“不要な生活感”だけを隠す「キッチンリノベ」

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リノベした家に人が来た時に案外注目されるのがキッチンだろう。人が住む限りは避けられない暮らしの感触を、どこまで見せ、どこから隠すか。これを改めて考えることで、自分の本来ありたい姿、ほんとうに大切にしたいものまで見えてくるはずだ。

 

今回は、“見せるものをコーヒー周りの道具、見せないものを洗い物と生活家電” と決めている石田邸をご紹介。

 

石田邸
家族構成:夫、妻
設計:layer00(河村草麻生)
キッチン造作:及川泰至
施工:山崎ハウス工業

 

 

■ご主人こだわりの道具の数々を部屋からいちばんよく見える場所に

 

隣り合うキッチンとデスクは、両方にかかる棚によってさらに一体感が。ここにはもともと皿をのせるつもりが、いつのまにかご主人のコーヒーの道具でいっぱいになってしまったのだとか。

オブジェとともに並べられたコーヒー道具、パソコンのある作業スペースがコンロと地続きにあるなど、中古マンションをリノベした石田さんの家には、本来異なる空間が自然に溶け込んでいるのが特徴だ。

 

区切りを極力排したリビング中心の間取りには、“一日の生活がすべて繫がった家にしたい” との思いがあったそう。

 

地続きになった作業スペースは、ステンレスから木へと表面の素材を変えることでゆるやかな境界線をつけている。キッチンの見える場所に置く家電は、見せられると思えるデザインでかつ使用頻度の高いトースターとコーヒーミルに限定。

「区切らずに混ぜ合わせてしまったほうが、スペースを有効に使えるのもありますね。あとは料理を作りながら会話したり、できた料理をそのまま食卓に出せるようにと、お客さんが来たときのことも考えて」 

 

 

■“不要な生活感” だけを隠すことで美しさと居心地のよさを両立

 

キッチンに “人が集まる場所” という役割を与えた分、見せたくないものを隠す工夫も随所になされている。シンクのまわりには立ち上がりをつけており、洗い物はこの中に入れてしまえばすぐ横のテーブルからも見えない。
 

テーブル内側の席からはパントリーの中が全部見えるものの、奥まっているため不思議と気にならない。棚は可動式で収納力も抜群。その下に、前の家から使っていた食器棚が。

またパントリーは2方向に出入り口があるため実際は中も見えるのだが、枠のひとつ内側に収まっているだけで目隠し効果は十分。大きな冷蔵庫さえ、意識を向けなければ存在に気づかないほどだ。

 

「生活家電をあまり目立つ場所に置きたくなかったので、全部この中に。もともとは扉を付ける予定でしたが、このままでもいいか、と。棚なんかもまだ途上段階ですが、とりあえずは現状で満足していますね」

 

収納で重要なのは、何をどれだけ置くかではなく、そこで誰とどう過ごすか。それを考えれば、必要な形はおのずと決まってくることを示してくれる好例だ。

 

●情報は、FRaU2017年10月号発売時点のものです。
Photos:Mai Kise Text:Megumi Yamazaki

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