飲食業界はブラックというけど…企業の「ホワイト度」ランキングで考える「ホワイト企業」の定義

ビジネス

 

労働環境が厳しいとされ、特に人集めに苦労している飲食業界ですが、この業界の「」という記事がありました。働きがいのリサーチをおこなっているヴォーカーズ(Vorkers)というサイトで集めた企業評価の投稿より、飲食業界の残業時間、有休消化率、待遇の満足度(5段階)の情報から、企業ごとの「ホワイト度」をランキング化したものだということです。

 

 

■ランキングから見えてくる飲食業界の実態

 

ちなみに飲食業界の平均残業時間は月48.0時間、有休消化率は26.7%、待遇の満足度は2.7。著名なチェーンの運営会社中心に25社がランキングされていましたが、トップの企業は、残業時間が月18.3時間、有休消化率61.0%、待遇の満足度3.4ということで、飲食業界としてはかなりの努力があると思います。

 

ただ、もう少し下の順位を見ていくと、例えば5位の企業では平均残業が月4.6時間と少ないものの、有休消化率も36.3%とそれほど高くはなく、8位では平均残業が月49.4時間と多めながら有休消化率は42.8%であるなど、少ない残業と有休消化は両立しづらいように見えます。また、ランクインした企業の中で、待遇の満足度が3点以上の企業は3社のみということで、印象としては、やはり労働環境が厳しそうな飲食業界の様子が浮き彫りになっている感じがします。

 

さらにこのランキングを見ていて気づいたのは、居酒屋など飲酒中心の業態の会社はランキングの中には1社しかなかったということです。この会社の頑張りは相当すごいことになりますが、飲食業界の現場では少人数体制による長時間労働に陥りやすく、なおかつ営業時間が深夜に及ぶ業態となれば、このランキングを上げることはかなり難しいでしょう。

 

私の身近にも飲食業界の人は大勢いますが、皆さん自分のお店がブラックなどと言われないように、いろいろな工夫と苦労をして頑張っています。ただ、このランキングのように「残業時間」「有休消化率」という尺度で測られた労働環境で、飲食業界が他業界と競うとなると、やはり不利は免れません。

 

 

■「ホワイト企業」の定義とは何か?

 

ここで、あらためて「ホワイト企業の定義は何か」と考えてみると、残業が多い会社、有休消化ができない会社は労働者からすればつらい職場であり、ブラックに傾いていることが多いので、この視点が取り上げられることは間違いなく一理あります。ただ、残業が5時間の会社と10時間の会社があったとして、少ない方がホワイトと言い切れるかというと、たぶんそうではありません。これが40時間と50時間で比較したとしても同様に、何とも言えません。

 

これは有休消化率でも同じで、極端に高かったり低かったりすれば、それぞれ一般的にはホワイト、ブラックといえるでしょうが、大半の企業はそれらの間に位置しています。ホワイトとブラックの間はグラデーションで連続していて、いろいろな濃さでのグレーという会社がほとんどでしょう。

 

また、残業が少なくてもパワハラ傾向の強い職場であれば、それもブラックでしょうし、きちんと法律通りに残業代を払い、それで社員が健康的に仕事をしているのであればホワイトと言ってよいでしょう。

 

私が思うのは、あまり一つの尺度だけにとらわれて、その企業を「ホワイト」「ブラック」と言い切ってしまうのは、企業の見方としてはあまり適切ではないということです。

 

 

■ホワイトかブラックか? 尺度は人それぞれ

 

以前、居酒屋でアルバイトをしている大学生に話を聞いたことがありますが、その店ではまかないを自分で作ることができ、他の人が作ってくれたものを食べたり、自分で工夫して作ってみたりということが楽しいのだそうです。プロの料理人が作ってくれることもあって味はかなりのもので、労働時間は長かったり夜遅かったりするけれど、それはまったく苦にならないと言っていました。だからといって卒業後も飲食業界で働くとは限らないでしょうが、その時々の自分の優先順位に合っていれば、外から見れば大変な職場でも、その人にとっては「ホワイト」になるわけです。

 

企業側は、このような多様な興味をいかに吸収できるかが課題ですし、働く側からすれば、法律違反の会社は論外として、それ以外の順法の範囲内にいる企業を一部の尺度だけで決めつけることで、その企業の本来の姿を見誤ってしまう場合もあるということです。

 

どんな有名企業でも好業績企業でも、良いところもあれば悪いところもあります。外から見えづらい部分はありますが、いろいろな面を見た結果が自分にとって良い会社であれば、それはホワイト企業です。先入観で決めつけずに企業を見ていくと、商品でもサービスでも、また自分が働く職場でも、意外に新しい発見があるように思います。

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小笠原隆夫

IT業界出身で現場のシステムエンジニアの経験も持つ人事コンサルタントです。 人事課題を抱え、社内ノウハウだけでは不足してその解決が難しい企業、100名以下から1000名超の企業まで幅広く、人事制度構築、...

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