安値だったものが、7月には32,700円の最高値を付けるなど僅か1ヶ月足らずのうちに急騰し、市場でも任天堂の『ポケモンGO』ビジネスの将来性に大きな期待を寄せていることがわかります。

 

 

■『ポケモンGO』は他社のビジネスにも大きな影響を与える

 

『ポケモンGO』によって大きくビジネスが変わるのは、『ポケモンGO』のプロジェクトチームだけに留まりません。『ポケモンGO』は、他の多くの企業のビジネスを変えていく可能をも秘めているのです。

 

『ポケモンGO』のユーザーは、ポケモンを探したり、捕獲したり、戦わせたりするために、実際に外に出て歩き回らなければいけません。 つまり、『ポケモンGO』によって、人の流れをいとも簡単に変えることができるというわけです。

 

もし、自社の店舗がゲーム上、重要なポイントとなる“ポケストップ”や“ジム”に指定されれば、多くのゲームユーザーが集まることにつながります。

 

実際に海外では、自店がたまたま“ポケストップ”に指定されていたピザ屋が120円課金すれば30分だけポケモンが出やすくなる『ルアーモジュール』というアイテムをうまく使用して宣伝した結果、売り上げが75%アップしたという事例も報告されています。

 

今後『ポケモンGO』の開発元であるナイアンティックは、この2つのポイントを『スポンサードロケーション』として販売する予定です。この『スポンサードロケーション』では、実際に訪れた人数に応じて手数料を徴収するCPV(CostperVisit)という方法が利用されます。

 

このCPVであれば、『ポケモンGO』を活用して集客を図る企業側も来客がなければ多額のコストを負担する必要もなく、プロモーション活動におけるリスクを軽減できるというメリットがあり、導入のハードルは著しく下がることになります。

 

これまで企業は集客のために、テレビCMや広告、チラシなど多額のプロモーション費用を投じてきましたが、費用対効果については疑問が残っていました。このような無駄なプロモーション費用を負担してきた企業側にとって、今後は『ポケモンGO』を活用すれば、よりコストをかけずに多くの集客を実現できる可能性が高まってきたといえるのです。

 

 

■『ポケモンGO』を活用したビジネスの課題とは?

 

さて、多くの企業がビジネス的な意味で大きな期待を寄せる『ポケモンGO』ですが、思い描いたような結果につながるかはまだまだ未知数といえるでしょう。思ったような効果が得られないことも十分に考えられるのです。

 

現状、『ポケモンGO』の抱える課題として、次のようなことが考えられます。

 

(1)『ポケモンGO』自体が、利用を制限、もしくは禁止になるリスク

 

日本に先駆けてリリースされた地域では、『ポケモンGO』に熱中するあまり、立ち入り禁止区域に入ってしまったり、交通事故に遭ったり、強盗などの事件に巻き込まれたり、数々のトラブルが報告されています。

 

すでに教会や墓地など、場所によっては『ポケモンGO』の利用の自粛を呼びかけるケースもあり、今後益々社会問題化するようであれば、何らかの規制が実施され、ブームは短期間で終息することもあり得ないことではないのです。

 

(2)最終的に収益アップにつながるかは未知数

 

人の流れを変え、圧倒的な送客効果を見込める『ポケモンGO』ですが、たとえ多くの人が集まったとしてもそれがビジネスにつながるとは限りません。逆に収益の足を引っ張ることもあるのです。

 

たとえば、相応の費用を支払って自社の店舗を“ポケストップ”にしたとしましょう。“ポケストップ”になれば、有料アイテムを使って、ポケモンの出現率を高めることで、多くの来客が見込めます。ところが、ゲームユーザーがポケモンをゲットして短時間しか滞在しなければ、消費活動につながらず、まさに“骨折り損のくたびれ儲け”になりかねません。

 

また、自社の店舗が“ジム”になれた場合、そこでユーザー同士のバトルが繰り広げられるので、ゲームユーザーが長時間滞在することが見込めます。ただ多くのゲームユーザーが長居しすぎると、優良な常連客が遠のき逆に売上が下がることも考えられます。

 

たとえば、マクドナルドが“ジム”になった場合に、朝早くから夜遅くまでゲームユーザーが席を占拠し、特にランチ時などは純粋に食事をしたい顧客が利用できずに、機会損失につながることもあるのです。

 

このような『ポケモンGO』を集客に利用したい企業にとっては、“ポケスストップ”であれば、折角来店したゲームユーザーが思わず購入したくなるような品揃えやキャンペーンを展開する必要があるでしょう。

 

また、“ジム”に指定され、想定以上に消費をせずに居座るゲームユーザーが多い場合には、一般顧客が来店しなくなる時間帯に絞って、地図上に“ジム”が現れるといった対策も必要でしょう。

 

『ポケモンGO』を活用したプロモーションは、これまで経験したことのない領域だけに、効果を図りながら、手探りで改善していく他はありません。課題はまだいろいろとあるでしょうが、『ポケモンGO』はビジネスのあり方自体を大きく変える可能性を秘めたイノベーションと言えるだけに、今後どのようにビジネスに活用されるのか注目していきましょう。

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安部徹也

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